はじめに
証券会社における営業職は多くの人にとって魅力的でありながらも、その難しさや求められるスキルに対する不安を感じることは少なくありません。
そこで今回は、証券会社の営業職の具体的な仕事内容や、その仕事において必要とされる能力について徹底的に解説します。
これから就職活動をはじめる皆さんにとって、証券会社の営業職がどのようなものかを具体的な内容から深く理解し、自分に向いている業種かどうかを見極めるための参考にしてみてください。
【証券会社の営業職】証券会社とは
証券会社とは、株式の売買を仲介することを主な業務とする金融機関です。
具体的には、個人や法人が株式を購入したり売却したりする際にその取引をサポートします。
また、株式会社が新たに資金を調達する際にも、証券会社は重要な役割を果たしていることも見逃せません。
たとえば新規株式公開や増資の際に、株式を投資家に販売することで資金を集める手助けをおこないます。
これにより、企業は事業拡大や新たなプロジェクトに必要な資金を調達することができます。
証券会社の収益の多くはこれらの仲介業務に伴う手数料から得られており、取引ごとに発生する手数料が証券会社の主な収入源です。
さらに投資信託や債券の販売、金融商品に関するアドバイザリー業務など、幅広いサービスを提供することでより多くの収益を上げることも踏まえておきましょう。
【証券会社の営業職】証券会社の種類
証券会社については大手の独立系証券会社だけでなく銀行系や外資系などがあり、それぞれの特徴を理解して自分にあった就職先を見つけなければなりません。
大手独立系証券会社は国内外で広範なネットワークを持ち、さまざまな金融商品を提供しています。
大手銀行グループの一員として運営されている銀行系証券会社は、銀行との連携を強みとしておりグループ全体の顧客基盤を活かした営業活動が可能です。
海外の大手金融機関が母体となっている外資系証券会社は、国際的な視野での業務展開が特徴のひとつといえるでしょう。
大手独立系
具体的には株式や債券の売買、資産運用のアドバイス、新規公開株など多岐にわたる業務を担当します。
就活生にとって大手独立系証券会社は幅広い経験を積む絶好の場となり、とくに個人営業では投資家との信頼関係を築きながら投資戦略を提案し実行する力が身に付くでしょう。
法人営業では、国内外の企業との取引を通じてグローバルな視点を養うことができるでしょう。
銀行系
そのため、銀行系証券会社は大手独立系の証券会社に次ぐ規模の大きい事業に取り組むことが可能です。
銀行の顧客に対して証券サービスを提供する機会が多く、金融全般に関する広範な知識と経験を積むことができるでしょう。
これにより銀行と証券の両方の業務を経験することで、総合的な金融スキルを身に付ける絶好のチャンスとなるに違いありません。
外資系
たとえば投資銀行業務や資産運用、トレーディングなどの分野で強みを発揮しています。
外資系企業では国際的な視点や高度な専門知識が求められるため、社員には高いスキルと英語力がなければなかなか務まりません。
しかしながら成果主義の色が強く、実績に応じて高い報酬が期待できる点は魅力的といえるでしょう。
ネット証券会社
ネット証券会社とは、インターネットを通じて金融商品の仲介をおこなう証券会社のことです。
店舗を持たずにオンライン上で取引が完結するため、低コストで迅速なサービスを提供できることが特徴です。
これにより、顧客は自宅やオフィスから手軽に株式や投資信託などの取引をおこなうことができるようになりました。
こちらでは金融に関する基本的な知識を身に付けなければならないのはもちろん、ITスキルやプログラミングの知識が非常に重要となるでしょう。
【証券会社の営業職】証券会社の営業職とは
証券会社の営業職とは、主に個人や法人のお客様に対して金融商品を提案しながら販売します。
そのため株式や債券、投資信託などの金融商品を理解し、それらをお客様のニーズや資産状況に合わせて適切に提供しなければなりません。
営業職にはまずお客様との信頼関係を築くことが重要で、定期的な訪問や電話でのフォローアップを通じて資産運用の目標やリスク許容度を把握しなければなりません。
