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はじめに
やりがいや夢を持ち、自分を成長させながら活き活きと働きたいと考えて、ベンチャー企業への就職を志望する人は少なくありません。
しかし、ベンチャー企業といってもさまざまな会社があり、企業の規模や成長ステージによってその実状はそれぞれ異なります。
多くのベンチャー企業は、不安定さをはじめとする数々のリスクを持っており、イメージだけで就職してしまうと後悔することになりかねません。
誰もが知っているメガベンチャーは非常に魅力的ですが、それだけに就職先として人気が高く難関です。
ベンチャー企業で働くことに何を求めるかは人により異なることと思いますが、ある程度の安定性を求める場合には、ミドルベンチャーがおすすめと言えます。
今回は、今後も成長が見込まれるミドルベンチャーを紹介していきますので、ぜひチェックしてみてください。
【ミドルベンチャーの例】ミドルベンチャーとは
世の中にあるベンチャー企業は、さまざまな視点から分類されています。
就職の際の志望企業として考える場合は、「アーリーベンチャー」「ミドルベンチャー」「メガベンチャー」の3つに分類されることが一般的です。
たとえば、ミドルベンチャーは事業が軌道に乗り、企業規模もある程度大きくなった段階の企業を指します。
また、アーリーベンチャーは起業早期の創業期にある企業のことを指し、大企業に成長を遂げたベンチャー企業がメガベンチャーです。
ミドルベンチャーの定義
一般的には、従業員数が100人から1000人ほどの企業がミドルベンチャーと呼ばれることが多いです。
そもそも、ベンチャー企業という言葉自体に明確な定義はありません。
革新的なアイデアや技術をもとに、新しい事業を展開する比較的若い企業をベンチャー企業と呼ぶことが多いようです。
はじめは小さく不安定でも、新しい事業が世間に広く受け入れられ、収益モデルが確立すれば急成長が見込まれます。
数百人から1000人くらいの人材を確保できる規模に成長した段階では、すでに倒産の危機を脱したミドルベンチャーと言えるでしょう。
また、そこから大企業へと変貌を遂げる可能性もあるため、メガベンチャー未満のベンチャー企業とも言えます。
なお、詳しくは後述しますが、誰もが知っているクックパッドや、最近目にすることが多くなったSpeeeやレバレジーズなどもミドルベンチャーにあたります。
ミドルベンチャーの特徴
ベンチャー企業は、経営が不安定であるのが大きなデメリットです。
一方、メガベンチャーであれば、倒産のリスクは払拭できますが、組織が大きくなることでスピード感をはじめとしたベンチャー特有の魅力が薄れてしまっていることも考えられます。
ミドルベンチャーは、事業が軌道に乗り収益モデルが確立しているため、スタートアップやアーリーベンチャーと比べ倒産の危険性は少ないでしょう。
それでいて裁量権の大きさや意思決定の早さ、成長できる環境などベンチャー特有の風土の中でやりがいを感じながら仕事に取り組めることが特徴と言えます。
柔軟な組織体制が整えられている
ミドルベンチャーは、スタートアップの段階を終え、事業が軌道に乗り始めた成長期にあります。
この段階では、製品やサービスが市場で一定の評価を得ており、売上や利益が安定的に増加している傾向が見られます。
そのため、組織はスタートアップ期のような少人数で多岐にわたる業務をこなす体制から、部門ごとに専門性を高める体制へと移行しつつあります。
しかし、大企業ほど組織の縦割りや意思決定のプロセスが固まっていないため、個々の社員が複数の業務を兼任したり、新しいプロジェクトに柔軟に関わったりすることが可能です。
この機動力の高さは、市場の変化に迅速に対応し、新たな事業機会を創出する上で大きな強みとなります。
また、社員一人ひとりの裁量が大きく、成果が組織全体に与える影響を実感しやすい環境です。
事業拡大に力を入れている
ミドルベンチャーは、事業の安定性から、スタートアップに比べて資金調達の選択肢が増えます。
VCからの追加出資だけでなく、金融機関からの融資や、IPO(株式公開)に向けた準備も視野に入ってきます。
調達した資金は、さらなる事業拡大、新サービスの開発、優秀な人材の獲得、マーケティング活動の強化などに投じられます。
特に、市場での競争力を高めるため、積極的な広告宣伝や販売網の拡大に資金を投じるケースが多いです。
しかし、成長を急ぐあまり、事業の収益性や将来性を十分に考慮しないまま投資を行うと、経営リスクを高めることにもつながります。
したがって、資金調達と事業拡大をバランスよく進めるための経営戦略が重要になります。
このフェーズでの投資判断が、企業の将来を大きく左右します。
1人にかかる責任が大きい
ミドルベンチャーでは、社員のモチベーションを高めるために、業績に応じたインセンティブ制度が導入されていることが多く、ストックオプションや成果報酬型のボーナスがその代表例です。
特に、ストックオプションは、企業の成長が社員自身の資産形成に直結するため、強いエンゲージメントを生み出す効果があります。
また、このフェーズの社員には、自身の業務範囲を超えた責任が求められることが少なくありません。
例えば、新しいプロジェクトの立ち上げを任されたり、若手社員の指導・育成を担ったりすることがあります。
