はじめに
毎回ではないにしても、行政での手続きが必要なシーンがあり行くたびに、さまざまな書類が必要で、面倒にして感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
申請の内容によってさまざま書類をその場で書き、さまざまな窓口に行き、待ち時間もあるため、酷いと手続きだけに丸1日かかってしまうこともあります。
せっかく作った書類も少し間違っているだけで1から書き直しなども必要で、申請がとおるまでにも数か月かかるものまであるのも現実です。
それらの時間を短時間に行えるようにと、行政とITを組み合わせてどうにか解決できないかという動きが活発化しています。
こちらでは、Gov Techとは何か、どんなメリットがあるのか、実際に取り組んでいる自治体の例なども交えて紹介していきます。
【Gov Techとは】Gov Techとは
Gov Techとは、ガバメント・テクノロジーの略で、Government（行政）とTechnology（技術）を組み合わせた造語になります。
今までの行政での業務は手作業で書き確認するため時間もそれなりにかかっていましたが、ここにテクノロジーを取り入れて効率的にしていこうという意味になります。
行政機関から一般企業に依頼をしてそのまま任せるのではなく、一緒に協力し合いながら行政サービスについて考えていく画期的な方法です。
ガブテックのメリット
これまでスムーズではなかった行政の手続きが簡単に終わるようになるため、ガブテックではさまざまなメリットがあります。
利用する市民にもメリットがありますが、これまで書類などを確認してきた行政にとってもメリットがある取り組みです。
こちらでは、具体的にどのような取り組みがあるのか、いくつか紹介していきます。
市民の利便性の向上
これまで手続きが必要になり、役所などに行くたびに、何時間も待たされたり、さまざまな窓口を行き来したりしなければならなかったものが、簡単にITを使ってできるようになります。
今までの行政では昔からの方法を利用してアナログの中で手続きを行ってきたため、確認作業にも時間がかかってしまい、大変でした。
ガブテックが導入されるだけでITを上手に活用するため、素早い手続きが可能となります。
民間ではさまざまな場所で今のハイテクな技術を取り入れ、市民の利便性が高まっています。
未だに古いやり方でいるのは、時代遅れでもあるのです。 手続きもわざわざ市区町村の窓口などに行って長い時間をかけなくても、手続きがネット上でできるようになり、書面での手続きもなくなるなど便利になります。
行政の業務効率化
市民としても、なぜこんなに時間がかかっていしまうのかと思ってしまいますが、実は間違いのないようにと、行政側でも確認しなければいけない事項が多々あり、大変な思いをしています。
アナログなため、人が目視をしてチェックしているため、時間がかかってしまうのです。
ガブテックを取り入れるだけで、行政としても業務の効率化を図ることができ、1日でも今までよりも多くの人の対応を短時間で済ませられるようになります。
点検などもITの力を借りれば、的確かつ迅速に行うことができますし、デジタルでさまざまなことができるようになります。
紙なども無駄に使用する必要がないため効率的ですし、行政の職員は他の仕事に回ることができ、効率的な人員の配置にもつながるのです。
長時間労働を削減できるという観点からも、ガブテックを取り入れるだけで効果的です。
ガブテックの市場規模とは
株式会社矢野経済研究所によると、2019年度の国内自治体向けソリューション市場規模（事業者売上高ベース）は6,645億円で、前年度比103.9％になりました。
少しでも行政の業務をシステム化し効率的にしようと、自治体では工夫をして取り組んでいます。
2020年も新型コロナウイルスの影響で、給付金支給や濃厚接触者の管理ツールなど新しいシステムを構築した部分もあり、市場規模では縮小が見込まれるはずでしたが、2020年度の市場規模は6,440億円（前年度比96.9%）を見込み横ばいを推移しています。
参考：株式会社矢野経済研究所
ガブテックの将来性とは
行政では、もっと市民のためにも、働く社員のためにも、効率よくできるようデジタル化やDX（デジタルトランスフォーメーション）の実現をしていくと予想されています。
実際行政で働く人も昔に比べて少なくなってきていて、人手不足でもあります。
残業をしないで定時で上がれるようにと働き方改革の取り組みも進んでいるため、足りない人や時間を補うためにも、BPO（ビジネスプロセスアウトソーシング）サービスの利用は、これからより効率よく行えるようになっていくでしょう。
さらに誰かがいなくても機械が人間のように作業を行ってくれるAIなども期待されますが、時間はかかる可能性は高いです。
ガブテックとしての将来性としては、発展していくでしょう。
【Gov Techとは】ガブテックが行われた事例
実際すでに行政では、ガブテックを上手に利用しながら、効率的な仕事を進めています。
こちらでは、具体的な自治体の事例をあげながら、どのようなきっかけがあり解決しようとした課題は何だったのか、スタートアップをどのように活用したのかについて紹介していきますので、参考にしてみてください。
ガブテックを利用した自治体は、その前に比べて効率的に仕事ができるようになっています。
神戸市
神戸市では、すでにガブテックを取り入れて、効率的な仕事をしています。
ガブテックに取り組んだきっかけとしては、市長がサンフランシスコに行って見た職員とスタートアップの人達のやり取りです。
神戸市役所にはない活発に議論をし、生き生きとした雰囲気が魅力だったことが、大きなきっかけとなりました。
