国内外に出入りする旅行者に楽しい経験を提供し、各地の観光業と提携して地域活性の助けとなるのが旅行業界の主な特徴です。
そんな旅行業界の企業に就職するためには、まず業界についておおまかな情報を得る必要があるでしょう。
この記事では、旅行業界の現状や将来性、求められる資質や向いている人、旅行事業を手がけるベンチャー企業など業界に関するさまざまな情報を紹介しています。
旅行業界に関する業界研究をしたいという人は、ぜひ読んでみてください。
目次[目次を全て表示する]
【旅行業界とは?】旅行業界とは
個人の旅行者や団体のお客様に対して旅行中の移動手段を提供したり、ホテルや旅館などの宿泊先を手配したりするのが旅行業界の企業の主な業務です。
また、観光地の資源を活かして魅力的なプランを作成し、宣伝や販売などを行います。
旅行業界は、実際に旅行プランを作成して実施する旅行業と、旅行業者の作成した企画を委託されて販売する旅行代理業の2つに分かれており、消費者が直接やり取りするのはほとんど旅行代理業者です。
ただし、場合によっては旅行業者が運営するWebサイトから直接集客することもあります。
旅行業者はさらに旅行先が海外か国内か、どのような方法で旅行者を集めるかによって第1種から第3種、そして地域限定の4種類に分かれており、事前に行政への登録が必要です。
ツアー旅行の際には旅行者とともに行動し、スケジュールの管理や観光地の案内を行うのも大事な仕事です。
【旅行業界とは?】旅行業界のベンチャー企業
旅行は、「消費者から日常生活ではできない経験ができる」という点に重きを置かれている商材です。
そのため、ベンチャー企業が持つフットワークの軽さや新たな価値創出といった強みと相性が良いとされています。
旅行業界に身を置いているベンチャー企業はいくつか存在し、今後もさまざまな側面から旅行に新しい価値やサービス形態を付与する企業が増えると考えられるでしょう。
以下で、そんな旅行業界のベンチャー企業を7社紹介します。
株式会社trippiece
株式会社trippieceは「みんなで旅を作る」Webサービスを運営しているベンチャー企業で、ユーザー同士が気軽に旅の企画や参加ができる環境を作っています。
主な業務は、旅行に役立つあらゆる情報を写真や動画を使用して発信・保存できるサービスの提供などです。
各地域のファンコミュニティを形成し、そこから発信される情報をもとに地方創生に取り組む企業のひとつと言えます。
また、季節や一緒に出かける相手の属性、グルメの種類やおすすめの穴場など、テーマ別にピックアップした観光地の情報をまとめた記事も発信しています。
「インターネット上で旅行の情報を集めたい」と考えている顧客にコミットしたサービスを提供している点が大きな魅力です。
アソビュー株式会社
アソビュー株式会社は、ユーザーの遊びにかける時間を増やすことを目標に掲げています。
休日にぴったりの遊びを便利かつお得に予約できるサイトの運営のほか、旅行プランをプレゼントできるカタログやギフトカードの販売などに注力しているベンチャー企業です。
BtoB事業も手がけており、観光地やレジャー施設への来場者の住んでいるところや年齢などを分析するなどのサービスも提供しています。
各種チケットの電子化や、予約サービス・顧客管理のデジタル化など、旅行に関するサービスを提供する側の事業効率化も視野に入れた業務を行っている点が特徴的です。
また、体験型の観光商品開発や販路の開拓などを通じて地域に観光客を呼び込むための事業を展開するなど、非常に幅広い旅行事業を手がけています。
株式会社Fun Group
国内からの旅行者のみならず、海外からの旅行者にもより良い経験を提供するために事業を行っている企業もあります。
株式会社Fun Groupは、世界各地からの旅行者に対して日本語・英語・中国語といった多言語での現地オプションツアーを提供している企業です。
世界の7都市にブランドを展開しており、112ヶ国以上の国への旅行をサポートしています。
地球上で体感できる感動体験を通じ、自分しか語れない「人生経験」を創造することを目指している企業です。
ツアーで使用する車両を自社で管理するなど、旅行者の安全を守るための配慮も欠かさず行っています。
国内の旅行者向けには海外への旅行ツアー予約サイトの運営も行っており、グローバルな旅行体験を提供することに余念がない企業と言えるでしょう。
株式会社Hosty
株式会社Hostyは「?(ハテナ)から!(オドロキ)を創る」をモットーに、無人コンパクトホテルの運営や投資家対談などをしている企業です。
無人コンパクトホテルは、民泊・ホステル・ホテルといった既存の宿泊施設とは一線を画す、気軽に泊まれる新しい宿泊施設として設計されており、きれいで安全性が保たれています。
