はじめに
いまだ世に浸透していない新たなビジネスモデルに携わりたいと考えて、ベンチャー企業への転職を考えている方もいるのではないでしょうか。
実際に転職先としてベンチャー企業は人気であり、多くの人材が流れていっていることは確かです。
その一方で、ベンチャー企業は休日出勤が必須で、稼働が多くとても忙しいという話を聞くこともあります。
今回はベンチャー企業の休日出勤事情について、そして転職のメリット・デメリットをまとめてご紹介します。
【ベンチャー企業は休日出勤必須!?】ベンチャー企業とは
ベンチャー企業と呼ばれる企業に明確な定義はありませんが、一般的には「革新的な技術やビジネスモデルを展開している、設立数年程度の成長過程である企業」が該当します。
つまり、従来の企業に比べて時代の流れに乗った事業を展開して、急成長している企業のことを意味すると覚えておきましょう。
ベンチャー企業は設立が若い企業ということもあり、20~30代の活気あふれる人材が中心に構成されている場合が多いです。
世代が若い分、向上心や熱量が高い人材も多いため、将来的には大手企業に並ぶ規模となる可能性も十分にあり得ます。
会社を発展させるために優秀な人材が必要となるので、一般の企業よりも給与を高く設定している会社も存在します。
メガベンチャー
ベンチャー企業の中でも、すでに大手並みの規模を誇る企業のことをメガベンチャーと呼びます。
メガベンチャーも初めから規模が大きかったわけではなく、ベンチャー企業からスタートした後、急成長を遂げて規模が大きくなった企業を意味します。
この規模に明確な基準はありませんが、従業員数は500人、企業の時価総額が500億円という数値をいずれも上回っている企業は、メガベンチャーと考えて良いでしょう。
私たちのまわりでも馴染みが深いメガベンチャーといえば、LINEが当てはまります。
LINEは近年のスマートフォンやSNS普及の波に乗って、数年で大規模に成長しました。
このように、世界のトレンドに革新的なビジネスモデルを結び付けられると、急成長できる魅力があるのがベンチャー企業です。
スタートアップ
設立年数が若いという点では、スタートアップ企業も当てはまりますが、ベンチャー企業とは経営戦略や資金の調達方法に違いがあります。
ベンチャー企業は革新的なビジネスモデルといっても、すでにある既存のビジネスモデルを活用したうえで展開されるため、初期段階でもある程度の収益が見込めるものとされています。
その一方でスタートアップ企業は、これまでにない新しい価値観をビジネスへと落とし込んでいくため、実際にサービスが完成して日の目を見るまではほとんど収益を期待できません。
そのため、収益が見込めるベンチャー企業は銀行からの融資などが通りやすく資金調達しやすいです。
しかし、スタートアップ企業の場合は、そうした企業を支援する投資家たちを見つけなければ、資金の確保が難しいです。
【ベンチャー企業は休日出勤必須!?】ベンチャー企業は休日出勤しなくてはならないのか
冒頭でも説明した通り、ベンチャー企業は休日出勤が必須であるという声が少なからずあります。
これはベンチャー企業が設立してまもない会社だからこそ、少しでも会社やビジネスへの貢献を進める必要があるという理由から、そういわれることが多いです。
確かに若い企業であるからこそ、個人の仕事内容が多岐にわたることも多く、仕事量も多くなりがちなのがベンチャー企業です。
しかしながら、現在は2019年に打ち出された働き方改革の影響もあって、社員の労働時間は規定範囲内にとどまっており、過度な労働の是正や理不尽な待遇差は禁止されています。
繁忙期や納期間近なプロジェクトなどで多少の平日残業が発生する場合もありますが、ベンチャー企業では忙しいながらも仕事とプライベートの時間は分けられているということです。
そのため、経営状態や運営が健全なベンチャー企業であれば、無理に休日出勤を強いられることはありません。
ベンチャー企業だから休日出勤が必ずあるという考えは、捨てておきましょう。
【ベンチャー企業は休日出勤必須!?】ベンチャー転職のメリット
以前は、魅力とともに激務のイメージがついていたベンチャー企業も、昨今の労働環境の改善によって働きやすくなっています。
