BO Techとは
BO Techとは、バックオフィス（Back Office）とテクノロジー（Technology）を合わせた造語です。
Back Office、すなわち経理や人事・総務など、企業の裏方ともいえる管理部門の業務を、ITを使って効率化するための技術や解決法を指します。
現状では、多くの企業において管理部門の業務は人手や時間を浪費しており、非効率的だとされています。
たとえば、経費を精算するために紙の領収書を1枚ずつ点検しExcelに入力したり、取引先に請求書を送るため紙に印刷して封書で送ったり、ということが広く行われているのです。
そうした業務をIT技術によって効率化することを目指すのが、BO Techです。
BO Tech のメリット
それでは、BO Techを導入することによって、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか。
BO Techにはさまざまなサービスが含まれ、それぞれにメリットも異なりますが、多くのサービスに共通するメリットは「コストの削減」「人為的ミスをなくす」「生産性の向上」の3点です。
「BO Techという言葉は聞いたことがあるけれど、何ができるの？」「どんなメリットがあるかわからず、導入に踏み切れない」という方も、ぜひ参考にしてください。
コストの削減
バックオフィス業務はどんな企業においても必要ですが、業務の幅が広く、作業量も多いため、人手がかかります。
従業員を雇うとなると、給与や社会保険料など、人件費が必要です。
月末や年度末に業務が集中する場合には、残業代が膨れ上がることもあるでしょう。
しかし、BO Techによって手作業で行っていた業務を効率化できれば、従業員数が少なくて済むため、人件費を削減できます。
また、ペーパーレス化を進めることで、印刷費や郵送費といった経費も削減できるでしょう。
BO Techは導入時に費用はかかりますが、継続して使用することを考えると、人件費などより安上がりになる場合がほとんどです。
そのため、BO Techの導入によってコストを削減できるのです。
人為的ミスをなくす
BO Techを導入して手作業で行う業務を減らすことで、人為的ミスをなくすことができます。
たとえば経費精算の際、紙の領収書を手作業でExcelに入力する業務をすると、支出先や金額の入力ミスが発生するおそれもあります。
ミスを発見するために、複数人でチェックを行うなどの対策を講じている場合もありますが、それでも人が業務を行う以上、見逃しや思い込みによるミスはゼロにすることが難しいでしょう。
しかし、BO Techの1つである経費申請システムを導入すれば、カメラで領収書を読み取って自動で入力できるため、こうしたミスをなくせるのです。
ほかにも、販売管理データから自動的に請求書を発行するなど、手作業を削減することで人為的ミスをなくすシステムが多く開発されています。
生産性の向上
バックオフィス業務を従業員が手作業で行う場合、担当者の就業時間内でなければ業務が進まず、また就業時間内であっても1度に1つの業務しかこなせません。
しかしBO Techを導入することで、担当者の就業時間に縛られることなく、複数の業務を同時にこなせるようになるため、生産性が向上します。
たとえば手作業で業務を行っていると、情報が特定の担当者の手元にしかなく、担当者が不在のときにほかの従業員が情報にアクセスできない、という状態が起こりやすくなります。
しかし、BO Techの1つであるクラウドサービスを導入して情報を共有化してあれば、「すぐに必要な情報があるけれど、担当者が出社するまで待たなければならず、時間を空費してしまった」という事態は発生しなくなるのです。
BO Techが用いられる主なサービス
BO Techには、バックオフィス業務をITによって効率化することを目的とした、さまざまなサービスが含まれています。
どんな業務上の課題を解決したいのか、その目的によってサービスを使い分けることで、BO Techのメリットを最大化できるのです。
ここでは、BO Techが用いられる主なサービスとして、「クラウドサービス」「チャットボット」「RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）」を紹介しましょう。
クラウドサービス
現在、BO Techが用いられるサービスの中で、特に導入が進んでいるのはクラウドサービスです。
クラウドサービスとは、インターネットを介してソフトウェアやデータを活用できるサービスのことです。
インターネットに接続できる環境であればどこからでもアクセスできるので、コロナ禍においてリモートワークが求められる中で、多くの企業が活用しています。
資料の共有や閲覧・勤怠管理・人事管理や労務管理に利用される事例が多いようです。
また、自社サーバーを運用するためにはサーバー管理者を置かなければなりませんが、クラウドサービスを利用すればクラウド提供事業者に管理を任せられるため、従業員の負担も軽減されます。
さらに、クラウドサービスは利用量に応じて費用が発生する従量課金制をとっているものが多く、コスト削減にもつながります。
チャットボット
チャットボットは、チャットで入力した質問に対してロボットが返答していくシステムです。