アクセスの良い立地やおしゃれな内装、リーズナブルな価格を兼ね備え、旅行者に新しい選択肢を提示している企業です。
ファミリーやカップルでも利用でき、無人でも滞りなくサービスを受けられるよう、さまざまなIoTを活用しています。
専用タブレットを介して24時間いつでもスタッフ対応が受けられるほか、多言語での案内も行っているため、国内外からの旅行者に大きな安心を提供している企業と言えるでしょう。
バリューマネジメント株式会社
「日本の文化を紡ぐ」をモットーとして掲げ、歴史的建造物の利活用などをしている企業がバリューマネジメント株式会社です。
過去から現在まで紡がれてきた文化を民間企業がマネタイズすることで、新たなる「価値ある日本文化」に位置付け継承していくことを目的としています。
日本には歴史的建造物として評価できる多くの空き家や空きビルが多数存在していますが、それらを持て余している地域も少なくありません。
これらを民間ビジネスで活用して利益に変換し、その建物がある土地ならではの文化や生活様式を残すのがバリューマネジメント株式会社の主な業務です。
歴史的資源を抱えている地域を丸ごと観光事業に活用することで、その地域での雇用や人の出入りの活発化を図ります。
地域の永続的な価値創出にも重きを置いた事業を行う企業です。
日本美食株式会社
日本美食株式会社は、主に日本の飲食店に対して中国人観光客へのインバウンドプロモーションサービスを提供してきた会社です。
2020年には会社名を「TakeMe株式会社」に変更し、中国からの観光客のみならず世界中の人々を日本の店舗に連れていく多種多様なサービスの展開を目指しています。
国内にあるさまざまな飲食店の情報を海外向けに発信することで、「日本に行ったら行きたいお店」を増やす試みが特徴的です。
また、キャッシュレス決済サービスも提供しており、海外からの利用客と店舗とのスムーズなやり取りにも貢献しています。
観光で訪れたユーザーと地域の店舗との結びつきを強め、集客の強化や旅行者の体験のクオリティ向上に努める企業です。
株式会社オープンドア
株式会社オープンドアは、変化する市場ニーズに合わせてスピーディかつ高いクオリティのサービスを提供することを心がけています。
旅行事業においては、国内最大級の旅行比較サイトの運営などを行っている企業です。
国内外のツアーや航空券、宿泊施設のプランなど、さまざまな旅行商品を比較しユーザーが希望する条件に合致したものを探せる仕組みが整っています。
地域の基本的な情報に限らず、観光スポット情報や危険エリアなど、楽しい体験や安全性に関わる情報などが豊富です。
多言語で旅行商品を検索できる比較サイトも運営しており、ユーザーが持つ旅行へのニーズをいち早く把握し、満足感を高めようとする取り組みがなされています。
ベンチャー企業の中でも、特に実際の成果や実績を重視している企業と言われています。
【旅行業界とは?】旅行業界の職種
一口に旅行業界といっても、企業内にはさまざまな職種があります。
実際に消費者と直接関わりたいのか、旅行商品の開発がしたいのか、旅行業界に関わる人々を支える仕事がしたいのかによって選ぶべき職種は異なるでしょう。
どの職種を選ぶにしても、最低限ほかの職種が何をしているのか知っておかないとミスマッチが発生するおそれがあります。
実際にユーザーと関わる人や旅行の計画を立てる人など、旅行業界で働く人々の職種について、以下で詳しく見ていきましょう。
法人営業
旅行業界の法人営業は、小学校や中学校、高校といった教育機関や企業などに対して営業を行います。
年間のスケジュールなど、顧客の予定を把握してそれに合った旅行計画を立てて提案します。
学校であれば修学旅行、会社であれば社員旅行などが多いです。
また、旅行の費用はあらかじめ予算が決まっていることがほとんどであり、限られた予算内でできるプランを提案しなければなりません。
特に、修学旅行は児童や生徒にとって一生に一度の思い出となるため、どれだけ良い体験を提供できるかどうか、より端的に説明できるかが営業パーソンの腕の見せどころと言えるでしょう。
さまざまな旅行のプランを熟知し、顧客が望む体験を提案するプレゼン力が必要になります。
店頭販売
個人のお客様に対して旅行の手配をするのは、主に店頭販売の方の仕事です。
旅行代理店などの店頭でお客様の予算や人数などを聞き、それに合ったプランを提供します。
単に旅行先の観光地を紹介するだけでなく、移動手段の確保や宿泊施設の予約、日程調整などの細かい作業もお客様の代わりに行います。
もともとは航空券など移動手段の確保のみ、宿泊施設の予約のみといった単品での商材も取り扱っていました。