どの職種も転職が当たり前となってきた時代において、ベンチャー企業への転職を考える方も多くなっているでしょう。
そんな方向けに、ベンチャー企業へ転職するメリットについていくつかご紹介します。
以下のメリットが自分に合っていると感じた方は、ベンチャー企業への転職を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
仕事の幅が広がる
ベンチャー企業は設立間もない会社であるからこそ、従業員が一丸となって会社の成長や発展を目指して働きます。
そのため、入って歴の浅い社員であっても、プロジェクトに対して大きな権限や裁量を与えられたり、重大な仕事を任せてもらえたりするケースは少なくなりません。
このように、実力のある人ならば経歴は関係なく、即戦力として採用される成果主義の企業がベンチャー企業には多いです。
ベンチャー企業以外の年功序列を採用している企業では、なかなか経験できない貴重な仕事であったり、多様な業務を経験させてもらえたりします。
若いうちからさまざまな仕事を経験してみたい好奇心や向上心のある方は、ベンチャー企業への転職に向いているといえるでしょう。
昇進が早い
前述の通り、実力があれば経歴に関係なく大きな仕事を任せてもらえるからこそ、社内での昇進も早い傾向にあります。
個人の能力や成果を重視するため、企業に利益が出る活躍さえできれば、年齢や勤続年数に関係なく正当な評価を下してくれます。
そのため、若手社員でも、早期のうちに昇進や年収アップを期待できる企業であることがほとんどです。
実際に入社1年目から、プロジェクトリーダーを任せてもらえるケースも少なくありません。
自分のスキルにある程度の自信があって、その能力を活かせるベンチャー企業に転職できれば、結果を残して早期に昇進することも難しくはないでしょう。
仕事のやりがいは、企業や周囲に認められることにあると考えている方に、ベンチャー企業の社風は向いています。
経営者との距離が近い
ベンチャー企業では、経営者と社員の距離が近いこともメリットです。
設立数年のベンチャー企業は社員数も多いわけではなく、一つのプロジェクトに対して経営者も社員とともに取り組んでいる場合があります。
そのため、仕事に関する考えや提案などを経営者に直接伝えられる機会も多く、風通しの良い職場となります。
また、その考えや提案が認められることで、自身が重要な仕事を任せてもらえるなど評価につながる場合もあるでしょう。
経営者と社員が共に一つの目標に向かって試行錯誤を進めていくのは、一般企業にはないベンチャー企業ならではの魅力といえます。
自分の意見が比較的通りやすい環境でもあるため、仕事のモチベーションも高く維持できるでしょう。
【ベンチャー企業は休日出勤必須!?】ベンチャー転職のデメリット
ベンチャー企業は魅力的な点も多いですが、人によってはデメリットを感じる部分もあります。
一般企業でも転職に際してのデメリットはいくつかありますが、以下に挙げる項目はとくにベンチャー企業でよく見られるデメリットです。
中には、合わない人はとことん合わず、思っていたイメージと違うと退職してしまう人もいるかもしれません。
ベンチャー企業への転職を考えている方は、事前に以下の項目を把握したうえで、自分に向いているかを判断してみましょう。
業務内容が多い
仕事の幅が広がる点はメリットであるものの、一方で業務内容が多いというデメリットも生じてしまいます。
業務内容が多すぎて何からやればいいか分からず、辛いと感じてしまう人も多いようです。
会社の成長や発展に貢献するために入社しても、ある程度の体制が整っていなければ有意義な仕事はできません。
もちろん体制はきちんと整えているベンチャー企業もありますが、それでも業務内容が多くて辛いと感じてしまう場合は、自分自身の要領やマルチタスク処理の能力が不足しているといえます。
やることがいくつもあると手が回らない、一つのことしか集中的に取り組めないなどといった性質の方には、ベンチャー企業での多様な業務遂行は難しいかもしれません。
給与が安定しない
ベンチャー企業はスタートアップ企業と違って、多少の融資は受けやすいと説明はしましたが、それが必ずしも従業員に還元されるとは限りません。
