はじめに
転職を志す人の中には、さらなる成長やキャリア形成をすべく、スタートアップ企業で働きたいと考える人がいます。
しかし、スタートアップはできて間もない会社であるため、自分に合った転職先を選ぶには少しコツがいるようです。
そこで今回は、スタートアップへの転職に失敗しないためのコツを解説していきます。
・スタートアップ転職に失敗しないために
転職が初めてという人やキャリアアップにつながる転職がしたいという人はぜひ参考にしてください。
そもそもスタートアップとは?
スタートアップとは、まだ世の中にない新しい製品やサービス・新規事業を取り扱って急成長を遂げる可能性を秘めた会社を意味します。
スタートアップと似ていて、よく対比されるのがベンチャー企業です。
ベンチャー企業とは、既存のビジネスモデルを刷新しながら新しく事業を展開する会社のことです。
一方でスタートアップ企業は、既存のビジネスモデルとはまったく違う別の切り口でビジネスを展開していきます。
以上のことから、スタートアップには以下のような3つの特徴が挙げられます。
・短期間でシェアのほとんどを獲得してしまうような成長性がある
・ビジネスが成熟した後の出口戦略も確保されている
また、ベンチャーは資金調達がしやすい反面、スタートアップは資金調達が難航すると言われています。
既存のビジネスモデルに依拠しないため、事業の先行きが見通しにくいからです。
つまり、スタートアップ企業とは革新性と成長性を備えた注目株であると言えるでしょう。
スタートアップへの転職を失敗したと感じる理由
スタートアップへの転職が失敗したと感じてしまうには、いくつか共通した理由があるようです。
具体的には、以下の5つが失敗を感じる要因になります。
・会社の仕組みも整っていない
・業務の幅が広くハードワーク
・マニュアルがなく、0から生み出すことが大変
・社風が合っていない
制度の整わない会社の悪いところを凝縮していますが、裏を返せばこれらの短所はスタートアップで働くうえでの大きな魅力でもあります。
スタートアップ企業の特徴をしっかりと把握しておきましょう。
給与や待遇面が不整備
スタートアップ企業では、会社という枠組みができて時間が経っていないこともあり、給与や待遇面がまだまだ整備されていません。
たとえば、人事考課の査定基準や有給の取得推進、産休・育休といった制度は、実際に利用する社員がいてこそ整備が進みます。
ケースバイケースでの対応やイレギュラー対応を経て、制度の骨子がブラッシュアップされていくからです。
・育休や産休を取得したいが、国の制度とも照らし合わせて要件を確かめたい
こうした要望が社員から出て、社内にナレッジがたまっていくには、どうしても時間が必要です。
スタートアップは、銀行の融資が得られにくいビジネスモデルを取るため事業への投資が最優先されます。
そのため、労働環境が整っていると断言できるスタートアップは少ないでしょう。
会社の仕組みも整っていない
スタートアップ企業では、まったく新しい手法でビジネスを展開していくため、基本的に仕事のやり方や会社の仕組みというものが整っていません。
たとえば、自社の主力製品・サービスとして何を扱っていくか、どういった商流に軸を置くかはすべて仕事を進めながら手探りで見つけていくこととなります。
一社員の1日の仕事の流れや業務の進め方についても、とにかく目まぐるしく変化させながら正解を見つけていくことになるでしょう。
職場環境や体制についても、仕組みがまったく存在しないため、一から現場を作っていくこととなります。
つまり、スタートアップで働くなら、自ら能動的にさまざまな諸制度を整えていこうと意識しなければなりません。
制度がないからこそ、仕事の在り方や企業文化を作っていく立場になれると考えた方が良いでしょう。
業務の幅が広くハードワーク
スタートアップでは、会社の仕組み(事業内容や業務内容)が定まっていないとの同じように1人あたりの業務量にも明確な枠組みが決まっていません。
裁量を持って主体的に仕事に臨める反面、業務の幅は広くハードワークになる傾向が強いと言えます。
通常、仕事のやり方が確立されておりマニュアルが整っている一般企業であれば、仕事は特定のステップを踏みながら進められるのです。
1人に与えられる仕事量は決まっており、すべての業務を段階的に習いながらこなせるようになります。
しかし、スタートアップでは、そうした事業や業務内容の枠組みもすべて自分たちで働きながら見つけていくこととなるでしょう。
責任が伴いタスクも多く抱えることとなりますが、自分の判断で仕事を進めたい人にとってはまたとない職場と言えます。
マニュアルがなく、0から生み出すことが大変
スタートアップ企業には、マニュアルというものは存在しません。
大抵の企業では、前例を参考に事業の進め方が体系的にまとめられたマニュアルが存在します。
マニュアルさえあれば、何も知識のない業界未経験の新人であってもほぼ1人で仕事を覚えられます。
しかし、スタートアップでは、マニュアルはおろか仕事の進め方における具体的な手法についても何一つ明文化されていません。
先輩社員から業務を引き継ぐことがあっても、そのほとんどは成果物と口頭での説明によってなされるでしょう。
スタートアップは、無から有を生み出すという大変な苦労が伴いますが、その分、仕事におけるやりがいがある企業とも言えます。
自身の成長と事業の成長が連動することも多いため、会社や仕事そのものに対して愛着も湧きます。
社風が合っていない
どのスタートアップ企業にも、良くも悪くも企業独特の社風というものが存在します。
また、所属するメンバーによって社風が作り上げられる最中でもあるため、社風そのものがまだまだ未成熟であるとも言えるでしょう。
さらに、スタートアップには以下のような社風にまつわる特徴があります。