さらに市場の動向や経済ニュースにも常にアンテナを張り、タイムリーな情報提供をおこなうことが求められます。
個人営業の仕事内容
個人営業とは、主に金融商品を個人のお客様に紹介し、それを販売する仕事です。
取り扱う金融商品には株式や債券、投資信託などがあり、近年ではより複雑な商品やサービスも増えています。
たとえばファンドラップや仕組債といったものがあり、これらの商品をお客様に理解してもらい、納得して購入していただくためにはお客様との信頼関係を築かなければなりません。
対人関係の構築やコミュニケーション能力が求められるため、人と接するのが好きなら非常にやりがいが感じられるでしょう。
また自分の提案が結果としてお客様の資産形成に貢献することができる点も、大きな達成感を得られるに違いありません。
金融の知識を深めるための勉強や資格取得も求められますが、それが自身の成長につながる点も個人営業の魅力といえるでしょう。
法人営業の仕事内容
法人営業とは、企業や団体を対象に資金調達や事業成長の支援をおこなう仕事です。
証券会社の法人営業では企業の上場支援、公募増資、社債発行などを通じて資金調達をサポートします。
これにより企業が必要な資金を確保し、事業を拡大できるよう支援します。
法人営業の業務は個人営業とは異なり、より高度な専門知識が求められるといえるでしょう。
企業の財務状況や業界動向を把握し、最適な提案をおこなうためには金融知識や経営戦略に関する深い理解も必要となるでしょう。
また、クライアントとの信頼関係を築き、長期的なパートナーシップを育むことが重要です。
法人営業は企業の成長に直接貢献できるところにやりがいがあり、クライアント企業が成功することで自分の提案が実を結び、大きな達成感を得ることができるでしょう。
【証券会社の営業職】証券会社の営業職が激務といわれるのはなぜ?
業務の特性上、市場の変動に迅速に対応する必要があり、常に最新の情報を収集し分析することが求められます。
さらに市場の開いている時間に限定されないため、早朝から深夜まで勤務するケースも少なくありません。
また顧客との密なコミュニケーションが不可欠であり、個々の投資ニーズに応じた提案やフォローアップをおこなうため多大な労力が必要となります。
ノルマ達成のプレッシャーもあり、精神的や肉体的な負担が大きいことが激務といわれる要因といえるでしょう。
営業ノルマ
営業ノルマとは、証券会社などで働く営業担当者が達成しなければならない売上目標のことを指します。
とくに証券会社ではこのノルマが細かく設定されており、達成が求められる項目も多岐にわたります。
たとえば国内株式の販売、外国株式の販売、投資信託の販売などがあげられるでしょう。
各項目ごとに設定された目標をクリアすることが営業担当者の評価や報酬に直結するため、顧客に対して積極的に商品の提案や説明をし取引を増やす努力をしています。
営業ノルマを達成することは企業の利益に直結するだけでなく、自分のキャリアアップにもつながる重要な要素となるでしょう。
しかし達成が困難でストレスやプレッシャーを感じることもあるため、自分自身の適性や目標をよく考えて就職先を選ぶことが大切です。
日々の金融についての勉強
証券会社の営業職は激務といわれることが多いですが、その理由のひとつとして日々の金融について勉強しなければならないことがあげられるでしょう。
証券会社は金融や経済と直接関わる業務をおこなっていますが、これらの分野は常に変化して成長し続けています。
そのため営業職として成功するためには最新の金融や経済の動向を把握し、最先端の知識を持ち続けることが不可欠です。
ですから日々の業務の合間を縫って勉強して自分の知識を更新し続けることは、とても重要な役割を果たすといえるでしょう。
そのような大変さはあるものの、これによりクライアントに対して最適なアドバイスや提案ができるようになれば将来の成功につながって、証券会社で働くうえでの大きなやりがいにつながります。
顧客との信頼関係の構築