しかしインターネットの普及により、個人で簡単に航空券や宿泊施設のチケットを取得できるようになったことで、ツアーパッケージの取り扱いにシフトする企業が徐々に増えてきています。
また、海外ウェディングに関する相談を受けている企業もあり、個人では実現しにくいプランの提案や手配が期待される職種です。
添乗員
ツアーなどでお客様と同じ移動手段を用いてともに移動し、旅行の進行を管理するのが添乗員の主な仕事です。
特に、バスに乗り込んで観光地の紹介や案内を行うバスガイドが有名でしょう。
団体行動を滞りなく行ってもらうためには、お客様との密なコミュニケーションが必要になります。
行く先々で観光名所の解説をするのも業務の一部であり、お客様に案内を楽しんでもらうため継続して勉強しなければなりません。
観光名所の基本的な情報を押さえておくことはもちろん、お客様に話を聞いてもらうための話術なども求められます。
また、スケジュールを把握し管理するための能力や、関係各所に密に連絡を取る柔軟な対応力なども重要です。
お客様の旅行体験に直接作用する業務が多いため、非常に大切な職種と言えるでしょう。
企画
旅行業界の企画職は、実際にツアーなど旅行のパッケージの企画を行う仕事です。
自分が作成した企画に多くのお客様が参加し、さらに好評であったときにやりがいを感じるでしょう。
企画の仕事は作成した旅行商品が大々的に宣伝されることも多く、また成果物がわかりやすいため業界内でも比較的人気な仕事です。
ツアー内で利用する宿泊施設の選定や訪問する観光地の決定のほか、場合によっては関係各所に連絡をして追加のオプションなどを打診することもあります。
競合他社と価格競争をしなければならない中で、よりお客様にとって魅力的な旅行商品を提供するための工夫や努力が必要です。
企業の規模によっては添乗員や販売員など、何役か兼任することもあるでしょう。
経営業務
どんな企業にも、基本的に経営業務を行う部署が存在しますが、これは旅行業界も例外ではありません。
旅行商品の開発や販売に限らず、会社全体の経営に関しての戦略を考えます。
つまり、会社全体の動向を決める責任を背負いながら仕事をする必要がある、会社の中心部分にあたります。
経営業務を行う方は、市場のトレンドを押さえ、経営方針を決めるためのヒアリング力やマーケティング力が必要です。
事業に必要な経営資源を確保し、各部署や事業へ最適な形で分配します。
旅行商品に関する深い知識や会社全体の状況を把握する力、市場へアンテナを張り情報を集める能力などが求められるでしょう。
その企業を深く理解し、大きく貢献するだけの経験が必要な職種であり、旅行業界のキャリアにおけるひとつの到達点とも言えます。
人事
人事部はどこの企業にもある部署のひとつであり、旅行業界にも旅行業に携わる従業員を選定するための職種として存在します。
就活生の採用や、所属している社員の給与や昇進に関わる評価制度などを考える仕事です。
それに加え、採用した人材を旅行業界で通用するように育成する業務なども行っています。
考課などで人の評価を請け負うこともあり、社員の人生に少なからぬ影響を与える部署です。
そのため、場合によってはほかの人からねたまれることもあり、大きなストレスやプレッシャーに耐えられる精神力が求められます。
どのような人材を採用するかによって会社の今後が決まるため、非常に責任の重い仕事と言えます。
なお、外部講師を招いての社内セミナーなどを企画することもあり、柔軟な発想力が求められるケースも少なくありません。
経理
多くの企業の経営において、経理の仕事は重要な存在です。
経理は収入や支出など、会社のお金を数値化して正確に管理する仕事になります。
商材の仕入れや給与など、会社が取り扱う多くの種類のものに関するお金の出入りを処理しなければなりません。
また、売上などの計上も行うため、取り扱うものは旅行商材そのものよりもデータの方が多いです。
さらに、経理が作成する決算書によって経営者が今後の方針を決めることもあり、旅行業界に携わる人々にとって欠かせない職種となっています。
会社の規模が大きくなるにつれ仕事が増えるため、従業員の多い企業に勤める経理ほど忙しい傾向にあるでしょう。
旅行業界の企業を支える縁の下の力持ちといった役割を持つ職種と言えます。
総務
旅行業界のみならず、多くの企業でさまざまな部署の橋渡しを行う中心的な事務所が総務です。
主に、会社で使う備品や社内施設の管理などをする仕事が基本業務になります。
企画や営業など専門性の高い仕事ではなく、どこの部署にも属していない仕事は総務に回ってくることが多いです。
そのため、実際に行う仕事の内容は多岐にわたり、繁忙期は忙しくなることもしばしばあります。
