はじめに
住宅業界と不動産業界について、それぞれの違いがよくわからないという人も多いでしょう。
しかし、似て非なるものであるため、しっかり区別して就活に臨みたいところです。
そこで今回は、住宅業界と不動産業界について、それぞれ詳しく紹介しつつ、業界の動向や向いている人の特徴についても紹介します。
住宅業界または不動産業界を目指している人はぜひ、最後までご覧ください。
住宅業界と不動産業界の違いとは?
まず結論として、不動産業界と住宅業界の違いは「業務の目的」にあります。
不動産業界は、「建築された後」の建物や土地の流通管理などを行うのがメインであり、扱うものはすでに完成されています。
一方で、住宅業界は「住宅を作ること」が目的で、そのために設計や建築などを行う業界です。
よって、一言で言うならば、住宅業界は建物を作るのが目的で、不動産業界は建物の流通や管理などを行うということです。
【住宅業界と不動産業界の違い】住宅業界の動向
続いて、住宅業界の動向についても理解しておきましょう。
大きく分けて4つのトピックがあるため、それぞれ理解した上で、就活に活用してください。
公共事業と民間事業の2つがある
住宅業界の動向として、公共事業と民間事業の2つがあることが挙げられます。
国や市町村などから発注された事業が公共事業であり、道路の建設や橋の建築などを行うのが主な役割です。
一方で、企業や個人などからの発注を受けることが民間事業と言われています。
規模や発生する金額などは大きく異なりますが、いずれにおいても安全に、そして発注者の要望に沿ったものを作るということには違いがありません。
業界規模は減少している
業界規模が減少しているという事実は、住宅業界を目指す人にとって忘れてはいけないポイントの1つです。
2019年までは緩やかな増加傾向にありましたが、2020年以降、業界規模が減少しています。
2020年の新型コロナウイルスの流行が大きく影響を与えており、パンデミックにより経済活動が停滞して人々の収入が減少したため、新しい住宅への購入や建設に投資ができなくなりました。
また、人口の変化も関係しています。
日本では少子高齢化が進んでいるため経済的に厳しく、新しい家を建てようと思う人は少なくなってきています。
海外に進出している
住宅業界は、海外に進出していることもトレンドの1つとして挙げられます。
なぜならば、まず国内での住宅需要が減少しているからです。
先ほども述べたように業界の規模が減少しているということもあり、国内だけでビジネスを行うのではなく、盗難アジアなどに進出する企業が増えています。
特に、成長が著しい国などにおいては、中間所得層の増加により住宅の需要が高まっている場合が多いです。
これにより新しい顧客層を獲得できるチャンスが増えています。
リフォームの必要性が増加する
リフォームの必要性が増加するというのも、住宅業界において見逃せないトレンドの1つです。
空き家が増加傾向にある一方で、親世代の住宅は減少傾向にあります。
ということは、空き家をリフォームして中古販売する事業を展開していく必要があります。
リフォームの場合、新築よりも安く家を手に入れられるため、景気が厳しい現代においてもマイホームの夢を叶えるために利用しようと考えている人は多いです。
スマートハウスの需要が増える
スマートハウスの需要が増えるというのも、住宅業界におけるトレンドとして近年注目されているものの1つです。
ITを活用して、海外でのエネルギー消費をコントロールできるスマートハウスは、エコフレンドリーの観点から、様々な業界から注目されています。
例えば、太陽光発電を搭載した住宅などが増えることで、地球に優しい住宅を建てられます。
SDGsなどの概念が大きく注目されている現代においては、スマートハウスの需要はより増えると考えて良いでしょう。
【住宅業界と不動産業界の違い】住宅業界の仕事
では、住宅業界の仕事にはどのようなものがあるのかについても一緒に確認しましょう。
大きく分けて3つの仕事があるため、それぞれ紹介します。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは全国、または広い範囲の地域で住宅建設を展開している企業です。
住宅の企画や設計建設販売まで、顧客に対して一貫したサービスを提供しているのが特徴です。
住宅の企画設計においては、顧客のニーズに合わせた設計を行い、土地の選定、住宅の間取り、デザイン、素材、レベル、エネルギー効率の高い設備の導入なども行います。
建設施工管理においては、品質管理や工程管理を徹底し、安全で快適な住宅を建てるため、高い技術力と管理力が必要とされます。
また、アフターサービスもハウスメーカーの仕事の1つです。
住宅の引き渡し後も長期にわたってサポートを提供し、保証期間内の修理対応や電気的なメンテナンスのサービス、リノベーションの提案などを行い、顧客との長期的な関係を築きます。
工務店
