はじめに
ガクチカとは学生時代、特に力を入れて熱心に取り組んできたことの略です。
これから就職活動を始めようとする学生にとっては、まだ耳慣れない言葉かもしれません。
しかし、学生時代に取り組んだこというのは面接においてもっともよく聞かれる質問の1つでもあり、就職活動をするうえで避けて通れないのです。
早い段階から対策を練っておくためにも、質問の意図などについて深く理解をして、自らの学生時代を振り返ってみるきっかけにするのもよいでしょう。
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【ガクチカで高校時代の経験はあり?】高校時代の経験はガクチカに使ってもいい?
大学生の就職活動において学生時代とは、一般的には中学生や高校生ではなく大学に入学してからのことを指すといえるでしょう。
つまり、学生時代に力を入れて取り組んだことについての質問に対しては、大学生になってから注力したことをアピールするとよいでしょう。
しかしながら現在の自分を形成するうえでは、大学時代の経験よりも高校時代に経験したことのほうが影響の大きかったということもあります。
たとえば高校時代の部活動においてインターハイで好成績を残し、その実績を認められて進学先が決まったというケースもあるでしょう。
「高校時代の頑張りがなければ今の自分はなかった」と言える自信があれば、現在の自分のいしずえとなった当時のエピソードを含めてもまったく問題はありません。
コロナ禍で大学時代のガクチカがないのは仕方ない
コロナ禍では、度々ステイホームや外出自粛が促されてきました。
学内でのサークル活動はもちろん、課外活動やアルバイトまで制限された人も多いです。
課外活動やアルバイトは、ガクチカとして代表的なアピールポイントと言えます。
これがなくなってしまうとなると、強いエピソードが思い浮かばず悩んでしまうのも仕方ありません。
もちろんそのような状況下でも、時間を無駄にしないようにできることを探して、何かに取り組むことは大切です。
しかし、コロナ禍で大学時代を過ごした学生たちが自粛を強いられてきた状況を、企業側も理解しています。
以前であれば、ガクチカと言えば大学時代の経験が当然のように求められてきましたが、この状況下では大学以前の経験も許容されるようになりました。
【ガクチカで高校時代の経験はあり?】企業がガクチカを通して知りたいこと
そもそも企業がガクチカを聞く最大の理由は、学生の経験や実績を知ることではありません。
もちろん、貴重な経験や優秀な実績は評価の対象になります。
企業が知りたいのは、入社後に自社で活躍できる人材かどうかです。
学生の人柄や求めている働き方が企業と合わなければ、せっかく採用しても早々に離職してしまうリスクがあります。
自社で活躍できる人材かどうかを判断するために、ガクチカを通じてチェックしているポイントを大きく2つに分けてご紹介します。
人柄や人間性が自社とマッチしているか
ガクチカは単なる結果や実績の報告ではなく、どのような目標を持ってどのように取り組んだかの過程を話すことになります。
そのあたりの説明が不足していると、面接で深く質問されることが多いです。
企業は、学生のモチベーションの源泉や価値観、考え方、目的達成のためにどのような行動を取るのかをチェックしています。
ここには人柄や人間性が表れるため、自社とマッチする人材かどうかを判断する材料になるのです。
人柄や人間性などの人物像を把握し、採用したときのメリットや不安要素などを見つけ、総合的な評価をつけます。
ですから、ガクチカで有効なアピールをするためには、志望する企業が求めている人物像に近づくような人柄や人間性を把握しておくことが大切です。
活躍イメージが持てるか
企業は、学生が話す経験に特別めずらしい出来事や高い実績を期待しているわけではありません。
むしろ、学生レベルの経験だと割り切っています。
実際にガクチカとして語られる内容は、ボランティアやアルバイトなど似たような経験が多いです。
企業がチェックしているのは、エピソードの内容そのものではなく、学生が持っているポテンシャルを企業でどう活かすことができるのかです。
何にモチベーションを抱くのかや、目標設定と取り組み方の説明が重要になります。
学生レベルの経験を示すことで、企業はその学生が社会人になってからの行動力や対応力を予測できます。
そのため、ガクチカの内容は社会でも活かせる体験を選ぶと良いでしょう。
【ガクチカで高校時代の経験はあり?】高校時代の経験をガクチカに使う際のデメリット
先述のように、高校時代の話題を取り上げることは必ずしも御法度というわけではありません。
高校から大学にかけて継続的に取り組んできたことなどがあれば、高校時代の活動に触れなければならない場面もあるでしょう。
一方で、質問に対して高校時代のことばかりを答えてしまうと、採用者側にとってあまりよい印象を与えない場合もあるようです。
それでは一体どのようなデメリットがあるのか、具体例などとともに見ていきましょう。