電話対応や書類作成などだけではなく、旅行先の施設や移動手段を提供している企業などとの契約管理や、用事があって会社を訪問する方への来客対応も業務の一部です。
さらに、会社内の部署同士の連携を助ける業務を行うほか、外部に対する窓口になることも少なくありません。
【旅行業界とは?】旅行業界の現状
旅行業界の動向は、世相や市場の動きに大きく左右されます。
旅行は心を豊かにしてくれるものですが、生活に必須の存在ではありません。
経済状況や健康上の問題などによって、「旅行に行かない」という選択をする方も多くいらっしゃいます。
特に、近年は旅行業界にとって厳しい状況が続き、売上が落ちた企業も珍しくありません。
しかし、旅行業界でも最新の技術を取り入れて業務の改善を行っており、常に苦境に立たされているわけではありません。
旅行業界が立たされている現状について詳しく知り、どのように業界に関わっていきたいかイメージしてみると良いでしょう。
コロナウイルスによる旅行者数の減少
ここ数年で旅行業界に大きな影響を与えたのは、新型コロナウイルスによる感染症の流行です。
コロナウイルスの感染拡大を防ぐための施策による海外への移動の禁止や、国内での外出規制などにより、全体的な旅行者数が減少しました。
国内に訪れる外国人観光客の減少などにより、旅行業者はもちろん観光産業を主な生業としている観光地側も厳しい状況になり、経営困難に陥った施設や業者も珍しくありません。
感染症が根絶されたわけではないものの、現在では規制が緩和されつつあり、旅行者減少のピークは過ぎているため、これから国内外からの旅行者が増える見込みです。
とはいえ、コロナウイルスの影響により、今後のプランニングで気をつけなければならないことが増えました。
以前と同じようなプランでは集客できないおそれがあるため注意が必要です。
旅行者数は増えつつある
規制が緩和されたことにより、旅行者数が激減したときに比べて現状の旅行者数は増加傾向にあります。
国内だけではなく海外旅行者も増えており、出入国者数は今後も増えると考えられるでしょう。
しかし、コロナ前より旅行者が多いとは言えないのが現状です。
以前のように活発な人の出入りを促し、旅行者を増やすためには、魅力的な商材開発の追求はもちろん、旅行者に安心感を与えるための施策が不可欠と言えます。
企業によって異なるものの、なかにはバーチャルでの旅行体験サービスなど旅行に紐付く訴求を行っているケースも多く、「状況が落ち着いたら旅行に行きたい」という消費者の意識に働きかけるなどの努力を続けてきました。
また、バスや飛行機などの移動手段における換気や消毒を徹底し広報することで、旅行者の安心にもつなげています。
販売チャネルの多様化
旅行業界全体に影響がある市場の動きとして、インターネットの普及による個人旅行の簡便化があります。
以前は旅行代理店などの店頭まで行き、パンフレットをもらったり、宿泊先や移動手段など観光のプランを考えてもらったりしていました。
しかし、現在では個人所有のスマートフォン1台で、宿泊施設の予約や訪問先の観光地におけるナビゲートなど、多くの工程が完結します。
そのため、わざわざ代理店まで足を運ぶ人は少なくなり、個人で旅行を計画して自由度の高い旅を楽しむ人が増えました。
そこで、旅行業界としてはプロにしかできない付加価値を旅行者へ提供し、売上を確保することが求められます。
個人では予約を取ることが難しいサービスをお得に予約するなど、旅行者にとって魅力的なプランづくりが必要です。
旅行業界のDX化
IT技術の発展により、旅行業界でもすでに始まっていた旅行のDX化がコロナの出現によりさらに加速しています。
旅行業界のDX化は、単なるプランの紹介やサービス予約の電子化に留まりません。
旅行そのものをITと組み合わせるサービスが台頭してきており、旅行者がどこにいてもスマートフォンやパソコンを介して観光地を訪問できる「オンライン旅行」などがなされています。
これらは自宅からでも旅行体験が得られるという利便性のほか、実際の旅行への希求を促す効果もあり、旅行企画の販売にも効果的です。
オンライン上で観光地の特徴を学べたり、ライブ配信による疑似的な観光ができたりと、これまでの旅行業界にはなかった先進的な取り組みがなされています。
【旅行業界とは?】旅行業界の展望
旅行業界の企業に就職したとき、自分がどのように業務に関わりたいかをイメージするためには、現状だけでなく将来的な展望も重要です。
これまで、旅行業界にはさまざまな課題が存在していました。
昨今のコロナ禍のほか、それ以前の観光客増加による問題の発生などです。
これらの解決を目指さなければ、旅行業界のさらなる発展は望めないでしょう。
そこで、旅行業界の各企業が解決に取り組んでいる課題や今後の展望についてご紹介します。