・主体性を持って働く必要がある
・自分でトライ&エラーを繰り返さなければならない
若いうちからたくさんの経験が積みたい、裁量ある仕事がしたいという人にはスタートアップ企業は非常におすすめの職場です。
しかし、逆にこうした環境で働くことに魅力が感じられないという人にとっては働きづらい会社であることも事実です。
自身が求める最適な働き方について、今一度考えを整理しておきましょう。
スタートアップ転職に失敗しないために
スタートアップ企業への転職で失敗しないためには、以下の5つの項目について注意深く事前リサーチを進めましょう。
・自分の転職の軸や自己分析をしっかり行う
・業務内容について正しく理解する
・企業理念や社風など事前に企業について調べる
・企業の将来性を確認する
スタートアップ企業で働く魅力というのは、裏を返せば働いていてしんどい・大変な部分とも言えます。
スタートアップ企業の特徴を徹底的に把握することで、失敗したと感じずに済むでしょう。
スタートアップについての理解を深める
スタートアップへの転職を成功させるには、まず何よりもスタートアップと呼ばれる企業が持つ特徴についての理解を深める必要があります。
先ほどお伝えしたスタートアップ企業に言える特徴については必ず理解しておきましょう。
・仕事の進め方は不明瞭で業務マニュアルはない
・社風が独特な企業が多い
・業務に対する責任が重く、基本的にハードワークになりやすい
こうした内容はすべてスタートアップで働くメリットでもありデメリットでもあります。
働くうえでのチャレンジ精神を大事にしたい、自分で考えて行動したい、日々新たな業務に着手したいという人にこそスタートアップはおすすめです。
自分がどうやって働きたいかを考えるのと同じように、スタートアップについての理解を深めておきましょう。
自分の転職の軸や自己分析をしっかり行う
スタートアップへの転職で失敗しないためには、転職活動において自分自身が大事にしている軸を定め、自己分析を徹底する必要があります。
まず、スタートアップ企業にはかなり特徴的な職場環境が待ち受けています。
逆に言えば、そうした職場環境にさえマッチングすれば、かなり刺激的でエキサイティングな仕事に携われるとも言えるのです。
つまり、自分自身が持つ強みや弱みの再確認は必須となり、新卒の時にやったよりもより深く自己分析をやっておかなければなりません。
自己分析を入念にやればやるほど、自身が思う仕事でやりたいこと・やりたくないことが明確になります。
スタートアップが持つ特徴と照らし合わせながらマッチングが図りやすくなるため、転職活動であっても自己分析はぜひ活用しましょう。
業務内容について正しく理解する
スタートアップ企業に転職するなら、業務内容についてより具体的に正しく理解しておきましょう。
スタートアップでは、会社の骨子が未成熟で、業務内容についてもまだ明確に決まっていないという企業が多く存在します。
入社してからも、場当たり的に携わる業務は変化しておくでしょう。
できれば、人員配置まで考慮し、自分が入社した時にどのような配置換えがあるかまで想定する必要があります。
業務を兼任する可能性が、キャリアアップ先についても見当がつくと安心です。
つまり、スタートアップでは自分が担当する業務を把握するだけではなく、将来的に携わる可能性のある仕事についても考えておかなければなりません。
ヒントとしては、人員配置や企業側が社員にどのようなキャリア形成を求めるかを掴んでおくと良いでしょう。
企業理念や社風など事前に企業について調べる
スタートアップの転職を成功させるためには、企業理念や社風など、表面的にでもわかる会社の内情について今一度調べておきましょう。
多くのスタートアップ企業では、人事制度や業務の進め方が整っていません。
しかし、企業理念や社風については、「こうなりたい。」「このような会社でありたい。」という理想像を掲げて起業しているケースがほとんどです。
設立者である社長の創業にかけた思いや、創成期から企業に在籍する先輩社員の働き方によって、おおよその社内の雰囲気は想像できます。
スタートアップでは、こうした情報をもとに企業の情報を事前に分析しておきましょう。
入社後のミスマッチを防ぐのに役立ち、早期退職のきっかけを潰しておけるのでぜひ丁寧なリサーチをおすすめします。
企業の将来性を確認する
スタートアップ企業では、転職前に会社の将来性についてもしっかりと確認しておきましょう。
スタートアップ企業には、急成長や大きな成功を収める可能性がある反面、事業撤退や倒産といったリスクも考えられます。
企業理念や社風に対する好き嫌いはありますが、将来性がないようでは身を預ける就職先として選ぶのはおすすめできません。
もちろん、会社の倒産や事業撤退によって再就職になる場合、会社都合の退職理由となるため転職もスムーズにいく可能性があります。
しかし、転職は社会情勢や景気に左右されるため、自分がどれだけ努力しても良い求人と出会えない、内定がもらえないといった事態も想定できます。
キャリアアップや必要に応じた転職は必要ですが、将来性のない会社にあえて飛び込むのはおすすめできません。
まとめ
スタートアップ企業への転職で失敗しないためのコツは、何よりも事前リサーチと言えます。
「思った働き方ではなかった。」「これほど社内制度が整っていないとは思わなかった。」という退職理由は、事前調査である程度回避できます。
イメージや理想だけで転職活動を進めるのはおすすめできません。
スタートアップで自分が働く様子をしっかりと想像し、実際の業務を具体的に掘り下げて考えておく必要があります。
自分で調べるだけではなく、先輩社員へのOB・OG訪問や採用担当への質問の機会をフルに活用してリサーチを進めましょう。