大学時代に何もしていなかったと思われる
特に大手企業の場合には応募者が数百人単位に及ぶこともあり、そのなかから採用されるのは一握りということもあります。
そうしたケースにおいては、採用の合否はどうしても相対的に決められることになります。
したがって1人だけほかとは違うエピソードを取り上げてしまうと、不利に働くこともあるでしょう。
みんなが同じように大学時代のことを話しているのに、1人だけ高校時代のことを話せば比較対象とはなりにくいからです。
なおかつ、高校時代の話題ばかりが先行してしまうと、果たして大学時代はなんにも取り組んでいなかったのかという印象を与えかねません。
あくまでもエピソードを知りたいのではなく、ポテンシャルや適性をはかることが目的ではあるものの、大学で力を入れたことがまったくないととらえられてしまえば大きなマイナスです。
もちろん他人とは違う個性や才能をアピールすることも大切ですが、学生時代について回答する際はそのような場面ではないとわきまえておきましょう。
企業によっては高校時代のエピソードを使えない場合もある
質問などに対して、高校時代の話題は必ずしも無効でないこと、ただしデメリットがあることを理解しておけば支障はありません。
注意しておきたいのは、企業によっては、設問そのもので大学時代を限定していることがある場合です。
高校時代を含めないという条件をつけ、回答を比較しやすくしたいという意向もあるのでしょう。
いずれにしてもこのようなケースにおいては、当然ながら高校時代のエピソードは使えません。
どんなに華やかな経歴などがあったとしても、企業によっては通用しないことも理解しておく必要があるのです。
高校時代のエピソードだけでは乗り切れないこともあるため、過去の設問などはしっかりと確認しておきましょう。
【ガクチカ面接対策】面接で好印象を得るために対策をしよう!
選考の面接において、「ガクチカ」は頻出質問であり、
ここで好印象を得られるかどうかが通過率を動かすキーポイントと言えます。
ESのガクチカをただ読むのではなく、面接用にガクチカを作りましょう!
またこのツールでは深掘り質問への対策もできるため、
面接力を大きく向上させることができます。
私が学生時代に力を入れたのは飲食店でのアルバイトです。
働く店舗は売上の伸び悩みを問題としていたという理由で自分にできる売上向上施策をするという目標を掲げ、取り組みました。
飲食店でのアルバイトに取り組む中で、中々売上が向上せず、プレシャーのみが積み重なってしまうという困難にぶつかりました。
それに対して、先輩や上司に積極的に相談をするという行動を取ることでアドバイスをもとに施策を考え、売上を1.5倍に伸ばすという結果につながりました。
この経験を通して周囲とコミュニケーションを取ることと積極的に動くことの大切さということを学び、貴社に入社後は経験で得たことを活かして活躍していきたいと考えています。
【ガクチカで高校時代の経験はあり?】高校時代の経験をガクチカに使う際のポイント
企業によってはエピソードを大学時代に限定するところがあるものの、それ以外のケースにおいては高校時代を振り返ってみるのもよいでしょう。
ただしただ単にエピソードを披露するだけではなく、あくまでも採用面接に有効な手立てとして話題をまとめておかなければなりません。
高校だけに話題が集中してしまうと大学時代は何もしてこなかったと思われるのと同様に、話がかたよりすぎると独善的な人物に思われかねないため注意や対策が必要です。
必ず今につながる内容にする
ここまで見てきたように、企業側によって条件の設定がされていなければ、高校時代のことを取り上げても問題はありません。
それでも質問されるのは大事な採用試験の場なので、問われている意図をしっかりくまなければならないのは当然のことです。
質問の目的が学生時代の功績を知りたいわけではなく、大切にしてきた価値観を知るためであると理解していれば、答え方は自ずと工夫できるでしょう。
企業側にとって学生時代に取り組んできたことに対する質問は、どんなモチベーションによって頑張りへつなげられたのか、それが仕事に結びつくのかを知りたいわけです。
つまり、一時の頑張りよりも継続して続けられること、高校時代から現在まで一貫して取り組んでいることをアピールできればよいのです。
高校時代があったから現在の自分が形成されているという漠然としたものではなく、現在も継続しているという最近の状態をうまく伝えられれば採用者の心にしっかりと響くことでしょう。
ほかの設問で大学時代のエピソードを使う
高校時代のエピソードを使うにしても、質問に対しては現在にわたって引き継がれていることをしっかり伝えなければなりません。
高校から大学まで一貫して頑張ってきたことであれば、大学時代に何もしてこなかったという印象を避けられるでしょう。
しかし、あくまでも企業側は最近の状態を知りたがっています。
自分をアピールする場において、できるだけ大学時代のエピソードを使いましょう。