一方で、工務店はハウスメーカーと異なり、地元に密着して活動する住宅建設業者で、ハウスメーカーと比較して、地域に根ざしたサービスを提供していることが特徴です。
ハウスメーカーと同じく、住宅の設計から建築、サービスに至るまで様々な業務を行いますが、地元の文化や気候に適した家づくりに注力しているのがポイントです。
ハウスメーカーでもオーダーメイドの家は作れますが、特に工務店はオーダーメイドの家づくりに力を入れています。
顧客のライフスタイルに基づいて間取り、デザイン、素材、から徹底的にこだわって、個性的で機能的な住宅を設計することを目指します。
また、地域の気候や風土を理解しているため、その知識に最適な建築方法や材料を選定し、耐久性と快適性を兼ね備えた家づくりも行います。
より、一人ひとりの顧客に対して丁寧な対応ができ、変更や追加の要望にも柔軟に対応できるのが工務店の特徴です。
建築設計事務所
建設設計事務所は、建物の設計や監督をする建築家がいる事務所のことを指す言葉です。
1人の建築家が自分で運営している設計事務所から、代表者がいて、数人の建築家で運営される設計事務所、数百人単位の建築家が所属している大きな設計事務所など、規模はそれぞれ異なります。
様々な設計事務所がありますが、いずれにも共通していることとして、物や空間をデザインして、それが形になるまでの工程を管理するという役割を担うことが挙げられます。
設計事務所に依頼するメリットとしては、自由度が高く、自分だけの要望を叶えてくれる家を建てられることが挙げられます。
一方で、完成まで時間がかかるため「あまりこだわらずにサクッと家づくりをしたい」「予算をそこまでかけたくない」という方にはあまり向いていないかもしれません。
【住宅業界と不動産業界の違い】住宅業界に向いている人の特徴
続いて、住宅業界に向いている人の特徴についても確認してみましょう。
大きく分けて4つの特徴があるため、自分に当てはまっているか確認し、当てはまっていない部分は、就活本番までに可能な限り近づけるように取り組んでみてください。
相手の考えに共感できる人
相手の考えに共感できる人は、住宅業界、特に営業職として働くにあたって大いに活躍できる可能性が高いです。
なぜならば、住宅は人生において最も大きな買い物の1つだからです。
顧客に対して押し売りを行うのではなく「どのような家が欲しいのか」「どのくらいの予算があるのか」そして、「その家を通じてどのような人生を送りたいのか」について一緒に考える必要があります。
相手の考えに共感できる人は、「自分が売りたいから」という気持ちを優先するのではなく、「自分がこの人だったらどうしたいだろう」という観点から提案できます。
自分の考えを押し付けて、ただ家を売ろうとするのではなく、相手の考えに共感し、適切な提案をする人こそ、住宅業界に向いていると言えるのです。
流行に敏感な人
住宅業界も、時代に応じてトレンドが大きく変わる可能性がある業界であるため、流行に敏感でなければなりません。
数年前には常識とされていたことが、現在では「古い」と言われるなど、非常に流行の移り変わりが激しい業界であり、それらに対応するためには常に流行をチェックする必要があるのです。
特に営業職においては、流行に少しでも遅れてしまい、顧客のニーズに沿った提案ができなければ、信頼を得られずに成約率が下がります。
新聞や雑誌などはもちろんのこと、SNSなどを活用して普段から最新のトレンドに触れている人は、住宅業界で働くにあたっても知識をアップデートすることにストレスを感じないでしょう。
もし、現段階でニュースをチェックする習慣が全く無い人は、まずはニュースアプリをスマホにインストールしてみて、1日5分でも目を通す習慣をつけることをおすすめします。
計画性がある人
家を建てるにあたっては、徹底的に計画を立ててそれに応じて業務を行う必要があります。
つまり、計画性がない人はなかなか働くことが難しいということです。
顧客の注文に対して計画性を持って行動をしないと大きな問題につながりかねません。
家は、ありとあらゆる買い物の中で最も高いものであり、要望から少しでも外れているものを渡された場合、クレームにもつながりかねません。
よって、計画性を持って納期までに要望に完璧に沿ったものを作るために、計画性を発揮する必要があります。
計画性に自信が無い人は、就活の計画を立ててみてください。
これにより、計画に沿ってスムーズに就活を進められるだけでなく、就職までに計画性を養うこともできます。
語学力がある人
住宅業界は先ほども説明したように、海外に進出している企業もかなりの数あります。
よって、語学力のある人は多くの企業から引っ張りだこになること間違いなしです。
必ずしもネイティブと同じようなレベルで話せる必要こそありませんが、英語や中国語のように、話せる人が多い言語を扱うことができれば、世界中のクライアントと取引ができるようになります。