大企業のように細分化された役割分担がないため、一人ひとりが組織全体の成長に貢献しているという実感を得やすい反面、高い自己管理能力と責任感が求められます。
この責任感とそれに伴う裁量の大きさが、社員の成長を加速させます。
人が足りていないからこその裁量権の大きさ
事業規模がある程度大きくなっている一方、企業の成長に採用が追いついていかず、十分な労働力が確保しきれていないことが多いのもミドルベンチャーの特徴と言えるでしょう。
そのため、若手のうちから大きな仕事を任せてもらえる可能性があります。
責任は重いですが、やりがいを感じて働けることは、ミドルベンチャーで働く大きなメリットとも言えます。
アーリーベンチャーも同様に、人手不足である場合がほとんどであり裁量権は大きいです。
しかし、利益の出ない状況では、仕事の量に見合った収入は望めません。
ミドルベンチャーは、そのような状況からは脱して一歩先の段階にあるので、忙しくても仕事へのモチベーションを保つことができるでしょう。
【ミドルベンチャーの例】ミドルベンチャーの例
最後に、急成長を遂げ今後もさらに成長が期待できそうなミドルベンチャーを紹介しますので、企業研究の参考にしてみてください。
企業研究の目的は、その企業の特徴を理解することです。
まずは、その企業の業態や商品やサービスの対象、規模などを調べてみましょう。
この場合、企業価値や規模を評価する際の指標となるのが時価総額です。
気になる企業を見つけたら、社風や勤務条件などさらに掘り下げて調べて、自身が働くことに合っているか、相性を見極めて志望企業を選びましょう。
クックパッド
その後、1999年にサービス名を「クックパッド」に変更しました。
2004年9月に現在のクックパッド株式会社に組織変更し、2009年7月には東京証券取引所マザーズに上場します。
そして、2011年12月には東京証券取引所の市場第一部に市場変更、2022年には東京証券取引所のスタンダード市場にと順調に市場変更しています。
Yahooファイナンスによると、平均年収は791万円、平均年齢は34.6歳と比較的若い社員が多いです。
また、2023年1月12日終値の時価総額は210億5600万円です。
「毎日の料理を楽しみにする」ことで、人・社会・地球の健康を実現することをビジョンとして掲げています。
Speee
現在は、それに加えマーケティングインテリジェンス(市場分析情報)事業、デジタルトランスフォーメーション(デジタル技術を用いた業務改革事業)を主軸としています。
SEO事業から始まり、2013年にデジタル広告の「トレーディングデスク」事業、2014年に中古不動産売却におけるマッチングサービスである「イエウール」事業、2015年には外装リフォームにおけるマッチングサービス「ヌリカエ」事業と次々と新事業を開始しています。
企業規模の指標となる時価総額は、東京証券取引所スタンダード市場、2023年1月12日終値で144億400万円です。
従業員数は385人、平均年収は567万円、平均年齢29.4歳となっています。
新卒採用に力を入れている会社ですが、転職者の人気も高いのが特徴です。
レバレジーズ
2007年には看護師紹介事業をスタートさせ、2015年には、エネルギー系メディア「エネジョイズ」を新事業として開始しました。
現在は、人材関連事業、システムエンジニア事業、自社メディア事業の3つを主軸としています。
未上場なので、時価総額の計算はできませんが、2022年7月時点で従業員数はグループ全体で1455人、創業から17年で年商649億円に急成長を遂げている会社です。
平均年収は公表されていませんが、OpenWorkでの回答者の平均は490万円となっていました。
なお、Great Place to Work(GPTW)からライセンスを受けた、株式会社働きがいのある会社研究所の調査では、「働きがいのある会社ランキング」で5年連続ベストカンパニーに選ばれています。
ネオキャリア
中途採用支援・求人広告事業からスタートし、翌年2001年には中途人材紹介事業、技術者派遣事業を開始します。
2004年には新卒採用支援・求人広告事業、2005年に新卒紹介事業へと事業を拡大しています。
未上場ですので、時価総額の計算はできません。
従業員数は、グループ企業と非正規従業員も含め3391名です。
平均年収は公表されていませんが、OpenWorkの回答者の平均は399万円でした。
全国に87の拠点を持ち、「HR Tech」、「Healthcare」、「Human Resource」、「Global」の4つの領域から、新卒・中途採用における採用業務に関するコンサルティングをはじめ採用アウトソーシングなど、人材サービスを主軸としたさまざまな事業を展開しています。
具体的には、保育士の転職をサポートする「保育ひろば」「保育Fine!」の運営、海外就職・転職支援サービス「REERACOEN」、海外向け情報発信プラットフォームの運営が挙げられます。
GA technologies
2013年の設立から2年後の2015年には売上高30億円を達成、2016年には売上高54億円を達成、2017年96億円、2018年には東京証券取引所マザーズ市場へ上場し売上高200億円と急成長を遂げています。
