はじめに
選考を進めていくと、「グループディスカッション」というワードを耳にする機会が多くなってくるかと思います。
グループディスカッションは、たくさんの応募者から一気に短時間で大量の選考ができるため、特に倍率の高い新卒採用時に用いられる採用選考方法です。
面接官との面談ではないので、選考の一環としてあまり実感がわきにくいかもしれません。
しかし、ここでの一人ひとりの発言や振る舞いはしっかりとチェックされています。
グループディスカッションは、その場限りの勝負に思えるかもしれませんが、事前の準備と心構えはとても大事になります。
いつグループディスカッション選考がはじまっても乗り越えられるようにしておきましょう。
今回は、グループディスカッションの目的と、選考を突破するために知っておくべきことを紹介します。
グループディスカッションで面接官に好印象を与えて、つぎのステップの足掛かりとしてください。
【グループディスカッションのコツ】グループディスカッションとは?
グループディスカッションとは、主に就職選考の場面で用いられる採用手法の1つです。
その名のとおり、グループでディスカッション=討論をします。
3~10名ほどの複数の学生が企業から与えられたテーマについて議論や討論をし、そのプロセスを担当者が審査します。
ディスカッションのテーマは、「自社の売り上げを伸ばすための方法とは」という問題解決型の課題から、「リーダーに相応しいのはどのような人物か」といった抽象的な質問から答えを求める課題まで、さまざまです。
ここで重要になってくるのは「どのような答えを出したか」ではなく「どのような過程でディスカッションを行ったか」です。
そのため、無理矢理自分の意見を押し通そうとする行為は、マイナスポイントになりかねないので注意しましょう。
【グループディスカッションのコツ】GDを行う目的
グループディスカッションは集団選考ですが、倫理的思考ができているか、リーダーシップがあるかなどの個人の能力も確認されています。
しかし、ESや個人面接では判断できない、就活生の集団やチームのなかでの振る舞いを確認することが最大の目的です。
グループディスカッション選考では、協調性や理解力などといった対人能力を見極められる場だと考えるようにしましょう。
チーム戦だととらえて、全員が合格できるように協力して進めることが重要です。
自分と意見が違うからといって対抗心をあらわにしたり、逆に自分の意見を否定されたからといってむきになったりしては、企業担当者に悪印象を与えてしまいます。
自分の振る舞いがチームの結果に、チームの振る舞いが自分の結果になることを忘れずに臨みましょう。
協調性
チームワークを意識して動けるかどうか、周りを見ているかなどの協調性を確かめることが企業のグループディスカッションにおける目的となります。
グループディスカッションは3名〜10名ほどのグループで行われ、チームの中でどのような役割を果たすか、協調性があるかが、チェックされます。
企業というのは団体や組織となるため、人間関係を円滑に構築させ、スムーズにやっていける人材を、企業はグループディスカッションの中で探していきます。
職場で気持ちよく働く為には、協調性が欠かせない人間性となってくるのです。
グループディスカッションで協調性をアピールするためには、空気を読みながら発言したり、グループをまとめようと尽力したりする姿勢が求められます。
リーダーシップ
企業は、グループディスカッションを通して、リーダーシップを取れる人材を探している場合もあります。
チームで働く職場の場合は、特にリーダーシップが必要とされています。
意見をまとめられる人や、議論を進めていくための的確な発言ができる人は、リーダーシップが取れていると言えるでしょう。
ディスカッションの役割分担の際には、リーダー役を進んで引き受け、ディスカッションをスムーズに進めていきましょう。
またディスカッション中には、様々な意見を上手に整理し、まとめていくこともリーダーシップをアピールすることになります。
ただし、グループの中で数人がリーダーシップを発揮しようと頑張りすぎると、変な空気になってしまいます。
リーダーになれた場合でも、でしゃばりすぎず、自分ばかりが話すぎないように注意しましょう。
コミュニケーション能力
企業がグループディスカッションを選考に用いるのは、コミュニケーション能力の高さをチェックする目的もあります。
面接官の質問に上手く答えられるだけでは、コミュニケーション能力が高い人ということにはなりません。