まだまだ住宅業界には外国語を扱える人材が少ないとされているため、今からでもTOEICなどの対策を行い、語学力を就活本番でアピールできるようにしましょう。
【住宅業界と不動産業界の違い】不動産業界の動向
一方で、不動産業界の動向にはどのようなものがあるのかについても一緒に確認してみましょう。
特に不動産業界をメインに就活を進める人は面接において聞かれた際に回答できるようにすることが大切です。
とっさの質問にも慌てないよう不動産業界のメインの動向については理解しておく必要があります。
業界規模は減少している
不動産業界も、住宅業界と同じように業界の規模が減少しているということは覚えておきましょう。
経済全体の停滞や不透明感が増すことにより、企業や個人は不動産投資を控える傾向にあります。
特に2020年以降は新型コロナウイルスの影響で多くのビジネスが不調に陥り、不動産業界にも大きな影響が出ました。
また、住宅業界と同じように人口が減少し、少子高齢化が進んでいる現代では、マイホームを持とうとする人があまり多くないため、業界規模は減少していると言わざるを得ません。
その中で、どのように生き残るかについて考え続けながら業務を行うことが大切であると言えます。
マンションの高騰
マンションが高騰していることも、不動産業界のトレンドを抑える上で見逃せない情報の1つです。
特に、都市部を中心にマンション価格の高騰が続いており、需要の高まりに対して供給が全く追いついていません。
新型コロナウイルスなどの影響もあり、建設も大きく遅延が発生し、需要に応じてマンションの数が提供できていない現状が続いています。
このような状況下においては、ただでさえ物価が高くなっていることに加えて、値段の高騰が続いています。
また、最近では投資目的で不動産を購入する層が増加していることも、マンションの高騰につながっていると考えられています。
環境に配慮した取り組み
不動産業界では、環境への配慮がますます重要視されており、その一環として省エネ型住宅への取り組みなども加速しています。
省エネ型住宅とは、家庭内で電力を発電し、エネルギー消費率を実質0以下にすることを目指す取り組みです。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを活用することで、自ら電力を生産することが可能で、環境への負担を大幅に軽減できます。
さらに、断熱性能の向上や高効率な機器の導入など、エネルギー消費を最小限に行う設計なども行われています。
地球温暖化や資源の枯渇といった環境問題の対策として注目されており、SDGsの概念が提唱されている現代においては、ますます環境に配慮した取り組みをする不動産の企業が増えると考えられています。
海外に進出している
住宅業界と同じように、不動産業界においても海外に進出する企業は非常に数を増しています。
コロナウイルスが流行する以前から海外に進出をするケースが目立っていましたが、特にコロナウイルス以降は、海外進出を行う企業が増えています。
国内市場が先細りすることを視野に、海外進出をする企業がさらに数を増しているのです。
よって、海外で働きたいと考えている方や、英語をはじめとした外国語が得意な方には、不動産業界は非常に向いているとも言えます。
物流施設の需要が高まる
物流業界の需要が高まることも不動産業界において大きな影響を与えると考えられています。
一見、何の関係もない業界に思えるかもしれませんが、物流関係の新規施設の建設が期待されていることが大きく関係しているのです。
コロナウイルスの影響もあり、物流が非常に活発になっている現代において、物流関係の施設が足りていないという問題が発生しています。
つまり不動産業界が物流関係の新規施設を作ることで、この需要の高まりに応じることができるのです。
このように、不動産業界は、他の業界の需要の高まりなどに応じて仕事が増える可能性もあるため、常にアンテナを張り巡らせながら仕事に取り組む必要があると言えます。
【住宅業界と不動産業界の違い】不動産業界の仕事
続いて、不動産業界の仕事についても一緒に確認しましょう。
不動産業界の仕事には様々なものがありますが大きく分けて、以下の4つが代表的であるとされています。
開発
不動産開発は新しい建物や施設を建設し、それぞれの物件を販売、または、貸し出すプロセス全体のことを指している仕事です。
開発を都市の調査から始め、建設計画や設計を立てて、必要な許認可などの取得も行います。
そして、建設作業を監督し、完成した物件を市場または顧客に提供するのが仕事です。
建築家や設計者、建設会社など多くの人々が関わる仕事です。
流通
不動産の流通は不動産の売買や賃貸取引の仲介を担う役割を果たしている不動産仲介業者が売買契約や賃貸契約の仲介を行います。
これには市場調査や評価価格交渉、契約の締結、そして物件のプロモーションなどの業務が含まれます。
売買仲介においても賃貸の場合においても、いずれにせよ交渉術や法的な深い知識が求められます。