これらをもとに、自分ならどういう施策を考えるかイメージしてみるのも良いでしょう。
需要が高まる
そもそも、新型コロナウイルスによる感染症の流行までは、国内外への旅行者は増加傾向にありました。
コロナで減少した旅行者数は現在回復傾向にあり、ここからもとの数値まで戻りつつあります。
魅力的な企画の作成や広報など、企業の努力次第ではさらに旅行者数が増えていき、旅行会社の需要が高まることが予想されている状態です。
特に、しばらく控えられていた団体でのツアー旅行などの需要が高まると考えられます。
また、海外向けの訴求は「日本」という大枠でなく、各地域の魅力を個別にアピールすることで、日本への理解が深い外国人観光客を呼び込もうという動きが盛んです。
2025年の大阪万博など国際的に注目度の高いイベントなども計画されており、国内外からの旅行者はさらに増えると言われています。
オーバーツーリズムの対策が進む
本来、旅行業界にとって旅行者が増えることは、売上の増加につながるポジティブな事象ですが、いくつか注意すべきポイントもあります。
旅行業界や観光地では、オーバーツーリズムによる問題の発生が懸念されています。
オーバーツーリズムとは、外からの観光客が増加して住民や自然に悪影響がおよぶことです。
観光地といっても住宅がある土地が多く、あまりに観光客が多くなると、交通渋滞や騒音の発生などが生じかねません。
また、地域のルールやマナーを知らない人が旅行に来てゴミをその場に捨てていくという問題も多いです。
このような問題への対策として、訪れる観光客を分散させる施策が取られています。
地域住民からのクレームを防ぐのは必須の作業と言えるでしょう。
OMO化
オンラインとオフラインを融合させる試みとして、旅行業界でもOMO化が進められており、現在は状況に応じた柔軟性が高い旅行ができる機会が増えると予想されている状態です。
具体的には、収集したデータを分析し、顧客の年齢や立場などから購入される可能性が高い最適な旅行プランをオンライン上で提案します。
また、OMO化には個人の旅行履歴や嗜好性に合わせ、極めてパーソナライズされたプランを提案することで、顧客の満足度を高めるという狙いがあります。
その分、旅行業界の企業においては、実施中のツアー状況の管理や旅行者個人の情報管理が必要になり、業務量の多さがネックとなるケースも少なくありません。
しかし顧客側は、旅行商品の案内を受ける媒体や決済手段を自由に選ぶことができます。
これにより、旅行への接点を増やすことが可能になるでしょう。
【旅行業界とは?】旅行業界に向いている人
旅行業界の企業に就職するためには、自分に業界への適性があるか把握しておく必要があります。
旅行業界は、お客様の人生における特別な体験を提供するのが主な仕事です。
そのため、生半可な気持ちで臨める業界ではありません。
お客様にとってより良いサービスを提供したいという気持ちがある人、そのための努力を怠らない人ならば、旅行におけるさまざまな仕事を楽しんで続けられるでしょう。
以下で、旅行業界の仕事に向いている人の特徴についてご紹介します。
旅行が好きな人
旅行が好きな人はもちろん、「旅行の楽しさを他者と共有したい」という人も旅行業界に向いています。
旅行が好きな人は、旅行業界での仕事に対するモチベーションが高いことが多いです。
好きなものの魅力がわかっている人ほど、それを形にするのに適した人材はいないでしょう。
それだけではなく、旅行者に向けて説明するために覚えないといけないことでも興味が湧くことが多いため、業務内容が頭に入りやすい傾向にあります。
旅行先の基本情報や見所、グルメ情報やおすすめの宿泊先、イベント情報やお得な移動手段など、旅行に関する情報収集が苦にならないというのは大きなアドバンテージです。
実際に、旅行業界に勤めている人の多くは自らも旅行が好きな人が多く、日々旅行者により良い体験を提供するため自らの業務に励んでいます。
コミュニケーション能力が高い人
旅行業界では特に高いコミュニケーション能力が求められます。
基本的に、旅行業界の仕事は社内外の人と関わることが多いです。
それはお客様だけでなく、交通手段を提供する企業や旅行先の施設管理者なども含まれます。
質の高いサービスを提供するためには、そうした一緒に旅行商品を提供してくれる相手とも円滑なコミュニケーションを取らなければなりません。
コミュニケーション能力が高いと、周りの人や提携する企業と良好な関係をいち早く築くことができます。
それだけでなく、案内するお客様に「おもしろい」と思ってもらえることが多くなり、お客様の懐に入りやすくなるでしょう。
結果的に商品の購入につながったり、旅行の成功につながったりするためコミュニケーション能力が重要になります。