証券会社の営業職が激務といわれる理由のもうひとつとして、顧客との信頼関係の構築が必要不可欠である点もあげられるかもしれません。
証券会社は顧客の大切な資産を預かりそれを増やすことを目指すため、顧客に信頼されることがとくに重要です。
信頼がなければ顧客は安心して自分のお金を任せることができませんから、営業職は顧客とのコミュニケーションを重ね信頼を築くために努力しなければなりません。
また、金融市場の動向を常に把握し、顧客に最適なアドバイスを提供することも求められます。
これらの業務は時間や労力を要しますが、信頼関係が築かれれば顧客からの信頼は厚くなり、結果として会社の利益にもつながります。
証券会社の営業職は顧客の信頼を得るために日々努力し続けなければならないものの、そこには大変さだけではなくやりがいも感じられるに違いありません。
長い労働時間
一日にこなすべき業務が非常に多いため、証券会社の営業職は労働時間が長いことで知られています。
朝早くからはじまる業務では、最新の経済情報や日本市場、そして海外市場の動向を把握する必要があります。
この情報収集は証券会社の利益に直接影響を与えるため、通常の業務時間内だけでなく業務時間外にも市場の動きを確認しなければなりません。
さらに情報収集だけでなく日々の営業活動の記録やデスクワークもあり、営業活動では顧客とのコミュニケーションや新規顧客の開拓が求められます。
その結果、営業成績が会社の評価に直結するため、顧客対応や資料作成に追われて自然と労働時間が長くなるのです。
こうした激務の背景には証券会社の営業職が持つ責任の重さと、常に最新の情報を把握し続ける必要性があるといえるでしょう。
【証券会社の営業職】証券会社の営業職の強み
証券会社の営業職の強みは、その役割が金融市場の最前線で顧客との直接的な関係を築くことにあります。
株式や投資信託などの金融商品を顧客に提案し、投資戦略の相談にのるなどして顧客の資産形成をサポートします。
そのためには幅広い金融知識と分析力を駆使し、個々の顧客のニーズに合わせた最適なポートフォリオを構築する能力が求められるのは言うまでもありません。
このような専門的なスキルセットと顧客対応力が、証券会社の営業職としての大きな強みのひとつです。
金融・経済の最新知識を身に付けられる
証券会社の営業職の強みはなんといっても、金融や経済の最新知識を身に付けられることです。
それらに携わる証券会社の業務では常に最新の情報や知識が求められるため、自己学習を通じて世界の最先端の経済知識を吸収することができます。
ですから証券会社で働くことで、銀行や保険会社と比べても圧倒的に質の高い豊富な知識を得ることができるでしょう。
また証券会社の営業職はお客様に投資商品の提案をおこなうため、金融市場の動向や経済指標の分析が不可欠です。
このような環境で働くことで実践的な知識が身に付き、ビジネスパーソンとしての成長が期待できるでしょう。
さらに証券会社では専門家やエコノミストとの交流も多くあり最新の情報に触れられるため、知識のアップデートがしやすい環境が整っているともいえるでしょう。
新規顧客を開拓した時の達成感を実感できる
証券会社の営業職には、新規顧客の開拓という大きな挑戦が待っています。
新規のお客様は他の金融機関と比較しながら慎重に選ぶため、新しい関係を築くのは決して簡単ではありません。
しかしこの困難を乗り越え、新規のお客様の信頼を得て取引を開始できた時の達成感は何にも代えがたいものです。
この達成感は証券会社の営業職の大きな魅力のひとつではありますが、お客様の信頼を得るためには誠実な対応と専門知識の向上が欠かせません。
お客様のニーズを的確に理解してそれに応えることで初めて信頼を築くことができ、このプロセスを通じて自分自身の成長も実感できるでしょう。
証券会社の営業職は、挑戦の連続であり、その分だけ成長と成功の喜びを深く感じることができるといえるでしょう。
成果が給与に直接反映される
証券会社の営業職の最大の魅力ともいえるのは、成果がダイレクトに給与に還元される点かもしれません。
この業界では努力とそれによる成果が評価され、それが昇給や昇進として具体的に反映されます。
