バイオベンチャーはどんな事業をしている?注目の事例や将来性まで徹底解説!

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はじめに

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新型コロナウイルスのワクチン開発をはじめ、医療分野に世界が注目する中、バイオベンチャーの存在にも注目が集まっています。

就活においても、これまであまり関心がなかったバイオベンチャーに興味を持つようになった人も少なくないでしょう。

バイオテクノロジーは医療分野に限らず、これからあらゆる産業を支えていく期待の高い技術です。

その中でも時代の最先端を行くバイオベンチャーについて、どのような事業を展開しているか詳しく解説します。

バイオベンチャーとは?

バイオベンチャーとは?
バイオベンチャーは、バイオテクノロジーを用いて医療や産業の発展に貢献するベンチャーです。

バイオロジー(生物学)とテクノロジーからなる造語がバイオテクノロジーですが、これまでにもすでに生物の持つ能力を活用した医療や食糧確保、環境保全などの事業が多数確立されました。

国として統一された定義はなく、一般財団法人 バイオインダストリー協会が動向調査を行ううえで、一定の定義を設けています。

それによるとバイオベンチャーは、

・経済産業省の中小企業の定義に当てはまる(製造業なら従業員300人以下または資本金3億円以下)
・バイオ関連事業を主な事業とする(デジタルヘルス、医療機器なども加える)
・独自の技術基盤を有する(販売輸入仲介や開発受託、医薬品製造受託は除外)

以上のものが定義となります。 一般的にはこの定義に加えて「設立から20年未満」という条件も入りますが、こちらの調査ではあえてそれは外されています。

こちらの調査結果では、2019年4月時点までに把握された数は2,010社でした。

参考:一般財団法人 バイオインダストリー協会 「国内バイオ関連ベンチャーの現状調査と分析」

バイオベンチャーはどんな事業をしている?

バイオテクノロジーの活用は幅広いため、バイオベンチャーの事業も多岐にわたります。

医療や食品、化学分野のほか、農業・環境・情報分野でもすでにバイオテクノロジーは活用されており、利用される分野は多いです。

ただ日本国内では、ヘルスケア分野で事業を展開しているバイオベンチャーが多く見受けられます。

前述の調査でも、全体の6割がヘルスケア関連となっており、メインは創薬、IT・デジタルヘルスです。

次いで研究支援(試験/実験機器/試験・製造受託)が2割となり、調査から5年以内に設立したもっとも近年起業が盛んだったジャンルは、IT・デジタルヘルスという結果となっています。

バイオベンチャーの事例紹介

それでは具体的にバイオベンチャーがどのような事業を展開しているか、実際の事例を見てみましょう。

前述したとおり、近年創設が盛んなベンチャーは、IT・デジタルヘルスの分野です。

実はバイオベンチャーは大学などのアカデミア由来が全体の4割近くを占めますが、デジタルヘルス分野はアカデミア由来が2割にとどまります。

それだけ新しいベンチャーが近年広く参入している分野であり、パイの広がりからこれからの発展にもますます期待が持てるといえるでしょう。

ここでは、とくに注目のバイオベンチャーを紹介します。

Genomedia(ゲノメディア)株式会社

Genomediaは、ゲノムというDNAで作られた遺伝子の設計図を解析し、がん治療に貢献しているベンチャーです。

サンプル調製からソフトウェア・ツール開発までワンストップに行える点が強みで、研究開発分野だけでなくデジタルヘルス分野まで担っている点が特徴です。

「Genomedia Front」というクラウド上でゲノム統合データの管理ができるサービスなども提供し、ゲノム解析の高速化、効率化に大きく貢献しています。

同社の関わったデータ解析の研究成果がアメリカの科学雑誌「Nature Medicine」オンライン版に掲載されるなど、これまでにも目覚ましい成果を収めているベンチャーです。

