はじめに
就職活動を目前に控え、人気のベンチャー企業を視野に入れている学生も多いのではないでしょうか。
最新の技術を取り扱っていたり、自由な社風が特徴であったりと魅力あふれるベンチャー企業を志す方は多いでしょう。
しかし、その給与の実態について知っている方は意外に少ないのではないでしょうか。
入社後に想像と違ったと悔やまないよう、事前にしっかりと知識をつけておくことが大切です。
今回は、ベンチャー企業の給料形態や、大企業との違いについて詳しくご紹介します。
【ベンチャーの年収ってどれくらい?】ベンチャーの給与の実態
ベンチャー企業の給与は、大企業に比べると少ない状況にあるのが実態です。
もちろん役職や企業によって差があるので一概にはいえませんが、一般的には大手企業からベンチャー企業に転職した際に給与が下がったというケースが多くあります。
しかし、初任給は大企業よりもベンチャー企業の方が多いという場合もあります。
立ち上がったばかりでまだ売り上げがない段階のベンチャーなのか、成熟しさらなる事業へ拡大しているベンチャーなのかでも給与は大きく変わってくるでしょう。
ここでは、一般的なベンチャー企業の給与についてご紹介しますが、1つの目安として参考にしてみてください。
1年目
ベンチャー企業の初任給はおよそ27万円、年収は370万円程度となっています。
これらは、全上場企業の初任給の平均に比べると6万円以上も高い金額となっています。
なぜ、このようにベンチャー企業では初任給が高い傾向にあるのでしょうか。
1つ目は優秀な人材を集めるためです。
ベンチャー企業は大企業に比べると少人数のチームが多く、一人ひとりがカバーする仕事の範囲も大きくなります。
そのため、少しでも優秀な人材を確保するために初任給が高いという特徴があるのです。
2つ目は、大企業に比べると残業代や福利厚生がととのっていないということがあげられます。
それらをカバーするという意味でも初任給が高い傾向にあるのです。
3年目
初任給では大企業よりも給与が多くもらえるものの、3年目になると大企業の平均を下回るというデータがあります。
大企業は、年数を重ねるごとに給与も上がっていくのが一般的です。
一方、ベンチャー企業ではその成果によって給与が左右されるという特徴があるためです。
3年目以降のベンチャー企業の給与は、個人の成績と会社の業績の2つに左右されるといえます。
よって、就活の際にしっかりとそのベンチャー企業や業界の将来性を見極めることがとても重要でしょう。
【ベンチャーの年収ってどれくらい?】ベンチャー企業の給料事情
仕事をしていくうえで、給与事情はやはり気になるものです。
特にベンチャー企業は大手企業に比べると、収益に波があります。
先に結論を述べると、確実に安定した収入が欲しいのであれば、大手企業が良いでしょう。
もしあなたがベンチャー企業を選ぶのであれば、それなりの考えや目標をもっているのだと思います。
その達成のためには給与事情について、理解を深めておいたほうが良いかもしれません。
それではベンチャー企業の給与事情について、考えていきましょう。
給料は経営状況に左右される
ベンチャー企業での給料は経営状況によって左右されます。
ベンチャー企業は発展途上の企業であり、これから先どのように変化していくかは誰もわかりません。
大手企業になる可能性もあれば、ずっと中小企業のままの企業もあります。
どちらが魅力的なのかは人によりけりでしょう。
就職を考える際には自分の行きたいと思っている企業が、現在どんな立場にいる企業なのかを調べておくと良いかもしれません。
とにかく給料に関しては経営状況によって左右され、景気が良ければ上がる、逆のときは下がると考えておいてください。
大手企業では一定の収益が約束されているため、給料は必ず安定してもらえますが、成績をしっかり出さなければ昇給はできないでしょう。
逆にベンチャー企業では、あなたが頑張って会社を盛り上げれば、給与が上がる可能性はあるということです。
ベンチャーは出世しても大企業ほどは上がらない
ベンチャー企業は年功序列での出世によって給与が上がることはありません。
基本的には、成績や個人の業績などの出来高が給与の判断基準になるからです。
一方で、これらの業績にもとづいて年齢に関係なく役職をもらえる場合には、大きな給与アップが期待できるでしょう。
ベンチャー企業の取締役は、平均年収1600万円以上となっており、好調なベンチャー企業では5000万円を超えるところも存在します。
また、取締役でなくとも、執行役員であれば1000万円程度、部長クラスでは800万円程度の年収が期待できるでしょう。
