はじめに
既卒者の就職先として、ベンチャー企業は手を出しやすいところというイメージがあります。
それは、大手企業と比べて「柔軟に人材の募集を考えてくれそう」という点を理由としてあげられるでしょう。
しかし本当に既卒者にとってベンチャー企業が良いのかどうか、不安に思っている方は多いと思います。
大手企業に手を出しづらいというデメリットがあるように、ベンチャー企業にもデメリットがあるはずです。
ベンチャー企業は既卒者にとっておすすめなのか、それともそうではないのか考えていきましょう。
既卒者にとってベンチャー企業はありかなしか
就職せず、もしくはできずに卒業してしまった既卒者にとっては、再び就職活動をすることは不安と大きな労力を要します。
また、大手企業の新卒募集に既卒枠で応募できる場合もありますが、書類選考の時点で既卒者はきびしく審査されてしまう可能性が高いです。
しかし一方で、ベンチャー企業は大手企業よりも既卒者を歓迎してくれる場合が多いといえます。
大手企業を目標に就職活動をするよりも挑戦しやすく、不安や労力も軽減されるでしょう。
もしも大手企業をねらって就職活動をするのが困難なのであれば、ベンチャー企業を目標にしてみるのも選択肢の1つです。
大手企業とベンチャー企業を比較すると、どちらもメリットとデメリットがあり、まずはそれらを比較してから検討するのも手です。
「大手企業よりも就職しやすそうだから」という理由だけでベンチャー企業を選ぶのはおすすめできません。
まずはあなたにとって、ベンチャー企業があっているのかどうか、自分でそれぞれを比較し考えてから決めましょう。
これをせずに就職活動を進めてしまうと、また転職活動をすることになってしまうかもしれません。
選択する際は慎重に考えていきましょう。
既卒者にとってベンチャー企業を選ぶメリット
既卒者がベンチャー企業を選ぶメリットはいくつかあります。
これらは大手企業にはない長所であり、ベンチャー企業への就職活動を考える際に有利な理由になるでしょう。
ベンチャー企業は発展途中の企業であり、とにかく人材を求めています。
それでは、既卒者がベンチャー企業を選ぶ際にメリットとなる点を考えていきましょう。
選考に通りやすい
ベンチャー企業は発展途中のため、常に優秀な人材を求めていたり、人手不足であったりする場合が多いです。
大手企業は、すでに多くの人材を抱えているので採用を勝ち取るのは困難な場合もあります。
その一方で、ベンチャー企業は幅広い視野で人材を求めていると考えるとわかりやすいでしょう。
そしてまず既卒者であれば、年度にかかわらず、すぐに働き始められるという利点があります。
人手が足りない企業にとっては、すぐに働き手として手を貸してくれるというのは非常にありがたい人材です。
新卒はすぐに就職できるわけではなく、選考後しばらく時間が経ってから働き始めることになります。
既卒者はその点有利で、いつでも仕事を始められるはずです。
ベンチャー企業はすぐにでも人手が欲しいと求めているパターンが多いため、大手企業と比べて選考に通りやすく、選考通過後すぐに働きだせる可能性が高いです。
つまりベンチャー企業は大手企業と比較して選考が通りやすく、既卒者にとっては就職活動しやすい場所だといえます。
しかし、必ずしも選考に通るわけではなく、ある程度はベンチャー企業の求める人材とマッチしている必要はあります。
経歴が関係なく幅広い仕事に着手できる
大手企業は経歴、実績などを重視するところもあるでしょう。
それ対してベンチャー企業は、経歴など関係なく、幅広い仕事に着手できるというメリットがあります。
大手企業はすでに多くの人材を雇っていて、ある程度の仕事のスタイルが確立されているものです。
そのため経歴や経験を重視した選考の場合が多く、経歴がない場合はまずは簡単な仕事のみを任されるパターンが考えられます。
一方で、ベンチャー企業は実力成果主義なところがあるため、学歴や経歴に関係なく、多くの仕事をする機会が得られるでしょう。
既卒者だからといって任される仕事が変わるということありません。
したがって、大手企業と比べて自分の経歴を不利に感じることはないといえるでしょう。
既卒者は経歴がある求職者と比べ、大手企業には手を出しづらいですが、ベンチャー企業であればその点を心配する必要はありません。
さらに働き始めてからも、経歴のある人と比べてそれほど差がない待遇で働ける可能性があることも、ベンチャー企業を選ぶメリットといえます。
逆にデメリットはあるのか?