解決しようとした課題は、すでに顕在化している地域課題に対して、解決策をストレートに投げ込んでいくということです。 これまでもさまざまな素晴らしいアイディアを考えてテクノロジーを考えても、星空に向かってボールを投げているようでした。
スタートアップを活用しながら、6つのテーマで公募をスタートし、正直なやり取りを意識しながら解決のために動きました。
スタートアップと職員がコンビになり、ちゃんとビジネスができるかどうか、隠しごとやひねていないのかも重視しながら進めていくことも重視しています。
マッチング後もサポートを行い、職員も効率よく仕事ができるように取り組んでいます。
茨城県つくば市
気軽にどこからでも投票ができ、国内からだけでなく海外からも可能とし、ゆくゆくは行政の窓口業務の電子化などで活用ができるようにとガブテックに取り組みました。
個人情報がしっかりと守られるのか、投票の担保や透明性が担保が図られるのか、マイナンバーカードを利用し、スマートフォンでも気軽に操作ができるのかなどを見ていきます。
スタートアップを活用し、xIDを使用したネット投票が問題なく行えるのか、令和2年度つくば Society 5.0社会実装トライアル支援事業のコンテストの最終審査で試してみました。
マイナンバーと連携をし、手軽に本人認証が行えるように工夫しています。
最初の年は設定に手間がかかることもあり、投票率も伸びませんでしたが、スマートフォンで簡単な流れで投票まで行けるシステムにて実行したところ、投票数も伸び、前年の2倍以上に増えました。
今回の取り組みのかげで、今後スマートフォンで厳正に個人認証ができるとわかり、行政の窓口業務の電子化でも一歩前進しています。
横浜市
売上高等が減少し、資金調達を必要としている事業者を支援するための制度として、危機関連保証認定申請というものがあったのですが、新型コロナウイルスの影響もあり、申請が一気に増加し、待ち時間が長くなってしまったため、ガブテックに取り組みました。
手続きに来てから30分から180分も滞在時間にかかってしまい、この時間をどうにか短くできないかと考えたのが、解決しようとした課題でもあります。
スタートアップを活用して、オンライン申請で手続きできるようにし、事務にかかる工程をこれまでの2割で終えられるようにし、事務作業を短くしました。
職員の作業の負荷も軽減されたため、効率よくなり、それが来庁する方にとっても時間短縮となって、お互いがストレスなく手続きできるようになりました。
新型コロナウイルスの蔓延もあり、長い時間密になる状況を作らずに手続きが進められたことも成功です。
利用者が途中でわからなくならないように、簡単に操作できるように画面も工夫し手続きを進められため、市民からの満足度も高くなりました。
【Gov Techとは】ガブテックの代表的なベンチャー企業
行政の手続きに行き、最近ITなども利用して楽になったと感じた方もいると思いますが、ガブテックに協力しているベンチャー企業のおかげです。
ここからは、行政と一緒に手を組んで、ITを駆使しながら便利なシステムを構築してくれているガブテックの代表的なベンチャー企業をあげていきます。
どのような仕事を主に行っているのかなど、企業について詳しく紹介していきます。
株式会社blockhive
分散型のテクノロジーを活用することで、仕事を効率的に行える可能性のある企業のパートナーでもあります。
よきパートナーとなり、実用的で革新的なソリューションも生み出します。
主要な事業内容は、デジタルウォレット、暗号通貨マイニングファシリティ、ブロックチェーンプロジェクトに投資するベンチャーキャピタルファンド、およびイーサリアムに基づいて構築された新しいクラウドファンディングソリューションです。
専門的な知識を活用しながら、企業が次の段階にいけるように支援を行っています。
株式会社Graffer
これまでにない新しい社会インフラを構築し、人々の主体性と創造性を引き出すことを課題として取り組んでいます。
会社としても、ほかにリスクを転嫁するのではなく、自分達が引き受けできるところまでとことん追求し、限界まで挑戦しているのも特徴です。
行政では紙の書類や窓口を中心とした業務を行っているところもまだ多いのですが、株式会社Grafferでは、デジタル技術を活用し、主体的かつ合理的にもアプローチしています。
今もさまざまな政令市や都道府県、小規模な市町までパートナーなり活躍し、利用者からも高い支持を受けている会社です。
GVA TECH株式会社
ITを活用するにあたって、情報セキュリティを適切に扱い、社会の信頼を常に得られるようにもしています。
事業としては、契約に潜む一般リスクと自社特有のリスクをAIが検知するAI-CON Proや、法務局まで行かずに簡単に登記申請ができるAI-CON登記などのサービスを手がけています。
これらのサービスは、的確な契約審査を効率的に行い、登記でも複数を同時申請もできるため、利用する側も楽です。
これまで時間がかかってしまっていた手続きや審査関係の時間を短縮でき、効率的に作業ができるようになります。
まとめ
ガブテックの動きは、行政としても広がってきていて、実際に利用している都道府県や市区町村なども増えてきています。
実際利用している行政では、やることが楽になり効率アップにつながっているのです。
メリットとして、市民だけでにあるのではなく少ない人数で働いている行政の職員も楽になります。
お互いがウィンウィンの形で活用できるのが、ガブテックの特徴です。
ITは今も進化していますし、もっと楽に効率よく手続きができるように将来的にもガブテックは進んでいくでしょう。