他国の言語を話せる人
語学に明るい人は、旅行業界での仕事に向いています。
国際的な交流も多いため、他国の言語を流暢に話すことができれば、旅行業界では強いです。
海外の観光地や宿泊施設などとやり取りして海外ツアーの計画が立てられるほか、実際に現地での付き添い業務も遂行できます。
また、海外の方が日本に旅行に来るためのプランの設計などを容易に行うこともできるでしょう。
海外の企業との提携がスムーズになるほか、海外からの旅行客と同じ言語が扱えることで安心感を与えられるため信用を得やすくなります。
日本での経験が良いものになれば、再度訪れてもらえる確率が上がります。
そして、企業として信用を得られれば、次回以降も利用してもらえる可能性があるため語学を習得しておいて損はありません。
おもてなしの心がある人
「お客様に満足のいくサービスを提供したい」というおもてなしの心がある人も旅行業界に向いています。
つまり、「お客様が楽しい経験をするために全力でバックアップしたい」「お客様が楽しかったと言ってくれることがやりがいにつながる」という人です。
おもてなしの心がある人は、お客様にとってより良いプランの設定や細かなサービスを行うことができます。
企業としての売上に固執するのではなく、お客様にとってお得で楽しい旅行を提供するための業務ができるのです。
逆にこの心がないと、単なる予約業務やパンフレットの案内のみなど自分のやるべき仕事が最低限になり、お客様に満足してもらえない可能性があります。
顧客満足度を高め、旅行のたびに自社を利用してもらうためにもおもてなしの心は重要です。
努力し続けられる人
旅行業界に身を置くためには、日々努力を続けられる精神力が必要です。
お客様に対してプランを提供する人や、添乗員など実際にバスに乗って観光案内をする人などは、日々新しい知識をつけなければなりません。
そのため、日本全国、あるいは世界各地の観光地について勉強し、その魅力を伝えるトークスキルを磨き続ける必要があります。
その観光地に行くとどんな経験ができるのか、そのプランを選ぶとどんな良いことがあるのか、お客様に伝えて納得してもらわなければ旅行商品は売れません。
売れやすい商品を企画するためには、市場でどのような体験が流行しているのかも把握しておく必要があるでしょう。
より良い旅行を提供するために、努力し続けられる人こそ旅行業界に向いています。
【旅行業界とは?】旅行業界に向いていない人
旅行業界に向いている人がいるならば、逆に向いていない人も存在します。
旅行業界は、常に能動的に動き続けることが求められます。
そのため、活発に活動することが苦手な人にとっては苦痛に感じてしまうでしょう。
自分にとって合わない業界に入ってしまうと、結局すぐに退社することになるなどあまりメリットがありません。
旅行業界に向いていない人の特徴と自分の性質を比較し、本当に旅行業界で楽しく働くことができそうか考えてみましょう。
予定管理ができない人
「自分のスケジュール管理が苦手だ」という人は、あまり旅行業界には向いていません。
旅行業界では、ツアーのスケジュールを適宜確認してガイドをしたり、旅行者の誘導をしたりします。
つまり、自分だけでなく団体の、他者のスケジュールを管理することになるのです。
旅行中は、案内人である自分が動かないとお客様は動くことができません。
そのため、予定管理を怠って予定にズレが出てしまうとお客様が満足する内容にならないのです。
スケジュールに不備があり、できるはずの体験ができなかったというマイナスの記憶はお客様の中に強く残ります。
そうなると企業全体に対する信用が落ち、リピートを望めないどころか口コミでお客様が減ることもあるでしょう。
自己中心的である人
「自分が良いように仕事をしたい」「周りの人に合わせたくない」という人は旅行業界に向いていません。
基本的に、旅行業界の従業員は旅行に向かうお客様ファーストで仕事をします。
そのため、他者に献身的になれない自己中心的な人には務まらないのです。
商品を開発する際も、お客様を案内する際も、いかにお客様を楽しませるかに重点を置いて仕事をします。
「自分が良いと思ったからほかの人にとっても良いものになるはず」と、独りよがりになってしまうようでは難しいでしょう。
お客様の視点に立ち、どのようなサービスを求めているかしっかり考えられる人は旅行業界の仕事に向いていますが、そうでないならば別の業界を検討した方が良いかもしれません。
ミスが多い人
ミスが多い自覚がある場合にも、なるべく旅行業界は避けた方が良いでしょう。
旅行業界におけるミスは、お客様の満足度に直接作用する重要なものです。
それどころか、旅行業者のひとつの小さなミスにより、お客様が旅行に参加できなくなってしまうということも考えられます。