また市場の動向や地域の需要などについて把握し、顧客との信頼関係を築くことも必要です。
管理
不動産管理は所有者や投資家の代理として、不動産の資産を管理し、収益を最大化することを目指します。
賃貸管理や施設の管理および資産の管理などが代表的な仕事です。
家賃や売上の徴収、メンテナンスの手配、テナントとのやり取り、法的な問題の処理なども仕事の1つです。
また、市場調査や競合物件の分析なども行い、不動産資産の価値向上に努めるのも役割の1つとされています。
資産の種類や規模に応じて豊富な専門知識とスキルが求められる仕事です。
投資・運用
不動産の投資運用は投資家から資金を集め、不動産物件を購入し、収益を生み出すものです。
物件の選定や資産の管理、収益の最適化、そして投資家への状況の報告などを行うのが仕事です。
市場の分析やリスクの徹底的な管理、資産の再評価、収益分配なども行う必要があります。
資本とリスクの適切なバランスを取ることを常に考えながら、適切な投資戦略に基づいた運用を行う必要があるため、非常にデリケートな仕事の1つであるとも言えます。
【不動産業界に向いている人の特徴】向いている人の特徴
不動産業界に向いている人の特徴についても理解を深めておきましょう。
以下の4つの特徴のうち、複数が当てはまる人は不動産業界に向いていると言えます。
ストレス耐性がある人
不動産業界で働くにあたっては、ストレス耐性は必ず必要であると言っても過言ではない特徴の1つです。
なぜならば、業務の成果が如実に数字に出る仕事だからです。
そのため、周りなどと数字において比較されるケースが非常に多く、数字を残せない場合はストレスが溜まることが多いです。
そのような場合でも、くじけずに業務に取り組みながら改善を図る人物こそ、不動産業界に向いていると言えます。
成果主義で稼ぎたい人
不動産業界は業務の成果が如実に数字に出ると先ほど紹介しましたが、その分、成果報酬性を導入している企業も多いため、どんどん成果を残し、成果報酬で稼ぎたいと考えている方にはぴったりの働き方であると言えます。
売買の仲介や投資運用の営業においては、実績に応じてインセンティブがつくことも多く、交渉ごとが得意で、様々な案件を成約に導く自信がある方にはまさしく最適な仕事です。
よって、これまでアルバイトなどで数字を追いかけた経験がある人は積極的にアピールしましょう。
コミュニケーション能力がある人
ここまでの2つは、比較的不動産営業の職種に求められる能力でしたが、コミュニケーション能力は、不動産業界のどのような職種においても求められます。
もちろん、不動産営業にコミュニケーション能力は必須ですが、他の職種においても様々な専門家と関わることが多いからです。
多くの顧客や関係者と関係を持つ以上、良好な関係を築けるようなコミュニケーション能力は必須であると言えます。
コミュニケーション能力が高く、場を和ませられる人物が1人いるだけで、チームの雰囲気が悪かったとしても改善できプロジェクトがスムーズに進みます。
特にプロジェクトリーダーや部活の主将、アルバイトリーダーなど、グループの長としてメンバーをまとめた経験がある人は、積極的にアピールしたいところです。
成長意欲が高い人
不動産業界はトレンドや知識の入れ替わりが激しく、新しい情報や技術がどんどん取り入れられる業界であるため、成長意欲が高い人でなければなかなか活躍が難しいでしょう。
成長意欲が高く、日々自分が興味のあることについて勉強できるスキルアップを目指せる人物こそ不動産業界で活躍できる可能性が高いです。
反対に、「もう就職したのだからこれ以上勉強はしたくない」というスタンスの人の場合、不動産業界で働くこと自体はできますが、キャリアアップを目指すことは難しいかもしれません。
自分がこれまで成長意欲を持って取り組んだ経験があるかについて考え、当てはまる場合はぜひ、不動産業界は就活の選択肢に入れて欲しいものの1つです。
【不動産業界に向いている人の特徴】就活エージェントに相談する
今回は、住宅業界と不動産業界について紹介しつつ、それぞれに向いている特徴などについて紹介しました。
しかし、「志望動機や自己PRの書き方がわからない」「記事を読んだけれども、本当に自分に向いているのか心配」という人も多いでしょう。
そんな方には就活エージェントの利用をおすすめします。
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まとめ
今回は、住宅業界と不動産業界の違いについて紹介しつつ、それぞれの業界の業務内容や向いている人の特徴について紹介しました。
住宅業界と不動産業界は非常に似ているものではありますが、基本的に建設までを担当するのが住宅業界、建設されたものを取り扱うのが不動産業界であると覚えておけば忘れにくいでしょう。
どちらの業界も非常にやりがいがあり、モチベーションが高い人は早くキャリアアップを目指せる業界でもあるため、ぜひ記事を参考に第一志望への内定を目指してください。