アメリエフ株式会社

アメリエフ株式会社は、ライフサイエンス分野の研究における高度データ解析システムの開発・提供や、データ活用コンサルティングなどの事業を展開しています。

遺伝子検査の支援システムである「AmeliCure(アメリキュア)」を提供するなど、サーバー導入からシステム開発まで広くデジタルヘルス分野も担っているのが強みです。

バイオインフォマティクス(生物のデータを情報科学の手法によって解析する技術)を駆使し、トレーニングから受託解析、コンサルティングまで幅広くサポートを行っています。

Craif(クライフ)株式会社

Craif(クライフ)株式会社は、2018年5月に創業した名古屋大学発の医療系バイオベンチャーです。

これまでに「痛みのない高精度ながん早期発見」を目指し、尿検査の際に得られる「microRNA」という生体物質を利用することで、さまざまながんの早期発見を可能にしました。

出身の名古屋大学をはじめ数々の大学や病院、大手企業と共同研究を行っており、2021年4月には「Forbes 30 Under 30 Asia 2021」にCEOの小野瀨 隆一氏が選出されています。

日本が誇る素材力を用い、捕捉した物質をAIと組みあわせて医療に応用することで、最新のがん診療が行えるようさまざまな課題解決に取り組んでいます。

株式会社タベルモ

株式会社タベルモは、「生スピルリナ」という藻類を栄養食品として普及を目指しているバイオベンチャーです。

生スピルリナは60種類の栄養素を含む食材で、医療業界でも注目される栄養サポート食品です。

昆布やワカメと同じ藻類であり、生産性が高いため、食糧難のソリューションとして期待される食品でもあります。

太陽と水で栽培が可能なため、同じ土地があれば牛の300倍、大豆の20倍のたんぱく質を生産できる新しい農作物がスピルリナです。

今後懸念されるたんぱく質危機を見据え、食の面から未来を創設するため、たんぱく源としてのスピルリナの生産や販売、「タベルモ」の販売・普及促進・技術開発をメイン事業としています。

株式会社アグロデザイン・スタジオ

株式会社アグロデザイン・スタジオは、農薬にイノベーションを起こすため、駆除対象以外に影響を与えない農薬の研究をしているバイオベンチャーです。

同社が作る農薬は環境汚染を抑える効果もあり、持続的農業へも貢献している点が特徴でしょう。

事業内容は農薬原体(有効成分化合物)の研究・開発で、農薬の科学的エビデンスを明確にする分子標的型新規農薬の開発を行っています。

次世代の農薬に求められる要素として安全性を向上し、薬剤抵抗が生じにくい新規作用機構の実現により、標的物質の構造から逆算してデザインする新規創農薬法を研究しています。

生産性を低下させてしまう無農薬有機栽培ではなく、農薬を使用したうえで、確実に安全で美味しい食べ物を提供できる新しい農業の推進がメイン事業です。

バイオベンチャーでの具体的な仕事内容や必要なスキルは?