そのため、ミスが多いと失敗の確率が高くなってしまうのです。
お客様にとって大切な思い出や経験になるはずの旅行を、業者の手違いで台無しにしてしまうのだけは避けなければなりません。
また、「仕事のモチベーションに大きなむらがある」といった人などにも向いていないと考えられます。
旅行のプランニングから販売、必要な手続き、当日の業務に至るまで、入念にチェックしてミスがないようにしましょう。
黙々と作業をしたい人
「賑やかな雰囲気が苦手で1人で黙々と作業したい」と考えている人も、旅行業界には向きません。
旅行業界では、基本的に人と関わりながら仕事をしていくことがほとんどです。
そのため、「1人で集中して作業をしたい」と考えている方には、業界の気質自体が合わない可能性があります。
店頭でお客様と関わるほか、商品の企画などでも利用する交通機関や宿泊施設、観光施設の人とやり取りする機会が多いです。
むしろ、これらの連携なくして良い旅行経験を提供することはできません。
法人営業などでも自ら顧客を訪問する必要があり、どこの部署にいても多くの人と関わることになります。
コミュニケーションに苦手意識がある人や、「黙って作業する方が得意だ」という人は、旅行業界は避けた方が無難です。
【旅行業界とは?】旅行業界に就職するために
現在旅行業界を目指しているならば、なるべく就職しやすいように努力しておくと良いでしょう。
業界への理解を深め、スキルアップを目指すことは、就職後に努力を続けることにもつながります。
また、就職活動に詰まった際は無理に1人で解決しようとせず、プロの手を借りることも大切です。
就職までにさまざまな人と関わることで、旅行業界で役立つ知見も見つかるかもしれません。
旅行業界に就職するためにやっておくべきことについて、詳しく見ていきましょう。
業界研究をする
一口に旅行業界といっても、長く続けてきた実績のある大手企業や新たな旅行の形を提案するベンチャー企業など、さまざまな性質の企業があります。
そのため、業界研究をして旅行業界について詳しく知り、自分の考えとマッチしている業界であるか、良い企業があるかなどを調べなければなりません。
せっかく入社できても、経営方針や社風が肌に合わなければ長く在籍することは難しいでしょう。
旅行業界について知るための業界研究の方法は数多く存在します。
たとえば、Web検索を活用して調べれば、業界全体に関しても個別の企業に関しても多くの情報が出てきます。
しかし、Webサイトの信用性は一つひとつ異なり、場合によっては誰が書いているかわからないこともあるでしょう。
また、企業のWebサイトは人を集めるためにポジティブな内容を前面に出しますが、従業員や退職者の口コミを集めたサイトではそうでないケースもあります。
そのすべてが事実であるとも限らないため、Webで得た情報の取捨選択は必須です。
自己分析をする
旅行業界に限らず、就職先を選ぶためには自己分析も必要です。
自分は何をやりたいか、何が好きか、それとどう関わっていきたいかを明確にして業界や職種を選ぶようにしましょう。
そのためには、自己分析が大切になってきます。
自分のことはよくわかっていると思ってしまいがちですが、あらためて分析すると思ってもみなかったような一面が出てきたり、本当に望んでいることがわかったりするものです。
就活でよく用いられる自己分析の方法として、モチベーショングラフが挙げられます。
これは、自分のモチベーションの高低を出来事やそのとき感じた感情とともにグラフに書くという分析方法です。
自分がどのようなときに高いモチベーションを維持できるかがわかるため、仕事に何を求めているかを判断する指標になります。
また自己分析の結果は、就活の選考で志望動機や自己PRなどをする際にも役立つ存在です。
過去の出来事などから自分についてできる限り掘り下げ、今後の職場選びに活用しましょう。
他己分析をする
自分をより詳しく知るためには、自己分析のみならず他己分析が欠かせません。
他者の視点から自分を知ることで、何がしたいのか、何に向いているのかが自然と見えてきます。
自分だけでは気づけなかった自分の良さや、就職までに直しておくべき短所などもわかるでしょう。
他己分析では、家族や友人など自分以外の人にあらかじめ考えておいた質問をして自分のことを話してもらいます。
親しい間柄の人だけでなく、バイト先の人やゼミの先生、部活の先輩や後輩など多くの人にやってもらうとさまざまな角度から分析できるため、より深く自分について理解できるでしょう。
他己分析の際は、相手が話しやすい雰囲気作りや、言われたことをきちんと受けとめる姿勢が大切です。
資格を取得する
旅行業界への就職に向けて、業務に役立つ資格を取っておくのも効果的です。