グループの中でしっかり会話ができ、さらに会話には入れていない人をフォローしたり、場の緊張をほぐしたりできる人はコミュニケーション能力があると言えるでしょう。
特に何人かでディスカッションをする際には、こうした能力がチェックしやすくなります。
グループディスカッション中には、自分の発言が終わったら、まだ発言していない人に話を振るなど、周りへのフォローを欠かさないようにしましょう。
また、他の人の発言に反対する場合にも、「そう言った考えは面白いと思います。
しかし......」など、完全には否定せずに自分の発言をいうようにしましょう。
そうすることで場の雰囲気が悪くならず、話し合いを進めることができます。
【グループディスカッションのコツ】グループディスカッションの種類
グループディスカッションを上手く進めるためには、グループディスカッションの種類をあらかじめしっかりと知っておくのも一つのコツとなります。
企業が出題した課題を解決するタイプのグループディスカッションを想像しやすいですが、グループディスカッションは主に4つの型に分類することができます。
ここでは、課題解決型、ディベート型、選択型、自由討論型の4つのグループディスカッションについて詳しく解説していきます。
課題解決型
課題解決型のグループディスカッションは、企業が提示した課題に対して、グループで解決策を探すタイプのディスカッションとなります。
まず、テーマとなる課題を確認した上で目標を設定し、現状分析しながら課題解決策を模索していきます。
課題のテーマは、「売り上げを上げるには」、「円安を止めるには」、「キャッシュレス決済を普及させるには」など日頃から社会への関心を持っているか、ということが問われるものが多くなります。
また企業の関わっているプロジェクトや商品が絡んでいる課題が与えられる場合もあります。
課題解決型のグループディスカッションでは、リーダーがディスカッションを進め、意見を出し合っていきます。
最終的に根拠のある解決策を出し、グループで出した結論を発表していきます。
ディベート型
ディベート型のグループディスカッションでは、対立する二つの意見を主張しながら議論を進めていく方法です。
課題に対して、賛成派と反対派に分かれ、議論をしていきます。
課題は、「仕事で大切なのはやりがいかお金か」、「大学へいくべきか否か」、「大企業と中小企業のどちらが良いか」など決まった正解のない難題が出題されることが多くなります。
そのため、自分の意見を強く述べるだけでなく、相手の意見にも耳を傾けることが非常に大切となります。
最終的には、賛成派と反対派の意見に折り合いをつけ、一つの結論を出すことがディベート型グループディスカッションの目的となります。
話し合いが加熱しやすいため、意見がまとまりにくいですが、最終目標を見失わず進めていくことが重要です。
選択型
選択型グループディスカッションは、いくつかの選択肢の中から答えや優先順位を議論するタイプのディスカッションです。
選択型は選択肢が2つ以上設定されており、「人材、商品、店の立地のうち、売り上げを伸ばすために最も重要なものはどれか」、「国語、算数、理科、社会のうち最も重要なものはどれか」といった課題が出題されます。
選択型のグループディスカッションは、グループ内でも意見が分かれやすく、まとまりにくくなります。
そのため、最初にどういう評価基準で順位を決めるかを話し合うことが非常に大切です。
グループ全員で共通した評価基準を持つことで、優先順位を決めやすくなり、発表の際にも優先順位の根拠を示しやすくなります。
自由討論型
自由討論型グループディスカッションでは、明確な答えや選択肢が定められていない抽象的なテーマをもとに自由に議論を進めるタイプのディスカッションとなります。
課題解決型とは異なり、決まった型がないため、議論が脱線しやすくなり注意が必要です。
自由討論型では、「働く意味とは」、「10年後の日本はどうなっているか」などがテーマとして取り上げられます。
抽象的なテーマであるため、最初にグループ内でどんな意図でそのテーマが出題されたかを話し合う必要があります。
そして、その意図に沿って話し合いを進めていくことで、根拠のある結論を出しやすくなります。
自由討論型グループディスカッションでは、意見やアイディアがある人が話しすぎてしまう傾向があるため、時間配分をしっかりとしていく必要があります。
【グループディスカッションのコツ】グループディスカッションで選考を突破するためには?
