はじめに
ベンチャー企業への転職を検討しているものの、不安を感じている人はいないでしょうか。
たしかに中小企業とベンチャー企業では、労働環境も向いている人のタイプも違ってきます。
この記事ではベンチャー企業に転職するうえでの不安要素と、その解消法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【ベンチャー企業の転職が不安】そもそもベンチャー企業とは
そもそもベンチャー企業には明確な定義がありません。
日本政策金融公庫の資料によると「ベンチャー企業とは、革新的な技術・製品・サービスを開発し、イノベーションを生み出す企業であり、設立数年程度の若い企業。」(引用:日本政策金融公庫「現代のベンチャー企業を知る」)とあります。
新しい事業・サービス・ビジネスを展開しており、かつ創立が数年程度の成長過程にある企業を、一般的にベンチャー企業と呼んでいます。
20~30代の若手人材が多く、将来的には大企業に匹敵する規模となる可能性の高いことが、ベンチャー企業の特徴です。
将来的に規模が大きい会社になる可能性のある企業の成長に貢献したい人や、向上心のある若手が集まりやすい点も、ベンチャー企業の特徴の1つとされています。
【ベンチャー企業の転職が不安】ベンチャーに転職する不安要素
まずは、ベンチャー企業に転職するうえでの不安要素として代表的な5つを解説します。
ベンチャー企業で働いたことがない人は、不安要素をイメージすることが難しいかもしれません。
しかし、不安要素を具体的に把握しておけば、入社前に危ない会社かどうか見極められます。
また、すでに転職が決まっている場合でも、デメリットを認識体して準備することもできるでしょう。
入社してから「予想していたのと違った」とならないように、しっかり把握しておくことをおすすめします。
労働時間が長い可能性が高く体力が必須
ベンチャー企業で真っ先に出てくる不安要素は、業務内容が多く労働時間も長いため、体力が必要となってくることです。
加えて、残業や休日出勤なども多い傾向にあり、中小企業や大企業出身者は注意が必要でしょう。
ベンチャー企業は、従来の企業が取り組めないような領域の事業にスピード感を持って挑めることが強みと言えます。
しかし、事業立ち上げ段階では人数が不足することや想定外の業務が発生することで業務量が増えてしまうことも多いでしょう。
このため、社員一人ひとりへの負荷が高くなってしまうことは仕方がないとも言えます。
締め切りが決まっている業務であれば、残業や休日出勤によってプライベートが犠牲になってしまうでしょう。
このようにベンチャー企業で働く以上、多少は体力勝負のハードワークが必要なことは覚悟しておく必要があります。
労働環境面が整っていない場合が多い
次の不安要素は、ベンチャー企業の労働環境や福利厚生についてです。
ベンチャーでは労働環境が完全に整っていない可能性もあるため、以前の職場と比べて不満を抱く可能性もあるでしょう。
そもそも労働環境や福利厚生を整えられるのは、経営にある程度余裕のある企業と言えます。
事業が安定していないベンチャー企業は、まず安定的に利益を生み出す必要があるため、社員への還元は後回しにされがちです。
大企業であれば労使間で36協定などが締結されていることもありますが、ベンチャー企業ではそうでない場合も多いでしょう。
また、残業代が支払われない場合や上司からパワハラにあってしまうケースも考えられます。
ベンチャー企業には、そのような環境に耐えられて、時にははっきりNOと言える人が向いていると言えるでしょう。
研修制度がないケースもある
ベンチャー企業には、新卒・転職者関係なく研修制度がないケースもあるので、注意しましょう。
とにかく立ち上げた事業を黒字化する必要があるベンチャー企業では、即戦力の中途社員を採用しがちです。
このため、そもそも育成という概念が存在しないこともあり、研修やマニュアルがないので自分で仕事をしながら覚える必要があります。
中には先輩社員の一人が育成担当となり、OJT(On the Job Training)として研修を行ってくれる場合もあります。
しかし、いずれにせよ、自分に求められている役割を把握して、それに必要なことを自走式で身につけられたほうが良いでしょう。
「ベンチャー企業に入れば、勝手にビジネスマンとしてのスキルが上がるんじゃないか」と考えている人は、要注意です。
実力主義であること
今まで競争という風土のなかった中小企業出身者は、ベンチャー企業の実力主義に不安を覚えるかもしれません。
実際、ベンチャー企業は実力主義であることが多く、利益を上げるためにとにかく成果が求められます。
普段の職場での人間関係や仕事への姿勢など、定性的な評価をしてくれない可能性もあるでしょう。
目標を達成し成果を上げるためにはどうすれば良いか、主体性を持って仕事に取り組む必要があります。