ここまでベンチャー企業に就職活動をするメリットについて紹介してきましたが、デメリットももちろんあります。
大手企業とは違った弱点があるので、就職活動を始める前に把握しておきましょう。
できたばかりの企業や、規模が小さい企業にありがちなデメリットをあげていきます。
研修制度などが完全でない
大手企業は長年の経歴と、多くの人材を扱うスキルがあるため、新人に対する研修制度などもしっかり確立されていることが多いです。
マニュアルもしっかり作られていたり、人材育成を専門にしているスタッフがいたりするところもあるでしょう。
一方で、ベンチャー企業は事業の拡大などにコストをかけることが多く、研修制度などに人手やお金をかけることは少ないです。
企業自体がまだ駆け出しの場合は、まずは手探りで研修を行っているようなところもあるでしょう。
これは今までに人材を育てた経験がないため、仕方のないことです。
そのため、仕事をしながら覚えなければいけないことが多く、新人にかかる負担が多い可能性は高いです。
大手企業であれば、まずはお手本を見ながら覚えられるところを、ベンチャー企業の場合は実践しながら覚えていくことになるかもしれません。
このように大手企業と比べて、ベンチャー企業は、会社の環境がまだ整っていないというデメリットがあります。
ブラック企業である可能性がある
これは見抜くのか難しい点ではありますが、ベンチャー企業はブラック企業である可能性も否めません。
大手企業と違い、職歴がない既卒者の力でも即戦力として雇いたいということはそれだけ人手不足で、業務の多さが緊迫している可能性もあるからです。
激務で人材が辞めていってしまい、とにかく即戦力を欲しているということです。
即戦力になる人材であれば誰でも良く、端から雇っていっていれば、誰でも就職することはできるでしょう。
しかし激務に嫌気がさし、長く務める人がいないため、年中求人を出している可能性があります。
ブラック企業であった場合はとにかく激務である可能性が高く、それにもかかわらず待遇は良くないという危険性を秘めています。
ベンチャー企業には、こうした隠れた罠があるという点は覚えておきましょう。
ブラック企業であるかどうかを見抜くのは難しいですが、面接の際にあまりにもスムーズで違和感を覚えたり、求人情報と実際の待遇が違ったりした場合はブラック企業の確率が高いです。
ベンチャー企業で就職活動を行う場合は、見抜ける目を養うのが大切です。
向いている人
大手企業に向いている人、ベンチャー企業に向いている人というのは、実はある程度差別化できます。
大手企業ならではの特徴と、ベンチャー企業ならではの特徴がはっきりしているので、自分に向いているかどうか検討することはできるでしょう。
まずはベンチャー企業に向いている人について考えていきます。
ベンチャー企業で働く環境を考えるとイメージしやすいかもしれません。
まずは大手企業の職場環境と、どのように違うのかイメージしてみてください。
コミュニケーション能力が高い人
大手企業と比べると、ベンチャー企業は経営者や重役の人との距離も近く、また事業の拡大が着実に進んでいく中で、多くの人と関わる場面があります。
人とのコミュニケーションは必須なうえ、コミュニケーション能力が長けていると、その分多くの仕事を任せてもらえたり、活躍したりする機会が増えるといえます。
コミュニケーション能力の高い人であれば、垣根なくさまざまな人物と交流でき、自分自身を有効に活かせるでしょう。
ある程度自分の売り込みができれば昇進も早いかもしれませんが、周囲の反感を買う可能性もあるため、やりすぎないように注意しましょう。
成長意欲が高く、今後のキャリアアップをねらっている人
ベンチャー企業は企業自体が成長途中のため、企業と一緒にキャリアアップできます。
ベンチャー企業は、大企業と比べてスタッフの数が少ないため、1人に任される仕事の種類は幅広いです。
また仕事の量も多く、早い時点でさまざまな経験ができるでしょう。
負担にはなるかもしれませんが、成長意欲が高い人には良い環境です。
こうした経験を一気に乗り越えていくことで、今後のキャリアアップや成長に素早くつながるといえるでしょう。
向いていない人
向いている人がいれば、もちろん向いていない人もいます。
ベンチャー企業に向いていない人は、大手企業への就職を考える方が、働き始めてからの不安要素がないためおすすめです。