その後も順調に業績を伸ばし、2020年、2021年と連続で、経済産業省と東京証券取引所が共同で選ぶ「DX(デジタルトランスフォーメーション)銘柄」に選ばれています。
2022年10月末時点でのグループ会社を含めた従業員数は967人です。
Yahooファイナンスによると平均年収は680万円、平均年齢は30.3歳となっています。
また、2023年1月12日終値による時価総額は438億7100万円です。
【ミドルベンチャーの例】ミドルベンチャーに入社するメリット
ミドルベンチャーに入社するメリットは、どのような部分にあるのでしょうか。
ここでは、ミドルベンチャーに入社するメリットを詳しく解説します。
裁量権が大きい
ミドルベンチャーでは、社員一人ひとりの裁量権が非常に大きい点が魅力です。
大企業のように厳格な階層や承認プロセスがないため、自分のアイデアや意見を直接プロジェクトに反映させやすい環境です。
これにより、単なる指示待ちではなく、自ら課題を発見し、解決策を提案する主体性が求められます。
また、事業が成長フェーズにあるため、新しいプロジェクトや事業立ち上げに携わるチャンスも豊富にあります。
若手であっても重要な役割を任されることが多く、短期間で幅広い経験を積むことができます。
この経験は、専門的なスキルだけでなく、事業全体を俯瞰する経営的な視点や、困難な状況を乗り越える力など、キャリアを大きく飛躍させる上で不可欠な要素となります。
組織への影響力が大きい
ミドルベンチャーでは、社員一人ひとりが組織全体に与える影響力が大きいという特長があります。
組織の規模が比較的小さいため、個々の貢献が売上や事業成長に直結していることを実感しやすいです。
自分が関わったプロジェクトの成功が、会社全体の業績向上につながる様子を間近で見られるため、高いモチベーションを維持できます。
また、意思決定のスピードが速く、経営層との距離も近いため、自分の意見が経営方針や企業文化の形成に影響を与えることも可能です。
自分が会社の成長を直接支えているという感覚は、大きなやりがいにつながります。
この経験は、将来的に起業を目指す人や、経営に近い立場で働きたいと考える人にとって、貴重な財産となります。
幅広い経験をすることができる
ミドルベンチャーでは、特定の職種に限定されない多様な業務経験を通じて、高い専門性を身につける機会が豊富にあります。
組織がまだ固まっていないため、マーケティング担当者が営業戦略に関わったり、エンジニアがサービスの企画に参加したりと、複数の分野を横断的に経験することが可能です。
これにより、単一のスキルだけでなく、幅広い知識と経験が身につきます。
また、個人の能力や意欲次第で、柔軟にキャリアパスを変更しやすいのも特徴です。
例えば、営業から企画職へ、あるいはマーケティングから事業開発へと、自分の関心や適性に合わせて職種を変えることも比較的容易です。
専門性を深めながらも、キャリアの選択肢を広げることができる柔軟性は、大きなメリットと言えるでしょう。
一体感がある
ミドルベンチャーは、創業期から培われた独特の企業文化が色濃く残っていることが多いです。
共通のビジョンやミッションを掲げ、社員が一丸となって目標に向かう一体感は、大企業ではなかなか味わえないものです。
社員同士の結びつきも強く、年齢や役職に関係なくフラットなコミュニケーションが活発に行われます。
困難な課題に直面しても、チーム全体で協力して乗り越える文化が根付いているため、安心して働くことができます。
また、新しいメンバーもこの文化にスムーズに溶け込みやすく、早期に組織の一員として貢献する実感が得られます。
この一体感は、日々の業務におけるモチベーションを高めるだけでなく、仕事のやりがいや楽しさをより一層深めてくれます。
成果に応じてインセンティブがあるケースが多い
ミドルベンチャーでは、社員のモチベーションを高めるために、個人の成果や会社の業績に応じたインセンティブ制度が導入されているケースが多いです。
特に、ストックオプションや成果報酬型のボーナスは代表的な例です。
ストックオプションは、会社の成長が社員自身の資産形成に直接結びつくため、非常に強力な動機付けとなります。
また、成果報酬型ボーナスは、自身の努力が具体的な報酬として還元されるため、日々の業務に対する意欲を高めます。
大企業では年功序列が根強く残っていることもありますが、ミドルベンチャーでは個人のパフォーマンスが公正に評価され、それが報酬に反映される傾向が強いです。
自分の頑張りが正当に評価される環境は、キャリアを築く上で大きな励みとなります。
まとめ
ベンチャー企業は、若手の方でも裁量を持って仕事ができ、企業の成長を感じながらやりがいを持って働くことができるイメージがあるため、熱意のある学生の就職先として人気があります。
その反面、経営面や福利厚生面をはじめとするデメリットも少なくありません。
そのデメリットの多くは、企業が大きく成長していくに従って払拭されていきますが、同時にベンチャー企業特有の魅力も薄れてしまいます。
また、誰もが知るメガベンチャーとなれば、就職は狭き門となります。
ベンチャー企業の魅力を十分に感じながら働きたいと考えている方は、ミドルベンチャーがおすすめです。
自分が気になっているミドルベンチャーにフォーカスし、じっくりと企業研究を行ってみましょう。