はじめに
長期インターンとは一般的に3ヶ月以上、同じ職場に勤務するインターンを指します。
参加すること自体がキャリア形成に役立つほか、社員と同等の立場で勤務することにより、貴重な社会経験を積むこともできるでしょう。
しかし長期インターンは実践的な場であるため、未経験の分野に応募することをためらっている方もいるのではないでしょうか。
今回は未経験でも長期インターンへの参加は可能なのかについて解説します。
長期インターンの特徴や注意点にも触れるので、インターンへの参加を考えている方はぜひ参考にしてください。
長期インターンは未経験でも参加できるのか?
まずは「未経験でも長期インターンに参加できるのかどうか」という疑問に回答しましょう。
結論から言ってしまうと、未経験でも長期インターンには問題なく参加可能です。
そのため、未経験だからといって、長期インターンへの参加を諦める必要はありません。
しかし、なかには学生の経験について、なんらかの特記事項を設けている企業も存在しています。
インターンに関する説明をしっかり読み、応募は可能なのか、応募して何が学べるのかを判断することが大切です。
ここからは未経験での長期インターン参加についてよりくわしく確認していきましょう。
未経験でも募集している企業は多い
すでに述べたように、長期インターンで未経験の学生を受け入れている企業は多く存在します。
これは通常の新卒採用でも未経験者を採用している企業が多いことを考えれば、さほど意外な話ではないでしょう。
未経験でも応募可能な長期インターンは「未経験者可」「初心者歓迎」といった言葉で、その旨を明記してあるケースが多く見られます。
そのためインターネットで未経験可の長期インターンを探す際は、これらのキーワードで検索すると効率的です。
また志望する業種や業界が決まっている場合は、キーワードを組み合わせて検索することで、より自身の希望にあったインターンを見つけやすくなります。
一方、上記以外の書き方で未経験受け入れを表明しているインターン、未経験可でも一定の条件を設けているインターンもあるため説明内容はしっかり読みましょう。
特別なスキルや資格などなくてもいいのか
それでは、職務経験とも関連するスキルや資格についてはどうでしょうか。
長期インターンにおいては、参加者に特別なスキルや資格を要求していないケースも多く見られます。
なぜなら、それぞれの業務に必要なスキルは、仕事を通して身につけていくものであり、長期インターンがまさにその場所なのです。
特に未経験可のインターンでは、その業種に直接関わるスキルや資格は要求されないと考えても良いでしょう。
一方で、ある程度の語学スキルなどを応募条件として定めている長期インターンも存在します。
くわしくは後述しますが、エンジニアなど専門的な職種の場合は、業務の前提となるスキルを要求しているケースも少なくありません。
また、コミュニケーション能力や最低限のPC操作スキルなどは、多くの職場で要求されると考えても良いでしょう。
なかには歓迎条件として、どのような人がその長期インターンに向いているのかを明記している企業も存在しています。
自身に合ったインターンを探す際の指標として活用すると良いでしょう。
未経験でも参加できる長期インターンはどんな職種があるのか?
次は未経験でも参加しやすい長期インターンの職種について解説します。
職種によっては専門性が高く、あまり未経験を募集していない場合もありますが、以下で紹介する5つの職種は未経験を受け入れる傾向の強いものです。
もしこういった業界に興味がある場合は、長期インターンをキャリアプランの入り口とする選択も良いかもしれません。
一方で、これらの職種だからといって、必ず未経験のインターン参加を許容しているとは限りません。
どの職種のインターンに参加したいかという軸を定めたうえで、広く情報を集めることが必要になるでしょう。
企画職
1つ目の職種は企画職です。
企画職は新規事業の立ち上げや計画、プランニングなどの業務を行います。
市場のニーズを調べて、新商品や既存商品の改善案を提案することもあるでしょう。
また職場次第では後述する営業職やマーケティング職などと一部業務を共有する場合もあります。
企画職で特に必要とされるのは、企画を発想するもととなる情報のリサーチ能力や社内外の人間と交流するコミュニケーション能力、企画のセールスポイントや必要性を効果的に伝えるプレゼンテーション能力などです。
またロジカルシンキングやPCスキルなども要求されます。
こういった能力は専門的な知識や資格とは別に大切なものです。
そのため、これらのスキルについて学ぶことを目的に企画職のインターンに参加するのも良い選択でしょう。
営業職
2つ目の職種は営業職です。
営業職は企業と顧客をつなぐ窓口となり、適切な製品やサービスの提案を行います。
顧客に対して適切な提案を行うためには、製品やサービスといった商材の知識が必要になりますが、それは働くうえで身につけていくことになるでしょう。