グループディスカッションは1対1の面接と違い、自分の意見を話す時間が決められていないため、発言のタイミングが難しく感じられることもあるかと思います。
なかには、とにかく何か発言しなくてはと焦ってしまう人もいるのではないでしょうか。
グループディスカッション選考で高評価を受けやすいポイントは、主にコミュニケーション力と論理的思考力の高さだと考えられます。
この2点は必ず念頭においてディスカッションをするようにしましょう。
コツを知っていればどんなテーマでも落ち着いて対応できるはずです。
それでは実際に、グループディスカッション選考を突破するために、知っておいて欲しいコツを6つ紹介します。
①自分が得意な役割を選ぶ
グループディスカッションでうまく立ち回るには、どんな役割を選ぶのかがとても重要になります。
特定の役割が有利ということはありませんが、自分の強みが活かされる役割を選ぶようにしましょう。
たとえば、相手からうまく意見を引き出し、話をまとめるのが得意な人はファシリテーター(リーダー)がおすすめです。
リーダーによって全体の方向性が決まるので、チームにとってもかなり重要な役割です。
全体の流れをくみ取って、時間配分をすることに自信がある人はタイムキーパーをしましょう。
難しい役割ではありませんが、結論が出ないままタイムオーバーになると評価が下がりやすくもあるので注意が必要です。
また、相手の意見をくみ取り、まとめておくことに自信がある場合は書記を選びましょう。
書記は全員の意見をもっとも把握できているはずなので、議論が停滞した際など、意見の深堀などを積極的に行うことで高評価を得られる可能性があります。
②前提条件を細かく設定する
役割が決定したあと、さっそくディスカッションに移りたいところですが、ひとまず待ってください。
決められた時間のなかで効率よく話をまとめるために、まずはテーマに対しての前提条件を細かく設定し、共有する必要があります。
チームのなかで認識に食い違いがあると、議論の方向性が定まらず、納得のいく結論を導き出すことは困難になるでしょう。
また、課題に対して意見をすり合わせていく様子について、人事担当者はチェックしています。
はじめに前提条件を細かく設定し、議論のスタート地点をしっかり定めることで、議論のずれを最小限にできるのです。
そのため、すぐに議論を始めるのではなく、一度時間を取って前提設定を共有しておきましょう。
③意見と根拠を合わせて発言する
グループディスカッションでは、倫理的思考力が重要な評価ポイントとお伝えしました。
議論中、どのような意見を発言したかで倫理的思考力が判断できます。
そのため、自分の意見を述べるときは必ず根拠も合わせて発言しましょう。
なんとなくや思いつきの発言を肯定してしまうと、チームとしても評価を得られにくいため、どんなによい意見であっても尊重されにくくなってしまうのです。
また、全員が根拠のある理論的な発言することで、議論はより建設的なものに発展します。
結果として話もまとまりやすく、よい結論が導き出される可能性は高くなります。
倫理的思考力を評価してもらうためにも、意見を述べる際には、根拠も合わせて発言することを徹底して行いましょう。
④発言できていないメンバーに話を振る
グループディスカッションでは、「いかによい発言をするか」に注力してしまい、周りの様子をうかがうのがおろそかになりがちです。
しかし、話し合いや議論の場で発言をするのが苦手な人は少なくありません。
そういった人への配慮ができると、協調性があり、どんな組織でもうまく立ち回れると評価してもらいやすくなります。
自分がリーダーである場合はもちろんのこと、そうでない場合にも、発言できていない人にきっかけを与えてあげてください。
よい意見をもっていたとしても、発言しなければ意見がないと同じことです。
チームとしてのチャンスを見逃さないようにしてください。
チームのメンバーは仲間だということを忘れずに、広い視野と協調性があることをアピールするためにも、発言できていないメンバーに話を振ってみましょう。
⑤他メンバーの発言の補足をする
議論中、どうしても自分の意見が思いつかなかったり、思い通りに進まなかったりする場面も出てくると思います。
このような場合、「とにかく発言しなくては」と焦ってしまう人も多いかと思いますが、落ち着いてほかの人の話に耳を傾けましょう。
逆にこの機をチャンスに変えるのです。
何度もお伝えしましたが、グループディスカッションは個人戦ではなくチーム戦です。
「意見のない人」から脱却するために、メンバーの話をよく聞き、要約、補足してください。
まとまりのなかった意見を要約してあげることで、思考もクリアになり、議論が進みやすくなります。
その理解力と伝える力の高さは、どのような場面でも重宝されるため、企業担当者もそんな人材を高く評価してくれることでしょう。
⑥発表を担当する
