はじめに
いざ就職活動を始めようとすると、さまざまな疑問が湧いてくることになるでしょう。
たとえば、企業にエントリーしようとする際には、「一体どのくらいの数の企業にエントリーするのが正しいのか」「面接は何社受けるのが正解なのか」を知っておきたいと考える人も多いでしょう。
また、ほかの就活生はどうしているのかも気になるのではないでしょうか。
今回は、適切な面接の回数やエントリー数について、一般的な就活生の動向も併せて解説していきます。
【就活では何社の面接を受けるべき?】ベストな面接数はあるの?
結論から言ってしまえば、面接の数は人によってさまざまですので、特に何社面接を受けるべきという数はありません。
あえて述べるとすれば、多くの就活生が8社前後の面接を受けていることから、8社がひとつの目安と言えるでしょう。
ただし、同時並行で進める場合には、最大でも5社くらいにするのが適当です。
それ以上の数になると、日程の調整が難しくなることに加え、企業ごとの面接対策にかける時間が十分取れなくなってしまうため注意が必要です。
【就活では何社の面接を受けるべき?】エントリー数によって異なる
面接に進むにはエントリーが必要ですから、当然ながら面接を受ける回数は、エントリー数によって異なってきます。
では、一般的な就活生は一体どのくらいの数の企業にエントリーしているのでしょうか。
ここからは、エントリーの動向について解説していきます。
平均エントリー数
キャリタスリサーチの学生調査によれば、2023年卒就活生の4月時点での平均エントリー数は24.4社でした。
その後エントリーを増やして、内定解禁日10月までの最終的なエントリー数は30社ほどとなっています。
エントリーは、連絡先などの情報を登録して説明会やセミナーなどのスケジュールなど採用に関する情報を送ってもらえるようにすることであり、エントリーしたからといってその企業を受けなければならないわけではありません。
一方、エントリーシートは応募書類のひとつであり選考の対象となりますので、エントリーシートの提出は「応募」の意味を持ちます。
同調査では、4月1日時点でほとんどの就活生が企業へエントリーシートの提出をしており、この時点での提出社数の平均は12.1社でした。
内定者の平均エントリー数
リクルートの調査によると、2019年卒の就活生の場合、2.36社が平均内定獲得数でした。
内定獲得者の平均のエントリー数は27社であり、そこから考えればおおよそ10社エントリーして1社内定をもらうイメージでしょう。
それならば、1社から内定をもらった時点で就職活動を終了した就活生は、10社のエントリーで足りるのかと言えば、そう簡単な話ではありません。
平均の値には、実際には非常に幅がある数値が含まれているのです。
数社にエントリーし、そのすべての企業から内定をもらった優秀な人もいれば、50社にエントリーして1社の内定を得る人も含まれていることに注意しましょう。
競争率の高い人気企業ばかりをエントリーしている場合には、平均を上回る数のエントリーをしても、1社の内定も得られないことも十分あり得ます。
【就活では何社の面接を受けるべき?】文理によってエントリー数は異なる
面接の回数は、エントリー数、さらにエントリーシートの提出数に比例しますが、大学での専攻が文系か理系かによってもエントリー数は異なってきます。
ここからは、文系の学生の場合と理系の学生の場合とに分けて、エントリーの傾向について詳しく解説していきます。
文系の場合 23卒の文系のエントリー数の平均は22.7社
文系の学生の平均エントリー数は、2023年卒の22.7社でした。
理系の学生の平均エントリー数が13.6社なので、文系と理系では大きく差があることがわかります。
文系の学生は、大学で勉強したことを直接仕事に結びつけて業界や企業を選ぶ人は少ないと言われています。
そのため、就職活動にあたって自分の行きたい業界や企業が絞れていないことも少なくありません。
ですから、幅広く業種や企業を視野に入れて就職活動を行うことになり、自分の合う企業や業界を探すために、おのずとエントリー数が増えてしまうのでしょう。
このように選択肢が多いことに加え、研究や実験などで時間に余裕のない理系学生に比べて就職活動に多くの時間を費やせることも、エントリー数が多い理由のひとつと言えます。
理系の場合 23卒の理系のエントリー数の平均は13.6社