一方、必須と言って良いレベルで重要になるのがコミュニケーション能力です。
営業職は顧客とのコミュニケーションの中でそのニーズや不満を把握し、適切な提案につなげていきます。
そのため自分から話す力だけでなく、適切なヒアリングを行うための聞く力が必要です。
他人から「聞き上手だ」と言われる人は、営業職に適正があるかもしれません。
また、顧客や企業にわかりやすく情報を伝えるためには、プレゼンの能力も要求されます。
マーケティング職
3つ目の職種はマーケティング職です。
マーケティング職はさまざまなデータを分析し、製品やサービスの売り上げを伸ばす方法について考えます。
売り上げを伸ばすためにSNSを運用したり、印象に残るようなコラボレーションを提案したりすることもあるでしょう。
営業職や企画職に近い立ち位置の場合は、商品のネーミングや価格設定にも関わる可能性があります。
マーケティング職で必要とされるのは、情報のリサーチ能力や分析能力です。
また、市場のニーズを適切に把握する感覚や、経済学的な知識も役立つでしょう。
近年ではデジタルマーケティングのスキルや知識も重要になっています。
流行に敏感で新しい製品を積極的にチェックしている方、普段から多くの情報に触れている方は特に向いている職種かもしれません。
コーポレート職
4つ目の職種はコーポレート職です。
他の職種に比べるとあまり耳慣れない名前かもしれませんが、コーポレート職は経理や総務・人事などを担当し、バックオフィスとして企業を支えています。
企画や営業をサポートしつつ、俯瞰的な視点で企業の方向性を決める重要な立場だと言えるでしょう。
「裏方」と言うと、コツコツと事務作業を積み重ねるイメージもありますが、コーポレート職では自ら積極的に動く能力も必要とされる可能性があります。
場合によっては、複数の職種の架け橋となって協働することが必要になるでしょう。
そのためコミュニケーション能力や調整力も発揮できる職種です。
企業経営の裏側や、経営者の視点を知りたい方は長期インターンでコーポレート職に応募してみるのをおすすめします。
エンジニア職
次に紹介する職種はエンジニア職です。
エンジニア職はプログラミングによってWebサービスやアプリを開発する職種です。
また構築済みシステムのメンテナンス業務などを担当することもあるでしょう。
IT化やDXの普及にともなってエンジニアの需要は高まり、今後は人材の不足する状況が続くと考えられています。
エンジニア職の業務にはプログラミングスキルがほぼ必須となるため、ほかの未経験可インターンに比べると、ハードルは高めになります。
未経験可はあくまでエンジニアとしての仕事が経験のことであり、プログラミング自体が完全に未経験の場合、採用されるのは難しいでしょう。
未経験でエンジニアの長期インターンを目指す場合はプログラミングに触れ、簡単なアプリ作りなどにチャレンジしてみると良いかもしれません。
未経験に長期インターンは大変なのか?
ここまで未経験でも長期インターンに参加できることを解説してきましたが、やはりそれでも不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
たとえ企業側が受け入れていたとしても、経験があるほかの学生と差がついてしまうことを心配しているかもしれません。
次は未経験が長期インターンに参加するのは、実際に大変なのかどうかという点について解説します。
未経験だからといって参加を躊躇するのではなく、業務内容や注意点をあらかじめ把握し、それに備えておくことが大切です。
長期インターンは社会人と同じ業務を行う
未経験で長期インターンに参加する場合、経験者との格差を不安に思っている方は多いかもしれません。
しかし、実際は経験の差が大きな問題になることはあまりないと考えて良いでしょう。
なぜなら、長期インターンでは経験者も未経験者も、実際に勤務している社員と同じ業務を任されることになるからです。
たしかに、インターン以前になんらかの経験があれば有利なのは事実でしょう。
しかしその違いは、実際の業務で得られる経験やスキルの量と比べると、わずかな差でしかないケースが多く見られます。
そのため、経験の有無は学生が思っているほど大きな差にならないのです。
むしろ先述したような、職種ごとの要求スキルと自身の特性が一致しているかどうかのほうが重要になるかもしれません。
企業側も未経験を受け入れている以上、経験によって大きな差が生まれないような業務を用意しています。
また、技術的な指導や質問への対応など、未経験の学生に対するサポート体制も整えているでしょう。
長期インターンでは、実際の社員と同じ成果や責任を求められる場合もありますが、未経験だからといって参加を恐れる必要はありません。
むしろ社員と同じ立場で働けることをやりがいととらえ、未経験だからこそ多くのことを学べると考える姿勢が重要なのです。
未経験の意味合いに注意!