そのためには決まりきったマニュアルをこなすだけではなく、自分なりの工夫を色々試すことが必要です。
個人としての成績が悪い場合や目標が未達となれば給与やボーナスが減ってしまうかもしれません。
今まで、上司から与えられた仕事をただこなしていたような人は注意が必要でしょう。
経営が安定している保証がない
ベンチャー企業は経営が安定している保証がないことも不安要素と言えるでしょう。
資本基盤が安定していないベンチャー企業は、事業がうまくいかなくなると途端に立ち行かなることもあるからです。
最悪の場合は倒産などもありうるので、そのリスクを想定しておく必要があります。
もっとも、最近では大企業においても倒産は決して他人事ではありません。
いつ、今働いている会社がなくなっても良いように、転職や独立を見据えて能力を高めておく必要があるでしょう。
そのためには漫然と仕事をこなすだけではなく、「この業務からどんな学びを得られるか?」を常に考える必要があります。
また、市場の動向などにも注目し、自分個人のビジネスマンとしての価値を常に意識しましょう。
収入が下がる可能性がある
ベンチャー企業では、経営が安定していないケースも多々あります。
したがって、給料を十分に支払えない状況に陥ってします可能性もしばしばあるのです。
つまり、経営状況の悪化や生産性が低下してしまえば、ボーナスのカットや給料が下がる可能性もあることを忘れてはなりません。
ベンチャー企業は実力主義であるため、入社後の給料は一般的な水準よりも低いことが多く、入社してすぐは昇給が難しいことでも有名です。
そのため、特に大企業からベンチャー企業へ転職した場合は、給料の差異に驚くこともあるかもしれません。
これから転職を決意する際は、収入が下がる可能性も加味して、事前にしっかりと当面の生活資金を確保しておくのがおすすめです。
退職金が存在しない
ベンチャー企業には、退職金制度を設けていない企業が多いです。
「基本的に退職金はもらえない」と考えておいたほうが無難と言えます。
まれに退職金制度を設けているベンチャー企業もありますが、その制度を重視している企業は少ないです。
しかし「退職金をもらえないことが悪いこと」と印象付けるのは時期早々かもしれません。
退職金制度がないことによるメリットも存在します。
ベンチャー企業は、定年まで働く人材が少なく、企業としても、自身の会社の成長に回したいと考えているのです。
その成長資金の中には、スキルアップ制度など、社員に貢献される制度も含まれています。
そのため、一概に退職金制度がないことを悪と決めつけるのは良くありません。
【ベンチャー企業の転職が不安】メリットも確認しておこう
ここまで、ベンチャー企業に転職するうえで把握しておくべき不安要素について解説しました。
しかし、ベンチャーには不安要素だけではなく、メリットとなる部分も存在します。
ベンチャー企業は、経験を積むには最適な環境で、裁量権が多く成長でき、風通しの良い社風なことが多いです。
もちろんこれもすべての企業が当てはまるわけではないため、面接などの段階で確認することが望ましいでしょう。
転職先を検討するうえでは、良い面と悪い面を両方把握したうえで、最終的な判断を下す必要があります。
経験を積むには最適な環境
まず、経験を積むには最適な環境であることが、ベンチャー企業のメリットとして挙げられます。
ベンチャー企業自体が成長志向であるため、自分の意欲次第で積極的に仕事に取り組むことで、さまざまな経験が積めるでしょう。
大企業においては、すでに確立されている事業を安定的に運営することが求められます。
このため、社風としても安定志向が強く、思い切った事業にチャレンジしづらい可能性もあります。
一方、ベンチャー企業は事業が成熟しきっていないため不安定ではありますが、その分貢献できる部分も多いです。
社員数が少なく一人ひとりの成長が事業に直結する分、挑戦が容認されることも多いでしょう。
経験を通じて自らの能力を伸ばし、市場価値を上げてゆきたいと考えている人にとっては適した環境と言えます。
裁量権が多く成長できる
ベンチャー企業は裁量権が多く、成長できる可能性が高いこともメリットと考えられます。
社員数が少ない分、一人ひとりに任せる業務内容が多く、幅広い仕事ができるからです。
大企業などでは、決定権や決裁権を持つのは年次の高い社員なことが多く、業務が細分化されています。
このため、若手の間は上長の承認が降りず、やりたい仕事がなかなかできないことも考えられます。
一方、ベンチャー企業は事業にスピード感が必要なため組織構造がシンプルで、各担当に任せられる部分も多いでしょう。
このため、若手であっても幅広い業務に関われるうえに、裁量権も多いと考えられます。
当然業務負担は増えますし、失敗した際の責任もついて回りますが、それも含め成長の材料となるでしょう。
会社内の風通しが良い