これらのことから、同年代の大企業につとめる人よりも出世のチャンスが大きいといえます。
残業手当で年収が増える可能性もある
ベンチャー企業は経営のスタイルがまだ確立されていなかったり、突然仕事が来たりします。
またそもそもの個人の仕事量が多いパターンもあるので、それによって残業が発生する可能性は高いです。
しっかり残業手当が支給される会社であれば、年収が増える可能性もあります。
残業手当があるベンチャー企業であれば、定時には帰れない分、年収は増えるかもしれません。
それを期待するのであれば、働き始める前に待遇の確認を忘れないでください。
場合によっては、残業手当のない企業もあるかもしれません。
聞きづらいかもしれませんが、不安であれば面接の際に確認してみるのが良いでしょう。
入ってから後悔するよりは、入社が決まる前に知っておいたほうが良いです。
【ベンチャーの給与ってどれくらい?】なぜベンチャーの給与は大企業と比べて少なくなるのか
一般的に、ベンチャー企業の給与が大企業より少ないといわれるのにはどんな理由があるのでしょうか。
そこには、ベンチャー企業ならではの特徴が大きく関わっています。
ここでは考えられる3つの理由について解説します。
これらを事前にしっかり知っておくことで、ベンチャー企業がもつメリットとデメリットについて考えるきっかけにしてみましょう。
事業投資にお金を回したい
まず1つめの理由としては、とにかく事業の成長にお金をかけたいという理由があげられます。
特にスタートアップなどの立ち上げ後すぐの企業で見られる現象です。
人件費は固定費として計算されますが、これらは会社の業績に関わらず毎月企業が負担するコストになります。
売り上げが少なく、経営が不安定なスタートアップの企業の場合は、リスクヘッジのためにこれらの固定費をできるだけ抑えようと考えるのです。
また企業の成長のスピードUPをはかるためにも、少しでも多くのお金を事業の投資にあてる必要があります。
このように、固定費となる人件費を抑え、事業投資にお金を回したいという理由が給与の少ない理由になるのです。
そもそもお金がない
事業をはじめたばかりのスタートアップ企業は、そもそも資金が限りなくゼロに近いこともめずらしくありません。
企業として初期段階の場合は売り上げがなく、開発の段階の場合もあるからです。
そういった場合には、人件費として使える資金が少なく、給与が安くなる原因となります。
少しずつ技術が大企業や世間に認められ、ベンチャー企業が成長していくとともに、売り上げが軌道に乗ってきます。
それだけではなく、スポンサーとして支援してもらうことで資金を調達することもできるでしょう。
このように、初期の段階のベンチャー企業では、資金不足から給与が少なくなってしまう可能性も考えられるのです。
売り上げが安定しない
ベンチャー企業が市場で認められるまでは、一定の期間が必要です。
事業が軌道に乗り、売り上げが安定するまでは、当然リスクを最小限に抑えようと考えます。
特に、開発から認知までの期間は、広告費や宣伝費などの資金が多く必要となります。
そのため、固定費となる人件費は極力抑えてリスクを最小限にしたいと考えているのです。
固定給を少なめに設定しておくことで、その後の会社の業績や資金状況によってインセンティブとして還元する方法をとっています。
【ベンチャーの年収ってどれくらい?】ベンチャー企業で給料を上げる方法
ベンチャー企業で給料を上げたいと考えた場合、結論としては自分のスキルアップをはかるしかありません。
ベンチャー企業は人材の一人ひとりの力によって成り立っているため、会社の経営もその力に比例します。
あなたがスキルアップして経営状況を良くすれば、もちろん給料も増えていくでしょう。
しかし経営状況が変わらないか、悪くなってしまえば収入が減ってしまう可能性もあります。
給料を上げる方法は上記以外にもいくつか考えられるので、以下に説明もかねて紹介していきます。
成果報酬をもらう
ベンチャー企業では成果主義の企業が多く、実績にあわせて報酬をもらえる場合があります。
大企業のような年功序列の会社は少なく、若い世代であっても、結果や成績を出せば昇給が期待できます。
その一方で先述した通り、大企業では年功序列の風潮が強く、昇給は地道に進めていくしかないのです。
しかしベンチャー企業では実力さえ示せれば、一気に昇給を期待できる可能性もあります。
ベンチャー企業で給料を上げるには、成果報酬を期待するのがおすすめです。
それを目的に入社するのであれば、企業側にあらかじめ成果報酬について確認しておくのが良いでしょう。