証券会社の平均年収は500万から1000万円と幅広いですが、ほかよりも優れた業績を上げれば数年で年収1000万円に到達することもあるほどです。
30代で年収1000万円を稼ぐことはけしてめずらしいことではなく、これは証券会社の営業職が自分の頑張り次第で大きな収入を得られる可能性を秘めていることを示しています。
ですから証券会社の営業職は自分の能力を最大限に発揮し、結果を出すことで大きなリターンを得られる魅力的なキャリアパスといえるのではないでしょうか。
【証券会社の営業職】証券会社の営業に求められる力
証券会社の営業に求められる力は多岐にわたりますが、まずはコミュニケーション能力が重要だといえるでしょう。
お客様との信頼関係を築くためには、的確な情報提供とお客様のニーズを理解する力が必要です。
また誠実で親身な対応が求められるほか、日々の業務で高いストレスが伴うため体力的や精神的な忍耐力も欠かせません。
これらの力がなぜ必要となってくるのか、ここから先で求められる能力それぞれについて具体的に確認していくことにしましょう。
コミュニケーション能力が高い
証券会社の営業職において最も求められるスキルのひとつが、先述のとおりコミュニケーション能力です。
この能力が優れていることでお客様との信頼関係を築くことができ、それが長期的なビジネス関係を維持してお客様が安心して投資を任せられる基盤となるからです。
たとえばお客様のニーズを正確に理解し、それに応じた適切なアドバイスを提供するためにはお客様との対話が不可欠といえるでしょう。
お客様が抱える疑問や不安をしっかりと聞き取り、それに対して丁寧かつわかりやすく説明することでお客様の信頼を得ることができるでしょう。
また金融商品は複雑なことが多いため、専門的な知識をわかりやすく伝える力も重要です。
さらにコミュニケーション能力は、お客様だけでなく社内の同僚や上司との円滑な連携にも役立つでしょう。
体力的・精神的忍耐力
証券会社の営業職に求められる力はコミュニケーション能力のほか、体力的や精神的な忍耐力もあげられるでしょう。
営業の業務時間は非常に長く、お客様とのコミュニケーションを重ねるなかでは粘り強さが不可欠です。
また、証券会社の営業職には厳しい営業ノルマが課せられてその達成が求められます。
達成できない場合には上司から厳しい叱責や詰めがあるなど大きなプレッシャーとなることもあるでしょう。
そのため、体力的なタフさだけでなく精神的な強さも必要で、日々の業務をこなすうえで困難な状況にも屈せずに前向きに取り組む姿勢がなければなりません。
このような職務をこなすには、自分の限界を超えて挑戦する覚悟と、それを支える強い忍耐力が求められるといえるでしょう。
向上心が高い人
証券会社の営業職に高い向上心が求められるのは、この業界においてノルマの達成が基本であり、それ以上の成果を追求する姿勢が重要視されるからです。
ノルマを達成するだけでなく、さらに利益を上げる努力を続けることが高い評価につながります。
向上心が高い人は常により高い目標を設定し、その達成に向けて積極的に行動します。
このような姿勢は結果として高い評価を得ることになり、それが給与にも反映されるのは先述のとおりです。
ですから証券会社の営業職では単なるノルマ達成に留まらず、常に自己成長を目指す姿勢が必要であるといえるでしょう。
証券会社で成功するためには挑戦し続ける意欲と自分自身を高めていく努力が求められますが、こうした姿勢が評価される職場は自分の力を試す格好の場なのかもしれません。
まとめ
顧客に投資商品を提案して資産運用のアドバイスをおこなう証券会社の営業職は、たしかに大変ではありますがその分やりがいも大きいものです。
市場の動向を把握して顧客のニーズに応じた最適な提案をするためには、高い知識とコミュニケーション能力が求められることもあるでしょう。
しかしその分、顧客の資産が増えた時や、信頼関係を築けた時の達成感は格別です。
厳しい環境で自分を試して成長を実感したいと考える就活生にとって、証券会社の営業職は非常に魅力的なキャリアパスとなるでしょう。