会社内の風通しが良く、自分の考えや意見が反映されやすいこともベンチャー企業のメリットの一つです。
社長、経営者や役員、上司などとの距離が近く、関係性もフラットで、意思が伝えやすいでしょう。
ベンチャー企業は社員数が少ないことが多く、意思統一を図るためにもアットホームなことが多いとされています。
一方、大企業では一般社員と会社幹部の距離が遠く、直接話せる機会が少ないこともよくあります。
もちろんベンチャー企業であっても、社長や経営陣に受け入れられる提案をするのは容易ではありません。
提案が認められた場合には、期待されているために失敗できない責任を受け止める覚悟が必要です。
しかし、そのプレッシャーを力に変えて成長したいと考えている人には、おすすめの環境と言えるでしょう。
会社の成長を身近に感じられる
ベンチャー企業では、自身の成長・スキルアップと共に、会社の成長を身近に感じ取りやすいことが多いです。
そのため、やりがいを感じられます。
新しいビジネスに挑戦したり、若手のうちに新しい事業の立ち上げのスタートアップメンバーに選出されたりと、大企業とはまた違う魅力もあります。
革新的なアイデアや技術を持っている若手人材が、世の中のこれまでになかったサービスや商品を生み出す可能性が高く、自身の切磋琢磨を直接的に会社の成長につなげることもできるでしょう。
もちろん、会社の成長により、規模が大きくなればそれだけ給料もアップする可能性もあり、自身の裁量権も高くなるかもしれません。
頑張りが直接報われるのは、ベンチャー企業の良いところと言えるでしょう。
【ベンチャー企業の転職が不安】どんな人に向いているのか?
それでは、ベンチャー企業に向いているのはどのような人なのか、代表的な例を3つ紹介します。
結論として、ベンチャー企業のメリットの恩恵を受けられる人や、不安要素を苦にしない人が向いていると言えるでしょう。
先述したように、ベンチャー企業は経験が積めて成長できるとはいえ、決して楽な環境ではありません。
多少のつらいことがあっても、それを受け入れて頑張りたいと思えるかが大切です。
逆に、次に紹介するような考えを持っている人は、ぜひベンチャー企業への転職を考えてみましょう。
向上心の高い人
まずベンチャー企業に向いている代表的な性格は、向上心が高く、成長志向の強い人でしょう。
実力主義のベンチャー企業は実力主義であり、自分次第で多くの経験を積み、成長できる環境だからです。
裁量権が多く、さまざまな経験ができるベンチャー企業ですが、反面業務量が多く、長時間労働になりがちでしょう。
時には支払われる対価に比べて不当に多い労働を強いられることもあるかもしれません。
そのような時にふんばれるかどうかは、その人の向上心にかかっている部分が大きいと考えられます。
「ここを乗り切れば、自分はもっと成長できるはず」と前向きに捉え、目の前の業務に集中しなくてはいけません。
逆に、労働に見合った給与がもらえれば良い、と考えてしまう人は向いていないと言えるでしょう。
好奇心旺盛な性格の人
好奇心旺盛で、色んなことに挑戦したいと考えている性格の人もベンチャー企業に向いているでしょう。
ベンチャー企業では自分次第で多くの仕事を任せてもらえるため、常に新しいことを求めているような人には向いていると言えます。
大企業では踏み出せないような新しい領域の事業に積極的にチャレンジしてゆくのがベンチャー企業の特徴です。
業務内容も決まりきったルーティンワークがあるわけではなく、その都度必要な業務をこなすことになるでしょう。
このため、単純な事務作業や細かなプログラミングのような作業が苦手な人でも、ベンチャーでは活躍のチャンスがあります。
しかしその分、目先の利益を上げつつ事業を継続的に発展させることを考えなくてはいけず、それなりのバイタリティが求められるでしょう。
体力に自信があるタフな人
多くの業務をこなす必要のあるベンチャー企業において、体力に自信があるタフな人は、それだけで向いていると言えます。
ベンチャー企業は社員数が少ない分、一人ひとりに与えられる裁量権も多くなる可能性が高いです。
しかし、その分業務範囲も増えるため、業務量が多くなることも多いでしょう。
残業が多くなることや休日出勤を強いられることもあるかもしれず、それをこなす体力が必要になります。
それだけでなく、常に前向きで厳しい状況をプラスに捉えられる、精神的なタフさも重要です。
もちろん、単純に体力があってタフならば良いわけではなく、仕事に対する熱意や、効率的に業務をこなす能力も重要になってきます。
ともあれ、ベンチャー転職を考える際には自分の体力面も考慮する必要があると言えるでしょう。
【ベンチャー企業の転職が不安】ベンチャーに転職する不安を解消するために
ベンチャー適正が高いと感じている人でも、いざ転職を検討するとなると不安を覚えることもあるでしょう。
最後に、そんな不安を解消するための具体的なアクションプランを2つ解説します。
