近年、女性の働き方に対する意識が大きく変化してきました。
これまでは、結婚や出産・育児などのさまざまなライフイベントとキャリアを両立することは難しいとされていました。
しかし、今は多くの企業で女性の働きやすさに対するさまざまな取り組みを行っております。
結婚や出産後も育児とキャリアを両立することが可能になれば、キャリアを積む側の女性としても、多くの企業から自分自身のキャリアを最も伸ばすことのできる企業を選ぶことができるようになるということです。
今回は、あまり認知されていない女性が働きやすいベンチャー企業がどのようなものなのか、その特徴やメリットなどを詳しく解説していきます。
目次[目次を全て表示する]
【女性が働きやすいベンチャー】ベンチャーの魅力
女性が働きやすいベンチャー企業と聞いても、「そもそもあまり待遇が良くなさそうなベンチャー企業で女性が働きやすい環境がそろっているのか?」という疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
たしかに、大手の方が福利厚生や待遇が良く、キャリアアップしやすい環境が整っているとイメージしがちですが、実はそうとは言い切れません。
柔軟性のあるベンチャー企業だからこそ、女性の働きやすさに寄り添った環境を整えているというケースもあります。
それでは、ベンチャー企業特有の魅力について解説していきます。
ベンチャー特有の制度がある
1つ目の魅力は、ベンチャー企業には「ベンチャー特有の制度がある」ということです。
たとえば、週に1回などのペースで子育てとキャリアの両立について社長と直々に話す機会があったり、女性社員同士や子育て世代同士で子育てについて話し合うことができるコミュニティがあったりします。
実際に、社長と面談できたり、さまざまな部署の子育て世代と子育ての悩みをシェアできたりするのは、社長との距離が近い・アットホームな雰囲気のベンチャー企業ならではの取り組みでしょう。
大企業でも、こういった制度を設けているところはいくつか見受けられます。
しかし、実際にはうまく活用しきれず、いつのまにか形骸化しているケースも少なくありません。
また、これは稀なケースではありますが、女性社員しか採用しないというベンチャー企業も存在します。
女性に対する偏見が少ない
2つ目の魅力は、「女性に対する差別や偏見が比較的少ない」という点です。
あからさまに女性への待遇を悪くする、男女で採用に差をつけるといった、わかりやすい性差を行っている企業は今の日本には少ないでしょう。
しかし、実際には無意識のうちに「男性だから」「女性だから」という理由で差別されるケースは決してゼロではありません。
これは、古くからある日本の慣習や風土からくる意識的な側面が非常に強いことが原因のひとつとされています。
ベンチャー企業では、比較的若い世代が多く働いていることもあり、大企業など幅広い年齢が入り混じる企業に比べて「古くからの固定観念」を持つ人が少ない傾向にあります。
ですので、「女性だから昇進できない」などというケースも起こりにくくなるのです。
実力で判断される
3つ目の魅力は、「実力で判断されるから」ということです。
年齢とともに昇進・昇級する仕組みである「年功序列制度」は減ってきているとはいうものの、完全になくなったわけではありません。
ですが、ベンチャー企業の多くは「成果主義制度」を導入しています。
成果主義制度とは、文字通り成果を出した人・実力のある人が昇進・昇級できる制度のことであり、そこに年齢や性別などの社会的背景が考慮されることは良い意味でありません。
この制度においては、ブランクがあることや性別が女性であることは評価の対象外になります。
そのため、「一度結婚や出産・育児で会社を離れたらほかの同僚と同じような昇給や昇進は見込めない」という悩みは生じづらくなると言えるでしょう。
【女性が働きやすいベンチャー】ベンチャー企業の懸念点とその解決
「ベンチャー企業は女性が働きやすい環境が整っている」と感じた方も多いかと思いますが、もちろんベンチャー企業では大企業に比較して制度面などで劣ってしまう点があることも事実です。