あらためて学生時代を振り返ることは面接における対策だけではなく、自分の強みを見出し、新たな発見につながるなど有意義な時間です。
大学時代に力を入れてきたことについてうまくまとめて、面接においてしっかり伝えられるよう準備を進めておきましょう。
意欲と熱量の高さをアピール
意欲や熱量が高いと、モチベーションを維持しやすいだけでなく、周囲の士気を上げたり協力を得られたりするので、良い結果につながりやすいです。
そのため、企業は物事に熱意を持って取り組める人材を採用したいと考えています。
困難で辛いことに対しては尚更です。
社会人として仕事をしていくにあたり、結果を出すためには学生時代以上の忍耐力や努力が必要になる場面があります。そのため、意欲や熱量は必要不可欠です。
ガクチカの経験の過程についてどれだけ深く考えているかと、具体的な行動内容を説明すると、意欲や熱量が表れます。
意欲や熱量の高さが表れているガクチカにできれば、仕事でも同じように熱心に取り組んでくれるという印象を与えられます。
仕事への再現性の高さをアピール
先にもご説明した通り、企業はガクチカを通じて、入社後にその学生が活躍できるかどうかをチェックしています。
ですから、ガクチカの経験や学びを入社後に発揮できることを企業側にイメージしてもらわなくてはなりません。
同時に学生も、自身の体験と学びが社会人として仕事に活かせることを理解していると、示すことが大切です。
ガクチカを通じて学んだことを言語化し、仕事でどのように活かしていくのかも述べましょう。
その際に、主観や思い込みだけでまとめてしまわないように注意してください。
周囲のからの評価を織り交ぜるなどして、客観性を持たせると説得力が増します。
また、つじつまが合わないことや論理的におかしい内容にならないよう、気をつけて構成を考えましょう。
【ガクチカで高校時代の経験はあり?】高校時代の経験を用いた例文3選
高校時代の経験を題材にしたガクチカを3つご紹介します。
現在にどのように影響しているかや、企業の知りたい内容が分かりやすく書かれているかなど、これまで紹介してきたガクチカを書く際に大切なポイントを思い出しながら読んでみてください。
字数や時間の制限によって、伝えたい内容をすべて盛り込めないこともあります。
他の設問でもアピールできる内容であれば、省略しても大丈夫です。
企業で活躍できる人材であることを企業が予測できるように、必要な情報をまとめましょう。
例文①部活動
私はチームの問題を根本から探るため、選手の身体的数値や運動能力値、各スキルなどを分析したところ、数人が自らの強みを最大限に活かせないポジションでプレーしていることを発見しました。
そこで、彼らにポジション変更を訴えました。
しかし、高校でのポジション変更は、今後の選手キャリアに大きく影響するため、簡単には受け入れてくれませんでした。
だから、その責任の重さを十分に自覚し、各選手の将来的メリットまで選手のデータをもとに提示しました。
すると、全員が承諾してくれ、県3位にまでなることができました。
例文②文化祭
ダンスパフォーマンスの企画立案から物資の仕入れ、宣伝、当日の進行まで一通りの業務に携わりました。
参加した人の思い出に強く残るようなイベントにするために、できるだけ大きな規模で人を集め、盛り上げることが大切だと考えました。
パフォーマンスの一部を公開してイベントの雰囲気を知ってもらえるよう工夫し、学校外での広告活動にも尽力した結果、当日は過去最大の来場者数を達成できたのです。
文化祭前までは、ほとんど存在を知られていなかったダンスチームのメンバーが多くの人に知られ、ダンスの話題を振られるようになりました。
自分が企画から実行まで関わった文化祭の出し物が多くの人の心を動かし、態度変容まで起こすことに強いやりがいを感じます。
例文③生徒会活動
生徒には変更したい校則があり、教員は生徒に実行させたい行動があるなど、板挟みになることもありました。
私の学校での校則変更は前例がなかったため、最初は教員も受け入れる様子はありませんでした。
そのため、どれくらいの生徒が不満を抱えているのかを署名してもらうことで明確にし、教員に伝えたのです。
双方の主張を丁寧に聞き、折り合いをつけるための妥協案や解決策の考案をいくつも考え、何度も提案しました。
双方が納得する形で校則の変更を実現できたときには、多くの生徒から「ありがとう」と言われ、達成感を得られました。
人が抱えている悩みを解決し、豊かさを届けることに1番のやりがいを感じています。
まとめ
面接において、自分をアピールするために、高校時代の経験を使いたいと思っている就活生もいるでしょう。
大学時代に胸を張って言えるような経験ができなかった、思うような経験ができなかったということもあるかもしれません。
条件が限定されている場合をのぞき、質問への回答に対して高校時代のことを使うのは間違いではないです。
ただしあくまでも、高校時代から今に至るまで継続していることを交えながら、採用者側にうまく伝わるように意識してみましょう。