成果報酬のあり方は企業によってさまざまなので、こうした確認は非常に重要なのです。
副業をする
これ以上本職で給料を上げられないとなれば、副業を考えるという手があります。
大企業においてあまり副業は推奨されていませんが、ベンチャー企業では副業を許可している企業が多く、それによって収入を増やすことも可能です。
ベンチャー企業で働きながら培ったスキルを活かして副業を行い、それによって稼ぐ人も増えてきています。
のちのち起業しようと考えているのであれば、副業から始めてみるのも良いかもしれません。
もしくはまったく趣向の違う、自分が楽しみながら行える副業で、隙間時間に稼ぐというのもおすすめです。
ただし残業の多い会社では、副業をするための時間を作るのは難しいでしょう。
もし副業をする場合は、本職と副業に時間を取られすぎて、休息の時間が取れなくなってしまうような事態は避けましょう。
独立する
ベンチャー企業で働きながら、自分に十分なスキルが身についたと感じられるのであれば、独立してお金を稼ぐ方法もあります。
独立して自分で起業し、仕事をしていくのは大変なことですが、今まで身につけたスキルがあれば可能なはずです。
ベンチャー企業に入社する人の中には、最初から独立を目標として入る人もいます。
ベンチャー企業はそういった人材も受け入れている会社が多く、それを応援してくれるところもあるでしょう。
これによって確実に収入が増えるかと言われればそうとは言い切れませんが、あなたの実力次第で大幅に収入が変わる可能性はあります。
ベンチャー企業での給料に伸び悩み、独立をしてみたいと考えたことのある人は、一度検討してみるというのも良いかもしれません。
【ベンチャーの年収ってどれくらい?】高給をもらえるベンチャーとは?
ベンチャー企業といっても、その企業の業績やステージによって給与の額は大きく異なります。
・サービス開始前の「シードステージ」
・サービス開始直後の「アーリーステージ」
・資金提供を受けられるレベルになった「ミドルステージ」
・さらに業務拡大を目指す「レイターステージ」
この成長レベルの中でも、外部から資金調達をはじめるミドルステージ以降の企業であれば、しっかりと安定した給与を受け取れる可能性が高くなります。
やりがいだけでなく、経済面もしっかり重視して就活先を選びたいという方は、さらに以下2つのポイントを参考にしてみてください。
売り上げが伸びているベンチャーを見分ける
売り上げが伸びていて、業績が上がっている分野や企業を選べば、給与を安定してもらえるでしょう。
たとえば、政府が力を入れていてこれからの伸びが期待される宇宙ベンチャー、風力発電などのエネルギー事業を扱っているベンチャーがあげられます。
また、自動車の分野でも、自動運転や電気自動車など100年に1度の変換機にあるといわれており、これからの発展が期待できるでしょう。
ほかにも、コロナの影響を受けてオンラインでのコミュニケーションツールや、プラットフォームも急激に伸びてきている分野です。
このように時代を先読みし、今後発展が期待できる分野、注目されている技術を取り扱う企業がおすすめです。
メガベンチャーに就職する
メガベンチャーに就職するのは、ある程度の経済的安定を求めながらベンチャーの社風で働きたいという人におすすめの方法です。
そもそもメガベンチャーとは、新しい技術を世に送り出すベンチャーとしてスタートしてから、現在では大企業の仲間入りを果たした企業のことを指します。
誰もが知っている楽天やサイバーエージェント、リクルートなどもメガベンチャーの1つです。
小さなベンチャー企業としてスタートしたこれらの会社も、成長し事業拡大を行うとともに大きな組織をもつようになっていきました。
このように組織力を強くしてきたことで、業績が安定しある程度の資本力をもっているのがこれらメガベンチャーの特徴です。
そのため、社風としてベンチャーのよさを取り入れつつ、安定した給与が欲しいという人から高い人気を集めています。
【ベンチャーの年収ってどれくらい?】まとめ
今回は、誰もが気になる収入に焦点をあてて、ベンチャー企業の給与体系や実態についてご紹介しました。
仕事において何を一番に重視するかというのは人それぞれです。
中でも、給与に関することは、安定した生活を送るために誰もが気になっているポイントでしょう。
就活の際にも、やりがいや仕事内容に加えて、給与体系についてもしっかり情報収集することが大切です。
この記事を参考にしながら、ベンチャー企業についてさらに知識を深めてみてください。