「就職しやすそうだから」と向いていない企業であっても、無理して就職活動を進めてしまうと、働き始めてから悩む可能性があります。
安定志向な性格で仕事に対して受動的な人
ベンチャー企業は発展途上のため、企業方針自体が新しい事業などにチャレンジしていく方向性であることが多いです。
性格が安定志向の人には、このようなチャレンジが続く仕事は向いていない可能性が高いです。
また仕事や人に対して積極的に動けない受動的なタイプの人だと、入社後に苦痛を感じてしまう場合があるといえます。
ベンチャー企業は大手企業と比べて人同士の距離が近いため、ときに積極性が必要となります。
ベンチャー企業自体が積極的に事業を進めていくスタイルなので、それについていけない人にはおすすめできません。
研修やマニュアルを求める人
先述の通り、ベンチャー企業は研修制度やマニュアルが十分でない企業も多い傾向です。
これは人材育成のスタイルが確立されていないため、仕方のないことです。
もしもあなたが確立された研修やマニュアルを求める人である場合は、ベンチャー企業はおすすめできません。
研修をしっかりしてほしい人やマニュアル通りの仕事しかできない人、マニュアルがないと不安だと感じてしまう人にとって、ベンチャー企業はあまり向いていないといえます。
事前に準備しておきたい点
それではベンチャー企業での就職活動を進める既卒者に向けて、準備しておきたい点を紹介していきます。
新卒でなく、なぜ既卒者なのかは企業側からしたら気になるポイントです。
それをふまえて、どのように準備しておけばいいのか考えていきましょう。
なぜ既卒者なのかの理由と今後について明確にしておくこと
なぜ新卒ではなく、既卒者枠なのかは企業が気にする点です。
そのため、面接でなぜ新卒として就職しなかったのか、もしくはできなかったのかを聞かれる可能性が高いです。
その質問に対して、明確に答えられるよう、しっかり準備はしておきましょう。
既卒者である理由や、今に至るまでに考えたことなど、企業側は特に伝えたいことをピックアップしましょう。
考えがまとまらない場合は、まずは少しずつでも考えを箇条書きなどにして書き出すのがおすすめです。
さらに就職していなかった間、何をしていたのかも聞かれる可能性が高いです。
何か資格を取っていたのか、自分自身にやりたいことがあってそれを行っていたのか、まずは振り返ってみましょう。
既卒者である理由は人それぞれあると思うので、自分と向き合って考えてみてください。
そしてそうした結果が今どんなことに役立っているのか、もしくはこれから役立っていくのかについて、明確に答えられるよう準備しておく必要があるのです。
企業研究をじっくり行い、自分に合っているかどうか見極める
ベンチャー企業と一口に言っても多くの企業があり、企業によっては福利厚生の待遇や社風・事業内容はさまざまです。
早く就職したいからと焦らず、しっかり企業研究をして、自分に合っているかどうかを見極めましょう。
「ベンチャー企業なら就職しやすい」という単純な理由だけで選ぶのではなく、自分の将来のためにもしっかり見極めましょう。
就職できたとしてもそこから続かなければ、再度就職活動をしなければなりません。
企業研究をした末に、その企業が自分に合うかどうかしっかり考えて選ぶ必要があるといえます。
自分が完全に納得できる企業を見つけるのは難しいかもしれません。
それでもこの企業は自分に合っていないと判断することは、それほど難しいことではありません。
ベンチャー企業はそれぞれ個性豊かなので、しっかり企業研究をするという準備はかかさないようにしましょう。
面接の際にもこの準備は活きてくるので、やっておいて損はないはずです。
まとめ
既卒者にとって、ベンチャー企業は手を出しやすく、温かく迎えてくれる可能性が高いです。
しかしそれを利用した落とし穴もあり、そういったデメリットを見ることなく、就職活動を進めてしまうと、将来悩むことになるでしょう。
そうならないためにも、自分にとって本当にベンチャー企業が合っているのかどうかを見極め、準備をしておくことが必要です。
もしベンチャー企業が向いていなかった場合でも、落ち込まず、大手企業へのアプローチに向き合っていきましょう。
大変かもしれませんが、企業研究を続けていけば、完璧ではなくとも、そこそこあなたにあった企業が見つかるはずです。