顧客対応のために導入している例は多いのですが、社内業務にも導入する企業が増えています。
バックオフィス業務を担う部署には社内からの質問も多く寄せられますが、質問に答える従業員はそのとき行っていた業務を中断しなければならず、業務効率が下がる原因となってしまいます。
質問が多い項目についてチャットボットに学習させ、自動で返信をするようにすれば、バックオフィス業務を行う従業員が手を止める必要がなく、業務効率が上がるのです。
また、個人に依存していた業務についてもチャットボットに学習させることで、質問に対して「それは〇〇さんに聞かないとわからない」と返答されるといった事態を避けられるため、質問する側にとっても大きなメリットがあります。
RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）
RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）は、定型化されている作業をソフトウェアのロボットに代行させることです。
データの転記など、パソコン上で行われ、定型化されている単純作業、いわゆるルーチンワークは多くの業務で発生します。
手作業ではどうしても時間がかかってしまううえ、入力ミスなどの人為的ミスも完全に防ぐことはできません。
しかし、RPAにルーチンワークを肩代わりさせることで、従業員はより重要な作業や人手でないと難しい作業に時間を割くことができ、人為的ミスも削減できるのです。
また、ソフトウェアのロボットに作業を学習させるためにプログラミングの知識は必要ないため、特別な知識がない従業員であっても使いやすい、というメリットもあります。
BO Tech導入に際して確認するべきこと
BO Tech導入によるメリットについて紹介しましたが、導入する際には注意すべきポイントもあります。
それは、「自社の既存システムとの適合性」「導入目的は明確か」「サポート体制は自社にあっているか」の3点です。
こうしたポイントについて、導入する際にきちんと確認しておくことで、後々トラブルに発展する芽を摘むことができます。
なぜこれらのポイントに注意する必要があるのか、どんなトラブルに発展する可能性があるのか、くわしく解説します。
自社の既存システムとの適合性
BO Techは、社内の既存データを入れ込むことで効果を発揮します。
そのため、自社で今まで使っていたシステムと新たに導入するBO Techとの間で適合性や互換性があるのか、確認が必要です。
自社の既存システムから直接データを移植できるか、または変換ソフトを利用するなど他の方法があれば、BO Techへの移行もスムーズに行えます。
もしデータを移植できなければ、新たに手作業でデータを入力するなど、かえって業務を増やしてしまいかねません。
またシステムの適合性には問題がなくても、既存データが整理されておらず、利用できない状態であれば、まずはデータの整理から始めなければならないでしょう。
自社の既存システムとの新たに導入するBO Techとの間で適合性があるか、データが利用できる状態か、導入前に確認する必要があります。
導入目的は明確か
BO Techと一口に言っても、さまざまな企業からさまざまなサービスが提供されています。
そのため、BO Techの導入目的を明確にしておかないと、どのサービスを導入すべきか的確に判断できません。
「経理業務を効率化したい」といった漠然とした目的では、導入すべきなのは領収書・請求書作成サービスなのか、給与計算サービスなのか、判然としないでしょう。
目的が明確でないまま導入を進めてしまうと、導入後に自社の業務に適さないことが判明したり、課題解決の役に立たなかったり、という問題が発生するおそれもあります。
まずは自社の業務を洗い出し、どの業務をBO Techに託すのか、BO Techによってどんな課題を解決したいのかという目的を明確にしなければなりません。
サポート体制は自社にあっているか
BO Techは導入して完了するものではなく、長期間にわたって使い続けていくものなので、導入後のサポート体制も重要です。
導入後のサポート体制が整っておらず、トラブルが発生しても対応してもらえなければ、業務が滞る可能性もあります。
また、サービスによっては、導入時の費用だけではなく、定期的なアップデートやトラブル発生時のサポートに追加費用がかかる場合もあります。
「コスト削減を目的にBO Techを導入したのに、追加費用のせいでかえってコストが増してしまう」といった事態になっては本末転倒です。
自社の業務に必要十分なサポート体制が整っているか、そのための費用は適切か、導入前にサービスを比較・検討する必要があります。
おわりに
BO Techとは何か、BO Tech導入のメリットや注意点について解説しました。
人手不足に悩む企業にとって、BO Tech導入による業務効率化は問題解決のための有効な一手となるでしょう。
しかし、さまざまなサービスの中から自社に適したものを探し出すためには、まずは自社の業務上の課題やBO Techについて、しっかり理解する必要があります。
BO Tech導入によるメリットを最大化するために、ここで解説した内容もぜひ参考にしてください。