自社のビジネスがしっかりと軌道に乗るまでは、安定した給与や希望通りの待遇は期待できないケースが多いです。
これらの条件に安定が約束されている企業への転職を考えている方は、ベンチャー企業への転職を慎重に判断した方が良いでしょう。
しかし、ビジネスが軌道に乗れば業績も一気に伸びて、給与や待遇が大きく上がる可能性もあります。
その機会を辛抱強く待ちながら、不安定な条件であっても仕事へのモチベーションを高く維持して取り組める方であれば、ベンチャー企業への転職を検討しても良いでしょう。
慣れるまでに時間がかかる
新しいビジネスモデルを掲げて、仕事に取り組むのがベンチャー企業です。
そのため、まだどこも始めたことのない事業を展開することになるため、この先どのような事象が起こるかも予想が難しい場合があります。
企業そのものに待ち受ける今後の展開、そして自分自身が前例のない仕事に取り組んでいる場合、その環境に慣れるには少々時間がかかります。
はじめは、手探り状態で業務を進めることになるケースが多いため、それがストレスと感じてしまう方もいるでしょう。
会社とともに、自分自身も新しい領域へと足を踏み入れていくこの感覚がキツいと感じてしまう方は、ベンチャー企業に不向きかもしれません。
その感覚を乗り越えて徐々に慣れてきたら、余裕をもって仕事に取り組めるでしょう。
【ベンチャー企業は休日出勤必須!?】休日出勤しないために
休日出勤が必須ではないと紹介しましたが、場合によっては休日出勤せざるを得ない状況もあるでしょう。
実際に、ベンチャー企業は経営者と従業員が近い関係にあるからこそ、この労働環境の状況がいい加減となっている職場があるのも現状です。
そこで、休日出勤しないために注意するべきこと、取るべき行動についてご紹介します。
転職後は以下の項目を意識して、自身が望まない休日出勤はなるべく行わないように気をつけましょう。
年間休日数に注意する
一般的な企業であれば、年間休日数は多い傾向にありますが、ベンチャー企業ではこの年間休日数が少ない場合もあります。
世間的に理想とされている年間休日数は、125日以上です。
これは、完全週休2日制の土日休みと祝日の休みが最低限保証されて、年末年始休暇や夏季休暇も加わる場合の日数です。
ベンチャー企業ではとくに小規模の場合、この年間休日数を十分に設けていないことがあるため、休日出勤を余儀なくされるケースが考えられます。
休日出勤を避けたいのであれば、転職前に必ず企業の年間休日数を調べて把握しておきましょう。
入ってから異議を唱えても認められないケースが多いため、自分自身で事前にしっかりと調べておくことが重要です。
有給を活用する
休日出勤を避けるために、有給休暇を使用するのも一つの手段です。
有給休暇とは、労働者側の正当な権利として与えられている、賃金の支払いが発生する休暇日のことを指します。
基本的に休日出勤は休日として扱われますが、休日出勤を余儀なくされても出勤が難しい場合は、有休を使えば権利として休みを取得できます。
休日出勤続きで過度な疲労が溜まっている場合や、どうしても外せない予定が休日に入っている場合は、事前に申告したうえで有給を取得して休むようにしましょう。
また、年間で与えられる有給休暇の日数は、企業によっても異なります。
初年度や2年目でも、なるべく有給休暇の日数を多く付与してくれるベンチャー企業を選ぶと良いでしょう。
まとめ
ベンチャー企業の休日出勤事情と、メリットやデメリットについて紹介しました。
革新的なビジネスモデルを掲げるベンチャー企業は、向上心の高い若者にとって転職先としても大変人気の企業です。
しかしながら、休日出勤の可能性やベンチャー企業特有の社風がもたらす特徴に馴染めない場合は、入社してからギャップを感じて後悔してしまうケースも少なくありません。
転職においては、どんな仕事ができるかを企業選択の判断材料とすることも重要ですが、待遇や環境が自分に合っているかどうかも長く続けるためには大切な要素です。
これからベンチャー企業への転職を考えている方は、事前にその企業の年間休日数や社風を入念にリサーチしたうえで、転職活動に臨みましょう。