たいていの場合不安を感じる時は、具体的に何が不安なのか把握できていないことが多いです。
もしくはさまざまな要因が絡まり合っていて、一つひとつ整理が必要な場合もあるでしょう。
自己分析や企業研究など、できるだけ自分で手を動かして不安を具体化することが、解決の近道です。
自己分析を綿密に行う
ベンチャーに転職する不安を解消するためにまず行うべきことは、綿密な自己分析です。
自分のやりたい業務は何か、条件面で何を優先したいかなどをしっかり自己分析する必要があります。
自己分析をしっかり行うことで、転職にあたって重視すべきことが明らかになり、企業を選びやすくなるからです。
自己分析の結果はその時の気分や、メンタルの状況によって変わることも考えられます。
自己分析ツールなどは、「こう見られたい」という意思が回答に入り込み、本音がわからないこともあるでしょう。
そうではなくきちんと自分と向き合い、本当のところはどうなのかを突き詰めて考える必要があります。
また、自分では気づけていない部分を見つけてもらうため、友人や家族に協力してもらって自己分析を行っても良いでしょう。
企業研究は入念にする
ベンチャーに転職するにあたって不安を感じる時には、企業分析を入念に行う必要があるかもしれません。
先述した綿密な自己分析にもとづいて、重視したい条件をきちんと検討できていなければ企業研究は意味がないからです。
企業研究においては、事業内容・企業理念・経営方針など基本的な情報は当然把握しておかなくてはいけません。
それに加えて給与や福利厚生などの面において、転職する前と後でどうなるのかを調査しておく必要があります。
事前にこうしたことを把握しておくことで、自分と企業のミスマッチを防げるでしょう。
公式ホームページでわからない内容については、口コミサイトや知り合いを頼るという手もあります。
ただし、信憑性に欠ける情報の可能性も高いので、参考程度に考えておくと良いでしょう。
今後の成長が見込めるかを予測する
ベンチャー企業に就職、または転職する際は、その企業の今後を見据えて動くと良いかもしれません。
今の段階で経営が軌道に乗っているかどうか・過去に成功した事例があるか・未来でも通用する商材を持っているかどうかなど、今後の成長が見込める要素をしっかりと調べ、入社後、経営困難に陥るような企業へ入社しないようにしましょう。
しかし、自身の実力によって会社を大きくすることも可能です。
過去に培った技術やノウハウなどが、その会社で大きく貢献できる自身があるのであれば、チャレンジしてみるのも悪いことではありません。
あなたの頑張りで大きく会社が成長すれば、あなたの評価も大きく上がり、今後その会社で重要なポジションに建てたり、新たなビジネスチャンスをものにできたりする可能性もあります。
経営者について知る
ベンチャー企業の経営者はさまざまな方がいます。
その経営者によって、その企業の働き方や経営方針が決まってしまいます。
そのため経営者が、自分自身の方針や同じビジネス展開像をもっているか、またはその経営者について行きたいと思えるかどうかを確認しておくことも重要です。
確認をおこたると、入社後になって経営者と方向性の違いで衝突したり、大きな不満を抱きながら業務にあたったりなど、悪循環が生まれてしまう可能性もあります。
そのため、面接時などでその企業が自分にあった経営方針・働き方を推奨しているかどうかを事前に確認しなければなりません。
「この人ならついて行きたい」と思える経営者のいるベンチャー企業を見つけることも、転職の際の課題となるでしょう。
転職エージェントを利用する
ベンチャー企業には、良いところ・悪いところがあり、不安要素も多く感じてしまうかもしれません。
その不安を解消するためにも、転職エージェントを利用してみるのも1つの手段です。
転職の専門家であるため、企業のあらゆる情報を提供してくれます。
それだけでなく、不安要素を解消するため、ヒアリングを行ってくれます。
「アゲルキャリア」では、専属のエージェントがあなた自身に寄り添って、転職先を探し、紹介してくれるのです。
選考対策を行ってくれるなど、手厚いサポートで転職活動を進められます。
さらに、最短一週間で内定獲得ができる可能性もあります。
ぜひ、転職エージェントを利用して、優良なベンチャー企業を見つけてください。
まとめ
この記事ではベンチャー企業に転職するのが不安な人に向けて、不安要素とメリットを洗い出し、それを解消する方法を解説しました。
ベンチャー企業は労働時間や研修などの労環境が整っていない可能性が高く、実力主義で経営も安定しているとは限りません。
反面、経験を積むには適した環境で、裁量権が多く、風通しも良いことがメリットと考えられます。
これらの良い点・悪い点を考慮して、自己分析を綿密に行い、入念な企業研究につなげましょう。
この記事が、あなたの納得いく転職活動につながることを願っています。