先述したように、理系のエントリー数は、2023年卒で13.6社が平均でした。
「学んだことを活かせる会社に入りたい」と考える理系の学生は多く、企業側でも専門職で理系の学生を募集します。
また、学校が企業からの求人を受けて推薦する「学校推薦」や、研究室の教授が推薦状を書く「教授推薦」などさまざまな推薦での応募が可能です。
自由応募の後に推薦状の提出を求められる「後付け推薦」などもあり、合格率は高くなります。
そのため、文系の学生ほど多くの企業にエントリーしなくても内定を得られるということでしょう。
しかし、自分の専攻と関係のない仕事をしたい場合や、教授や学校とつながりのある企業で働くつもりがない場合には、理系の平均のエントリー数より多くの企業にエントリーが必要になります。
【就活では何社の面接を受けるべき?】面接は平均何社落ちるのか
何社の面接を受けるべきかを考える際の参考に、「これまでの就活生は平均で何社落ちているのか知りたい!」と思う人もいるでしょう。
採用を決めるまでに何回の面接を設定しているかは、企業によってさまざまです。
3次面接まである企業が多いようですが、それぞれの面接段階によって以下のように通過率が異なります。
1次面接
一次面接の通過率は、企業によってバラつきがあるため一概には言えません。
しかし、人気のある大手企業の場合、おおむね7割ほどの人が通過しているようです。
応募者の多い企業では膨大な数の学生を選考するため、エントリーシートの選考や筆記試験を実施し、面接の前段階でかなりの数の不合格者を出します。
その後、エントリーシートをもとに一次面接に招く学生を選定し、比較的若手の社員が1次面接を担当します。
面接対象者が多く一人ひとりの対応が難しい場合は、グループ面接やグループディスカッションになることも少なくありません。
一次面接までのハードルを高く設定していることや、若手の社員が担当することなどから、学生を厳しく見極めるというよりは、基本的に通過させることを前提にした面接であると言えます。
2次面接
採用までに実施する面接の回数によって異なりますが、多くの場合、2次面接の通過率は5割ほどと言われています。
面接の担当者は。若手の社員から課長クラス以上の高い役職の社員に変わります。
2次面接の際も、質問のもとになるのはエントリーシートに記入した志望動機や自己PRなどです。
しかし、基本的な受け応えを求められる1次面接とは異なり、応募者を厳しく見極めるための面接になります。
その企業で働くことに合っている人物であるか、ミスマッチはないかなどを重点的に見られます。
「将来は管理職としてチームのマネジメントを行いたい」「大勢の人にとって役立つアプリを開発したい」など、自分の未来のビジョンを自分の言葉で語れるようにしておく必要があると言えるでしょう。
3次または最終面接
3回の面接で内定を出す企業は多く、3次面接は多くの場合で選考の終盤となっています。
3次面接の通過率は、おおむね5割程度であると言われていますが、面接の設定回数や時期などによって少々変わるため注意が必要です。
採用を決定するまでに3回の面接を設定している場合、2次面接で厳しめの選考を行っている企業では、最終面接は役員面接で入社の意思を確認するだけということも珍しくありません。
一方、3次面接を経た後でさらに最終面接が設定されている場合では、3次面接通過が一番の難関となり、通過率は低めになります。
また、通過率は企業規模によっても異なり、最終面接については大企業であるほど通過させる割合は低い傾向があります。
いずれにせよ、3次面接の機会を無駄にしないよう、通過率をあまり気にせずに万全の準備をして臨むことが大切です。
【就活では何社の面接を受けるべき?】面接に向けた対策
面接回数が増えれば、それだけ内定をもらえる確率が高くなります。
しかし、面接どころか書類選考で落ちてしまうことも珍しくありません。
また、仮に面接まで進めたとしても、時間に余裕がなく面接対策が不十分になってしまっては、貴重な内定獲得のチャンスを逃してしまうかもしれません。
ここからは、就職活動が本格化して忙しくなる前にすべきことを紹介していきます。
どれも基本的なことなので、なるべく時間を作って実践するようにしてください。
事前に就活スケジュールを把握しておく
面接に進むためには、エントリーシートを提出しなくてはなりません。