一方、未経験で長期インターンに参加する際は注意しておくべきポイントも存在します。
それは、未経験が「実務未経験」のことを指している可能性です。
エンジニア職やデザイナー職といった専門性が高い職業においては、こういった未経験の使い方がしばしば見られます。
つまりこの未経験とは「その分野で報酬をもらって仕事をした経験がない」ことを意味しており、「基本的な知識や技術がない」こととは違うのです。
一例として、実務未経験可と書かれたWebデザイナーの長期インターンについて考えてみましょう。
この場合、Webデザインで収入を得た経験は必要ありませんが、デザインに関する知識やデザインツールを扱うスキルは前提条件として必要だと考えられます。
同様に実務未経験可と書かれたエンジニア職インターンの場合も、プログラミングに関する知識や、ある程度の実践経験は要求されると思って良いでしょう。
こういったケースでは、未経験可の表記とは別に、応募条件や要求スキルを明記してあるケースが大半です。
未経験の文字だけに注目せず、募集要項をしっかりと読んで適切なインターンを選択しましょう。
スキルや経験が要求されるインターンにどうしても参加したい場合は、必要なスキルを身につけるため、早い段階から準備しておくと良いかもしれません。
長期インターンへ参加する前に確認しておきたいこと
次は長期インターンへ参加する前に、確認しておくべきことについて解説します。
ここで解説するポイントは、未経験に限らず、すべての学生にとって大切なことです。
長期インターンは就職活動にも役立つ重要な経験を得られる場ですが、漫然と参加するだけでは充分な学びを得ることはできません。
また、準備が不十分だと応募の履歴書を送った時点で落とされてしまう可能性もあります。
参加したことを無駄にしないため、以下の点に気をつけて積極的な姿勢でインターンに参加しましょう。
自己分析をしっかり行う
自己分析は、就職活動をはじめとするさまざまなシーンで大切な活動です。
長期インターンに参加する際も、しっかりと自己分析を行い、強みや適性を明確にすることは重要になるでしょう。
自分が何をやりたいかわかっていれば、それを軸としてインターン企業を探すことが可能です。
一方で強みが明確な場合は、各企業が公開しているインターンの歓迎要件などから、自身とマッチするインターンを探しやすくなります。
また自己分析を行うことで、インターンに応募する際の履歴書も書きやすくなるでしょう。
自己分析には自分史やマインドマップの作成といった多くの方法があるので、さまざまな方法を試し多面的に自分自身について分析してみてください。
自己分析は次にご紹介する参加理由を考える際にも役立ちます。
長期インターンへ参加する理由を明確にする
長期インターンに参加する際は、自身がなぜそのインターンに参加するのか、どんな目的があるのかを明確にしておくことが重要です。
就職に有利だからといった漠然とした理由ではなく、身につけたいスキルや目標などを明確にしておきましょう。
そうすることで長期インターン中の業務に方向性をもたせやすくなり、より有意義な学びを得ることが可能になります。
逆に目標設定があいまいだと、たとえ業務で成果を出せたとしても、その経験は有用なものとして蓄積されません。
また参加の理由は志望動機としてたずねられることも多いため、ここを明確にしておくと、応募の履歴書もスムーズに書き進められるでしょう。
参加理由を考える際は先述した自己分析と、次にご紹介する企業研究が重要になってきます。
インターン先の企業についてあらかじめ調べておく
最後に解説するのは企業研究の重要性です。
インターンを募集している企業がどのような事業を展開しているのか、事前にしっかりと調べておきましょう。
自己分析と並行して企業研究を進めることにより、自身の希望や特性にマッチしたインターン先を選びやすくなります。
また、企業についてくわしく知っておけば参加後のミスマッチや、悪い意味でギャップを感じことも減らせるでしょう。
企業研究をする際に重要なのは、企業の事業展開といった俯瞰的な部分だけでなく、実際にインターンでどのような仕事をするのかという現場レベルの業務についてもくわしく調べることです。
職場によってはインターンで特定のスキルが要求される場合もあるので、募集要項や企業のホームページなどをしっかり確認しておきましょう。
まとめ
今回は未経験で長期インターン参加する際の注意点などについて解説しました。
未経験だからと尻込みするのではなく、長期インターンは経験を積む機会としてとらえ、積極的に利用すると良いでしょう。
長期インターンは同じ職場で長期間働くことになるので、事前の準備や調査が学びの量が大きく影響してきます。
また、学業やアルバイトとの兼ね合いを考えたスケジュール調整も重要なポイントです。
企業研究や自己分析を妥協なく行い、万全の状態で長期インターンに臨んでください。