企業によって発表の時間がある場合とない場合があります。
さまざまな役割があると紹介しましたが、発表の機会があるときは積極的に発表者へ立候補するのもよいでしょう。
発表を担当することによって、グループディスカッションへの積極的な姿勢を、目に見えて示すことができます。
発表者になることによって評価がプラスになることはあっても、マイナスになることはないので、自信があればぜひ挑戦してください。
ただし、発表内容や発表の仕方にあまりにも不安がある場合には、失点になることも十分にあり得ます。
企業担当者に最後の印象を与えるとても重要な役割なので、チームのためにも、存在感をアピールするためだけに無謀な立候補は避けてください。
また、チームでまとまった意見を尊重し、どれだけすぐれていると感じていても、自分の意見を優先して発表しないように気をつけましょう。
【グループディスカッションのコツ】グループディスカッションでやりがちな注意点
グループディスカッションでは、無意識のうちについついやりがちなダメな行動があり、それをしてしまうと選考担当者に良い印象を残せない場合も出てきてしまいます。
とくに自分の能力をアピールできなかったり、人柄の良さをアピールできなかったりすると、容赦無く落とされてしまいます。
そこでここからは、グループディスカッションでやりがちな行動の注意点や、選考に落ちやすくなる言動を紹介していきます。
グループディスカッションでは、自分の行動や言動を客観視し、選考担当者に良い印象を持ってもらえるように心がけましょう。
議論中の癖に注意
グループディスカッションは、周りで選考担当者が見ているとは言え、議論をする相手は学生となります。
そのため、雰囲気に馴染みやすく、また気が緩んでしまうこともあり、つい普段の癖が出てしまいがちになってしまいます。
例えば、ペンを回したり、髪の毛をいじったりする癖には注意が必要です。
自分は気にならないようなことでも、採用担当者からみるとかなり悪印象になることを認識しておきましょう。
また、姿勢の悪さや足の開きすぎなど、時間が経ってくると出てきてしまう癖にも十分注意が必要です。
周りの学生がいくらだらけてきても、しっかりと身を引き締めて時間を過ごすようにします。
グループディスカッションの最初から最後まで常に選考されている、という意識を持つように心がけましょう。
喋りすぎない
グループディスカッションでは、発言を全くしない、ということは論外です。
しかし、グループディスカッションの中で喋りすぎてしまうことも、問題となります。
グループディスカッションは、短い時間で結論を出さなければいけません。
そのため、自分だけが話しすぎてしまうと、他の人が話す時間がなくなってしまうものです。
あくまでもグループディスカッションでは、協調性をが重要視される場となります。
たくさんアイディアがあったとしても、意見を一つ述べたら、次の人に発言権を譲るように心がけましょう。
また全体の様子をしっかり見るようにし、発言をしていない人がいたら、発言できるようにフォローすることも忘れてはいけません。
日頃からグループディスカッションに備えた練習をし、自分の意見を簡潔にまとめるように心がけておきましょう。
クラッシャーにならない
喋りすぎと同様に注意したいのが、「自分をアピールしなければ!」と意気込みすぎて周りが見えなくなってしまう行動です。
特に、他の人が自分よりも優秀に見えると、どうしてもその人を落としたい、場の雰囲気を自分中心の物にしたい、そんな気持ちが出てきてしまいます。
余計な行動を取り、グループディスカッションのクラッシャーになってしまうのです。
意見がまとまってきた議論の終盤で「そういえば、、」と議論を振り出しに戻そうとしたり、横文字を乱用したりすることは絶対にやめましょう。
クラッシャーになってしまうと、協調性やコミュニケーション能力に欠けていると思われてしまいます。
いくら発言内容が優れていたとしても、グループディスカッションの目的から外れてしまうため、選考から落ちてしまうでしょう。
必ず場の空気を読み、その中で自分をアピールする方法を見つけていきましょう。
まとめ
今回は、グループディスカッションの目的と、選考突破のためのポイントを紹介しました。
グループディスカッションは、多数の応募者からつぎの選考に進む人を選び抜くため、ある程度の存在感を示すことが大事になります。
そのために、倫理的な根拠の伴う発言と、周りとのコミュニケーションをおこたらないように気をつけてください。
また、自分の強みを活かすことのできる適切な役割を担当するようにしましょう。
これらのことに気をつけていれば、どのようなテーマであったとしても焦らず対応できるはずです。
大事なのはチームで選考に突破しようと協力し合うことです。
積極的に議論に参加する姿勢は高評価を得られるはずなので、ぜひともこの記事を参考に、グループディスカッション選考を勝ち抜いてください。