たとえば、国内旅行業務取扱管理者の資格や観光英語検定の資格などを持っておくと便利でしょう。
入社後実際の業務で知識として活用することができるだけでなく、採用担当者に即戦力であることをアピールして目を引くことができます。
資格はスキルをわかりやすく可視化したものであるため、あなたが旅行業界にふさわしい実力を持っていることの証明になるのです。
「資格がなければダメ」というものではありませんが、基本的に業務に役立つ資格を1〜2つ取っておいた方が有利に進みます。
また、事前に資格を取っておいた方が旅行業界への熱意・やる気のアピールも可能です。
学業の合間を縫って時間を作り、資格取得のための勉強をしてみましょう。
他国の言語を勉強しておく
国内だけでなく、外国人観光客を受け入れる旅行業界において、語学力は大きな武器になります。
あらかじめTOEICでハイスコアを取っておけば英語の能力をアピールすることができ、就職に有利になるでしょう。
また学業において、第二言語として別の言語を学習するのも効果的です。
ただし、単なる文法や単語の理解だけでなく、コミュニケーションにつながる実践的なものである必要があります。
同様の目的で、海外に語学留学するのもひとつの手です。
しかし、留学の経験自体は珍しいものではないため、あくまでその経験によりどれだけ語学力をつけられたかを主軸にする必要があるでしょう。
留学経験があるのに語学があまり身についていないと、「口だけで本当に努力する気がない」と判断される可能性もあるため注意が必要です。
インターンシップに参加する
入りたい旅行業界の企業が決まっている場合は、その企業のインターンシップに参加するのも効果的です。
インターンシップに参加して業務の一端に触れることで、旅行業界の企業の仕事内容を具体的に理解することができます。
それだけではなく、働きが良く企業の方の印象に残れば早期内定をもらえる可能性もあるのです。
ただし、インターンシップは誰でも参加できるわけではありません。
参加できる人数には限りがあり、参加希望者が多ければ選考の倍率が高くなるため注意が必要です。
旅行業界の企業が実施するインターンシップに参加する場合は、本番の就活と同じような気持ちで選考を受けましょう。
企業にとっても、自社に対する熱意が高い学生の方が選びやすくなります。
旅行をしておく
旅行業界に入りたいならば、学生のうちから旅行をしておくのがおすすめです。
旅行会社に勤めている人には、「自分自身も旅行が好きだ」という人が多くいます。
そして、「旅行が好きな人材に自社に来てほしい」と考えている企業も多くあります。
実際に自分の目で見た経験や出来事は、就職後の業務で企画をしたり案内をしたりする際に活かすことができ、大きなアドバンテージになるケースも少なくありません。
もちろん、面接の際に話す志望動機や、ガクチカのネタとしても使えるでしょう。
「旅行会社を複数使用したうえで御社のサービスやお客様に対する姿勢に感銘を受けた」など、その企業ならではの特徴を就活の受け答えに反映させられるのもメリットです。
エージェントに相談する
実際に就活を始めると、自分だけではなかなか解決できない問題に直面することがあります。
特にベンチャー企業の選考は、ほかの企業と毛色が違うことも多いです。
もし就活に関して何か悩んでいることがあれば、専門のエージェントに相談してみましょう。
専属アドバイザーが、自分に合った企業選びを丁寧にサポートしてくれます。
就活生一人ひとりに熱心に対応してくれるため、就活に関する悩みを解消することができます。
また、面接などの選考対策など、就活生の悩みになりやすいテーマに関する記事も発信しており情報収集にも便利です。
エージェントをフル活用し、旅行業界の企業から内定を得ましょう。
詳細については以下のサイトでチェックできますので、気になる方はこちらからどうぞ。
まとめ
旅行業界は、国内外の旅行者が人生の中で稀有な経験をするのに立ち会い、より良い体験を提供する役割を持っています。
そのため、「自分も旅行が好きでその楽しさを他者にも体験してほしい」と考えている人にとっては長く働けると言えるでしょう。
コロナ禍による旅行者の減少もピークを過ぎ、観光客は増加傾向に転じているため、業界の需要は今後も伸びると考えられます。
そのような状況でこそ、旅行に関して新しい価値や体験を提供できるベンチャー企業の事業が注目される可能性が高いです。
ベンチャー企業に就職したい場合は、一般的な大手企業や中小企業とは異なるアプローチが必要になります。
旅行業界のベンチャー企業について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。