それらの点に関しては、改善へ向けて各企業さまざまな取り組みを行っている最中ではあります。
しかし、単に「ベンチャー企業へ就職をすれば良い」というわけではないので、しっかり両者の違いや特徴を押さえて理解しましょう。
では、ベンチャー企業に就職した際に抱かれる懸念点とそれらの今後の展望に関して説明していきます。
制度が不十分
1つ目の懸念点は、「制度が不十分である」ということです。
ここでいう制度とは人事や労働環境などのことで、これらは大企業になるとそれらの専門の部署が存在するほど当たり前に整っている環境です。
しかし、ベンチャー企業は人数規模が大企業ほど多くないことや、マネタイズの側面からそう入った専門的な人員を配置できないことから、誰かがほかの業務と兼任しながら人事労務制度などを整えていることも少なくありません。
さらにベンチャー企業では、そもそも育児休業や産前・産後休暇を導入していないというケースも多くあります。
企業の成長とともに拡大する傾向
一部のベンチャー企業では、育休や産休をはじめとしたさまざまな制度が不十分であることが多いです。
しかし、逆に言えば「企業の成長とともにしっかりとした制度が固まっていく可能性がある」とも言えます。
つまり、これから企業が成長して大きくなっていくにあたって、そういった福利厚生制度の整備は必要不可欠になりますので、より当事者に寄り添った制度にこれからなり得る可能性があるということです。
しかし、その企業が果たして成長するかどうかというのは、いったいどのように見極めなければならないのでしょうか。
一般的に成長を見込める企業の特徴として、「短期的で一次的なブームに乗っていない」「受託開発ではなく自社開発である」などが挙げられます。
さらに、出資面においては完全な自己資金や借入金だけで事業を行っているのではなく、第三者から企業へ出資が行われている場合は成長可能性の高い企業であると言われています。
これらをしっかり見定められず、希望だけ抱いて就職してしまった場合、最終的にまったく制度の恩恵を受けられずに会社が倒産してしまう可能性もありますので注意しましょう。
なお、またまだ成長段階であって制度を十分に検討できていない会社であっても、育休や産休などの早期導入が望ましいものに関しては、当事者からの働きかけ次第では相談を受け入れてくれる可能性があります。
裁量が大きく、休みにくい
次に挙げられる懸念点は、「社員一人ひとりの裁量が多いために休みにくい」という点が挙げられます。
特に子育て中の女性に多いのが、「子どもが突然熱を出してしまい休まなければならない」といったようなケースです。
大企業であればほかにフォローしてくれる人員がいるかもしれませんが、最低人数で回しているベンチャー企業では休んだ分、仕事が溜まってしまい、次回出勤時に自身の負担が上乗せされるというようなサイクルができてしまいます。
そうなるとどんどん仕事を休みにくくなってしまい、最終的には柔軟に対応してくれる職場への転職を考えるなどというケースも少なくはありません。
働き方が柔軟な企業がおすすめ
これらの条件をクリアするためには、「できる限り柔軟な働き方が許される企業」で働くことがおすすめです。
時短勤務やリモートワーク制度を導入している企業でなら、突然子どもの体調が悪くなっても家で仕事をしながら子どもの面倒を見ることができます。
また、子どものお迎えの時間に間に合うよう、仕事を切り上げることも可能です。
自分自身の工夫によって、子どもを育てながらもキャリアアップを諦めることなく働き続けることが叶うのです。
残業が多い
ベンチャー企業の懸念点としては「残業が多い」という点も考えられます。
社員数が少ない分、社員一人ひとりが担う業務量は自然と多くなってしまいます。
なかには、1人がいくつかの部署や仕事を兼任するということも決して珍しくありません。
これは、独身でバリバリ仕事をしたいと考えている方にとっては好条件かもしれませんが、将来的には家庭と仕事の両立を考えているという方にとっては大きな懸念点になってきます。
過度な残業が多い企業を選ばないように、しっかりと面接で確認しておくようにしましょう。
効率化や上場を目指す企業がおすすめ
こういった業務負担を解消する方法は、「業務を効率化する」ということです。