日本国内では医療系バイオベンチャーが多いとはいえ、分野によって仕事内容も求められるスキルも大きく異なるため、一概にいえません。

ここでは大きく分野で大別し、一般的な仕事内容や必要スキルについてまとめます。

医療分野

医療分野では、再生医療やがん予防などに関する研究やワクチン開発などが主に行われています。

こうしたベンチャーに求められるのは、化学・生物学に関する専門知識です。

医学とまではいいませんが、大学の専攻で薬学・毒性学などの知識を持っていると、重宝されるでしょう。

製薬会社や食品会社など、一般企業の研究職に近いイメージですので、基本的に理系のスキルとなります。

また、ベンチャーは基本的に即戦力を求めていますので、博士課程の学生は歓迎されやすいです。

食品分野

食品分野もかなり幅が広いですが、食品系のバイオベンチャーでは現在、発酵や醸造で培ってきた技術を化粧品や医薬品の開発に活かしていこうという動きが盛んです。

たとえばトクホや機能性表示食品などの開発を行うベンチャーも多く、商品化を目指すためには臨床試験が必要なものも多くなります。

こうしたことから、各種試験の計画を立てられる人や、生物学・統計学の知識を持つ人が歓迎されるでしょう。

医療分野と同様に、食品分野でも一般企業の研究職に近いイメージで、理系スキルが求められます。

環境分野

環境分野は、地球環境に負荷がかかりにくい製品やシステムを開発するのがメイン業務です。

生物学以外にも化学や工学などの知識を持つ専門家と協力し、新たな製品を生み出す過程が多くなります。

医療分野や食品分野に比べ、製品やシステムをよりよくする画期的なアイデアを出す力が求められるのが特長です。

一般企業でいうと企画職に近い仕事を行うことが多く、基本的に理系ですが、より柔軟な発想力やマーケティング力のある人材が求められます。

バイオベンチャーの歴史

国内で1999年に「バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針」がまとまり、これに沿って基本戦略が策定されました。

日本の超高齢化社会を踏まえ、健康高齢者の創出や疾患の克服が大きな目標となりましたが、バイオテクノロジーはとくに、ヒトゲノム解析と疾患の要因遺伝子の解明が期待されました。

このときにバイオベンチャー1,000社創出の構想も基本方針に盛り込まれており、これを踏まえて大学などアカデミア由来のバイオベンチャーが多く創設された背景があります。

ただそこから時代も進み、現在では新しいデジタルヘルス分野で幅広いベンチャーが参入を果たしています。

バイオベンチャーの強み

医薬品に関しては、バイオテクノロジーを用いて開発された医薬品は、効果が高い・副作用が少ない・適用可能な病気が多いなどのメリットがあるのが強みです。

従来の医薬品は、低分子開発により化学反応を利用して開発製造を行うため多額の費用と年月を要しますが、「バイオ医薬品」はバイオテクノロジーを用いて開発されます。

こちらはアイデア次第で医薬品が開発できるため、ベンチャーが開発に取り組みやすくなったという強みがあります。

バイオベンチャーの弱み

その名のとおり、生物由来のため、大量生産ができません。

従来品より早く開発がしやすいのは大きなメリットなのですが、量的な問題で製造価格が高くなることはデメリットであり弱みでもあります。

ただし、従来ではできなかったことも新しい切り口でできるようになるということは、可能性が一気に増えることを意味します。

たとえば従来の医薬品では助けられなかった人を助けられる可能性が広がることは、コストを超える大きな価値になることは、いうまでもありません。

バイオベンチャーに将来性はある?

誰もが知るとおり、現在全世界は、新型コロナウイルスのワクチン開発・健康寿命の維持など、バイオテクノロジーが不可欠な時代にいます。

現在バイオベンチャーは、大手製薬企業やベンチャーキャピタルなどからまとまった資金提供を受けたり、共同開発を行ったりするなどして、事業活動をさらに活発化させています。

このコロナ禍が過ぎた世界でも、人々は暮らしをより豊かにするために、バイオテクノロジーを求めるでしょう。

バイオテクノロジーは人類の先端技術のひとつであり、事業化することで投資家からも十分な資金を引き出せる実力を持っていることは間違いありません。

つまり、しっかりとしたバイオベンチャーはしっかりとした経営力も持っており、今後成果物の需要も増え続ける予測があります。

将来性を疑う余地はないでしょう。

まとめ

バイオベンチャーは、医療分野や食品分野、環境分野など幅広い分野で事業を展開しており、その将来は非常に大きく拓けているといえます。

それぞれが独自の技術で画期的な製品やサービスを開発し、全世界が注目するような成果を収めている国内のバイオベンチャーも少なくありません。

コロナ禍でも、ポストコロナ予測でも、バイオベンチャーには大きな期待があります。

各社とも千差万別ですので、就職を希望するのであれば、自身の専攻を活かしてどういった分野でどのように活躍したいか、マッチングをしっかり見極めることが重要です。

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