エントリーした企業から、今後の予定などの情報を得たら、綿密にスケジュールの調整を行いましょう。
エントリーシートの提出期間は企業によってさまざまですので、できるだけ自分の受けたい企業に効率良く時間を割けるように考慮する必要があります。
特に、本命の企業の前に何社か受けておけるよう、あらかじめ調整しておくと良いでしょう。
また、就職活動には採用選考の開始や内定日などに解禁日が設定されていますが、さまざまな手段を使って早期に学生との接触を図る企業は決して少なくありません。
内々定を早期に出し、その時点で採用活動を終了する場合もあります。
志望先の企業の採用スケジュールを把握したうえで、しっかりと計画を立てましょう。
企業・業界研究
面接対策として、企業研究・業界研究が挙げられますが、これらは選考が進むほどその重要度が増していきます。
面接官は、応募者のエントリーシートをもとに質問をしていきますが、その中には作成することが比較的難しい志望動機に関する質問も含まれています。
志望動機は、企業や業界の理解がなくては作成することができません。
また、面接の際に企業研究をしていれば当然答えられる質問に答えられない場合には、熱意が感じられないばかりかミスマッチの可能性もあると思われてしまいます。
場合によっては致命傷になってしまう可能性もあるので、エントリーシートの段階から十分な企業研究・業界研究を行い、自分の志望動機を作成することが重要と言えるのです。
OB訪問
OB訪問は行わない人も多いですが、可能であれば行っておくことをおすすめします。
OB訪問の一番のメリットは、その企業で実際に働いている人の生の声を聞くことで入社後のイメージがしやすくなることでしょう。
説明会やセミナーでは聞けない詳しい話が聞けたり、自分の希望する部署について具体的な話が聞けたりするなど、参考になることは間違いありません。
また、OB訪問を行うにあたっては、訪問準備などにも時間を費やさなくてはなりません。
その労力を惜しまずに企業を知ろうとする姿勢が評価され、選考が有利に働く可能性もあるでしょう。
自身の企業選びの参考になるだけでなく、OB訪問をし、十分考慮したうえで志望していることで、ミスマッチのないことをアピールできるというメリットもあります。
適性検査対策
多くの企業では、面接に進む前の段階で適性検査を実施します。
エントリーシートの提出と同時に、Webテストとして行われる場合もあります。
面接自体の対策は万全でも、面接までたどり着くことができなければ意味がありませんので、就活準備として始めに適性検査対策を行っておきましょう。
適性検査には基礎学力や一般常識が問われる能力検査と、コミュニケーション能力やストレス耐性などを見る性格検査があります。
能力検査にも性格検査にもさまざまな種類があり、企業によって実施される検査が少々異なります。
種類ごとの問題集などもありますので、志望企業が実施しているものを調べて対策をしておきましょう。
また、インターネットで検索すると練習用のテストなどが出てきますので、気になる方は事前にチェックしておくと良いでしょう。
【就活では何社の面接を受けるべき?】数字や平均はあまり気にせず就活をするべき
ここまでエントリー数や面接の通過率などを紹介してきましたが、数値は文系か理系かによっても幅があり、実際は志望する業界や企業によって大きく異なります。
1つの目安として見ることはできますが、この数字を気にする必要はありません。
大切なのは、数字にこだわらず、自分が納得のいく就職活動を行うことです。
ただし、あまりにもエントリー数が少なく、また不合格の連絡が続くと面接を受ける予定がなくなってしまうかもしれません。
精神的に追い詰められてしまう可能性もあるので、ある程度のエントリー数は必要と言えるでしょう。
まとめ
適切な面接の回数は、人によって大きく異なるため一概には言えないというのが結論です。
面接の回数はエントリー数に比例しますが、必ず面接に進めるというものではないため、面接まで進めない場合も考慮して余裕を持ったエントリー数を確保する必要があります。
また、面接を多く受ければ、それだけ内定の確率も高くなりますが、多すぎると時間が確保できず十分な対策ができなくなってしまいます。
同時並行で受けられる面接数は最大でも5社程度ですので、やみくもにエントリーするのではなく、エントリーの段階からスケジュールを考慮して応募することが重要です。