業務の効率化にはさまざまな方法がありますが、人数が少ない企業の多くは、業務効率化のためのシステムやツールを活用することで一人ひとりの負担を減らしています。
逆に、成長が見込めない企業や上場予定のない企業はコストをできるだけ削減する傾向にあち、そういった業務効率化にお金をかけずに人の手で賄っていることも珍しくありません。
企業が業務効率化のためにどのような施策を行っているのか、タイミングを見つつ質問してみましょう。
【女性が働きやすいベンチャー】女性が働きやすいベンチャーの特徴
ベンチャー企業は女性にとって働きやすい環境が整っている一方で、制度が未整備な会社が多くあるのも事実です。
では、そのような中で女性が働きやすいベンチャー企業を見極めるためには、いったいどのような点に着目すれば良いのでしょうか。
最後に、これまでに挙げたベンチャー企業の懸念点を考慮したうえで、いわゆる『女性が働きやすい』ベンチャー企業の特徴を紹介していきますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
働き方を選べる
1つ目の特徴は、「働き方を選ぶことができる」という点です。
決まった時間に出勤し、毎朝必ずオフィスまで通勤しなくてはならないとなれば、子育てをする女性にとっては朝の忙しい時間にこなさなければならないことがあまりにも多すぎてしまいます。
そんなときに時短勤務できる制度やリモートワークができる制度があれば、子育てと両立しながら効率良く働くことができるでしょう。
また、社員全員の多様なライフスタイルを応援することにつながるので、結果的には女性だけでなく子育てをする男性やその家族にとっても魅力的な条件になると言えます。
多様性が認められている
2つ目の特徴は、「多様性が認められている」ということです。
多様性という言葉には、多くの意味が含まれています。
女性が働きやすい会社に求められる多様性は、子どもを育てている人もそうでない人も、社員全員が受け入れられているということです。
そういった価値観が当たり前になっていれば、「子どもはすぐに体調を崩すから急に仕事を休むのは想定の範囲内だよね」という考え方がスタンダードになります。
また、「あの人は女性なのに結婚をしないのかしら」といった意見が出てくることも少なくなるでしょう。
社員の関係性が良い
社員の関係性が良いというのは、先述した「多様性が認められている」ということと大きくつながっています。
お互いを許し合える関係にあると、自ずと人間関係は良好になってきます。
社員同士の関係性が良好であるというのは、「全員で支えながら1つのモノを作り上げている」という考え方のもとに成り立っていることが多いです。
たとえば、子どもの急な体調不良や学校の行事への参加も、「彼女・彼にとっては子どもが大切だから」という理由で通ります。
当事者も負い目を感じずに気持ち良く働くことにつながるので、チームの関係性は良好なままを維持できるのです。
逆質問で聞いてみるのもアリ
具体的な待遇面については、インターネットなどで見つけることは難しいです。
また、仮に見つけられたとしても、あくまでその人個人の意見であって、会社が用意した待遇とは認識の差がある可能性も否定できません。
こういった待遇面をきちんと知りたい場合は、面接や説明会などで担当者に逆質問をすると良いでしょう。
実際に育休や産休の取得例はあるのか、前例がない制度に関しては導入についてどう検討しているか、柔軟な働き方には対応しているかなど、具体的に気になることを聞いてみましょう。
【女性が働きやすいベンチャー】まとめ
ベンチャー企業は、多様化する女性の働き方に対しても柔軟に受け入れてくれる姿勢を持っているところが多い傾向にあります。
時短勤務やリモートワークを認めている会社も多く、魅力的な制度を利用しながら働いている方も少なくありません。
しかし、実際には制度を導入できていない会社や、プライベートと仕事の両立が難しいケースもまだまだ課題として残っています。
自分の理想の働き方に合ったベンチャー企業を見つけて、女性だからという理由でキャリアアップを諦めることのない働き方を目指しましょう。